超自我としてこの概念が誤って取り込まれるのは、それが道徳や倫理とよく似ているからだと言える。
つまり、
「こうしちゃダメ、こうしなくちゃ」
「自分が悪いんだから(こんなじゃダメなんだ)」
「嫌でもこうじゃないと愛されないんだ(ほんとはこうじゃないといけないから)」
よく考えてもらいたい、躾けられた道徳に良く似ている。
「モノを盗んじゃダメ、働かなくちゃ」
「叱られたのは自分が悪かったからなんだ」
「辛いけれど努力しなきゃダメ、上手く出来たらほら褒めてもらえる」
この相似によって、自己嫌悪は超自我に「道徳や倫理、常識と同格で取り込まれる」
しかし、本来不合理な家族の不仲や、表面上の(欺瞞的)仲の良さの演出どを原因にして起きる「自己嫌悪」は、道徳や倫理である筈が無い。
自己嫌悪による道徳には特徴がある。(家族に問題があるので、子供に嫌悪すべき問題は無いので)それが、無理のある話であるが故に「いかにもステレオタイプの道徳」と結合する(道徳の中でも詳細まで詰められたアイデアだと、その『理』によって、自己嫌悪自体が批判されてしまうので)。
『親孝行』『家族愛』、、何故か?
自己嫌悪について自我に疑われると「自分自身に自己嫌悪が似非道徳であることがバレるので、自己嫌悪の構造が壊れてしまう」からだ。
つまり、悩んでいる人にもっとも有効なのは「自分自身の道徳観を疑うこと」で、これは「常識を疑え」というプラトンの言葉に良く似ている。
もっぱら精神分析の役割は、超自我に取り込まれている不合理を、会話の中から証明し「これは変ですね」と、悩んでいる本人の自我の代理人であるかのように問題提起することなワケだ。
これ、客観的には「分析者が、悩んでいる人物の道徳観を批判している構造に見える」これが自己嫌悪の反動による反発を引き起こす(「私が悪いというのか!」自己嫌悪とは、自己による嫌悪であり、他人からの批判を拒絶する。「わかってるそんな事」という風に受け取られてしまう)。そもそも悩んでいる人が自分自身でその構造を解消できない理由でもある。(この情緒的反発が、自己嫌悪保存の力になる)
@皮肉な事に「自分が悪い」という「自己嫌悪」が、「道徳の批判(正しいという認識の批判=悪いのか?と認識されてしまう)」に抵抗する。
そう「自分は正しい」と、
『「自分が悪い」という、その自分の判断の正しさを「道徳」として取り込んでいる』なんて構造は、矛盾しているとも言えるし、らせん状にかみ合っていないとも言える。
この「悪い事を正しいという」ねじれが、悩みを生み出す『葛藤』(表現としては「アンビバレント」でも可)。
「自分が悪いという事が道徳だ」
これをデ・コードする
「家族には何にも問題が無かった、それを疑うのは不道徳だ」これが他人の言葉を拒絶する『障壁』の正体。自分で知っている筈のことすら思い出せなくなる(=抑圧)。極端に言えば記憶は捏造され、一部記憶の欠落さえ起きる(これを催眠誘導で、、は無理があると思う、個人的には催眠には反対なんだな俺、催眠はあくまで誘導で、事実認定の条件が一方的すぎる)。
なぜこんなねじれた道徳がキャッチになるのか?
それは、「親は素晴らしいんだ」という誇大性が、幼児に普遍的にみられる『幼児の常識』だからで、「自分と比較するなら、この家庭で問題あるのは彼等じゃないか?」と幼児が思うなんてほとんど期待できない。
しかし、「第3者の関与」で情報が与えられると事情は変わる。「近所のおばちゃん」「祖父、祖母(これは難しい、親の強迫の原因になる人物の可能性が高いので)」「叔父さん、叔母さん」「学校の先生」「近所のお兄さん」「父親の同僚」「友達の両親」「友達」、、、。
ここまでで、だいたい予想がつくだろう。
自己嫌悪の成立には、「家庭の地域社会からの孤立」が絡んでいる事が多い。
つまり、現代社会(=地域社会や伝統文化の衰退による、共同幻想のキャッチの力の後退や、共同幻想自体の軽薄化=共同幻想の崩壊)そのもの。
核家族以来、『鬱や精神的悩み』は、比例するように増えている。
悩みを持つ人が、同時に第3者との関係障害に(ある意味関係障害を持たないと自己嫌悪が壊れる)悩まされているケースが多いこともわかってもらえると思う。
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