「トラウマを原因とする障害は、ダイレクトにトラウマが原因では無い」
と、考えている。言葉としては矛盾しているのだが、流れは矛盾していない。
つまりトラウマはトリガーには違いないが、その背理に個人的体験が必ず象徴化されていて、トラウマの働きとは、「抑圧構造を破壊する事によるショックであり、無意識であるが故に誇大なイメージで抑圧されていた不安が、非常に極端な体験にキャッチの関係となってしまい、全く予定外に不安を表面化させてしまう」と考えている。まるでスケールは違うのだが、突然の人事異動を原因とする鬱症状の発症とプロセスは似ている。
そう考える事で、トラウマを原因とする症状の解消が簡単ではない背景を確認できる。何故なら「現実では無い誇大なイメージによる不安が、事故や事件、戦争などの極端な体験により『ほんとだったんだ』と現実化してしまうから」で、実際に不快な記憶として苦しめられるのは、象徴化されている無意識の不安ではなく、トラウマそのものになってしまうので、この構造的な不安を解消させるためには、「トラウマが現実では無い事を立証しなければならない」実際には「確率的に同じ体験は二度無い事」になるのだが、ここで重要なポイントがある。
この説明には「決定的な体験」にまつわる複数の可能性に触れなければならない、ここの話は非常に誤解されやすいので、慎重に話していこうと思う。
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思考のプロセスこそ違いますが、私もいわゆる『トラウマ』という概念には懐疑的です。
私個人の考え方はさておいて、”原因探し”を行わない短期療法的には、”そのトラウマによって起こる、いったいなにが『現在』の問題なのか?”を結局は扱っていくことになるのですが。
続きを楽しみに読ませていただきます。
それでは!
ここはね、短期をテーマにしない俺としても重要な部分なんでね、慎重に書いているワケなんだな、
精神分析だからこそ見える部分だと思っているのさ。