2007年10月15日

ネットの咆哮

「砂漠の嵐」作戦(operation desert storm)の時、軍事評論家の間では今回の戦争はこれまでの戦術と違う次元で行われたとされ、これをエアランドバトル(Airland Battle)と呼んだ。
これ何って言うと「地上軍と航空機による直接連携作戦」の事で、複数の戦力の組み合わせが相乗効果を生むって戦術。

ネットと言えば2chに代表されるように”テキスト中心”の掲示板世界だった時代もあるのだけれど、結果としてAAなる芸術としか言いようの無い文化が生まれ、その後ブログの登場等画像を交えた”記事形式”や”まとめサイト”等のコンテンツがハイスピードで流れ、ネットに接続している時の情報収集のパフォーマンスは飛躍的に拡大し、RSSなんてものに頼る事無く総体としてネットの媒体としてのパフォーマンスはここ数年で紙媒体を完全に凌駕した。

そこに新たに登場したのが『動画サイト:YouTube』だ、
同様の動画サイトは次々と増えていき、ネットのボーダレスな特徴を最大限に利用する形で現在膨大な量の動画がネットに飛び交っている。
当初、この動画の位置付けはHPに貼り付けたり、TVドラマや映画が分割してアップされる等「PCでも動画を楽しむ」なんて世界に過ぎなかった。それに呼応するように携帯の世界におけるワンセグ等「既成メディアの新たなネットでの流通」な方向で世界は流れてきた。

ここで大きな変革が起きる。
このYouTube動画のURLを貼り付ける事で、2ch掲示板やジャーナリズム系ブログは「同時に検証映像を提供」する力を得て、これまで比較さるメディアであった紙媒体を”超えた”。
それが今TVメディアすら超えようとしている。
みなさんご存知のWBCフライ級タイトルマッチ『内藤大助VS亀田大毅』の亀田の反則・反則を指示したセコンドの兄興毅・父史郎の映像が大量に流れ、これが2ch掲示板上でリンクされ正に「エアランドバトル」よろしく強烈なインパクトを既存メディアに与えた。著作権がらみでTBSが削除を求めても新たにアップされ続ける状況に追いつけるワケも無く、「意図的反則と反則行為の指示」は決定的な事実となった、
結果として各TVメディア・ボクシング団体までそれを無視できない状況となった。
確かにこれに近い機能は以前から『週刊誌ジャーナリズム』のお家芸だったんだろうけれども、ネットに溢れるテキストの量が違いすぎる。
そもそもブログも2chもその掲示板機能によって同時に反論を含めた全体像が”その場で形になる”という小議会のような事実認定機能を備えているので(それもあってコメント欄を閉鎖しているブログは根性無しに見えたりする)、決席裁判的な一方通行の論理は通らない。
TVキャスターと意図的に選択された謎のコメンテーターが訳知り顔で「こうなんですね」と事実認定をお仕着せするような構造そのもがメディアとして耐え得ない状況になっているのかと思う。

それこそTVに向かって「そーじゃネーだろう!」と言いたくなった経験の無い人はいないでしょう。そもそも耐用が来ているのかも知れない、
TVのデジタル化とともに同時進行でアンケート結果を表示する等考えられた事もあるんだけれども「いやぁ、そういうのはもういいよ」って感じだし。
事実の精度はともかく、情報の機能的分量としてネット上位の構造は確立しつつある。

それはネットが既存メディアに取って代わるような話じゃなくて、既存メディアは”常にネットを意識”しなければ自らの生存を維持できないって新しい共存関係が成立しつつあるって事だ。まるで現代の文明社会の既得権益がらみの権威なるものを個人個人の意識が突き崩して行く様をリアルタイムで見ているような感覚を憶える。
共同幻想の崩壊過程において、第三の権力とも呼ばれた既存メディアは「既に腐りきっている」と言ってもいい、番組コンテンツの質の低下は目を覆うばかりでTV離れに拍車が止まらない状況だ。

『ネットの咆哮』それは崩れゆく共同幻想を補完しようという自然現象なのだと思う。

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しかしTBSは酷いな、潰れていい。
事がスポーツとワイドショーだけの編成の問題なら某プロデューサー一人の責任と考える事もできるけれども、報道番組すら一律にこの手の演出に加担している以上限りなく公共放送の免許に関わる責任があるんであって(そもそも自分のところで撮影録音しているんだから決定的な録音の提出は誰よりも可能な筈)、海外にまで報道されている今回の世界タイトル戦の反則騒ぎの問題に対する責任ってものがあるだろう。
(それに積極的に加担している可能性すらある、後ろに○暴の影すらあるってのにだ)
とっとと免許停止にして”第三者委員会”でも設立して経営そのものを一時預かりとして首脳部を全部入れ替えるぐらいの措置が必要でしょう。
この問題の追及に毎日新聞も必死だけれど、どんな形に火の粉浴びるかわからんよこれ。

<10/15編集>
こんな記事もあがっているしね、
http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000055923,20358732,00.htm
10月11日に東京放送(TBS)で生中継されたプロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチの「問題動画」が、動画共有サイト「YouTube」などインターネット上で話題を集めている。
(中略)
さて、この動画を含め、当日中継された映像の著作権がTBSに帰属することは言うまでもない。動画で確認できる音声が実際に悪質行為を指示したものであるとするならば、公共の報道機関たる放送事業者にとって「決定的スクープ」とも呼ぶべき証拠映像である。
そのためか、TBSはネットで公開されているこの動画の削除に全力を挙げているようだ。10月14日現在、YouTubeに1度アップロードされるも削除された本件を取り上げた複数の動画アドレスにアクセスすると、「この動画は著作権法上の権利が侵害されたとのTokyo Broadcasting System , Inc.による申し立てにより削除されました」とのメッセージが掲示される。

ところが、この映像はTBSが放送する関連番組になかなか出てこない。試合に関する報道はある。10月14日にTBSが放送した主要関連番組では、挑戦者の反則行為を看過しているわけではないし、また中継中に行った反則指示行為をも無視しているわけではない。しかし、この証拠映像については出てこなかった。
(中略)
一方、ネット上に著作権侵害にあたる映像が当たり前のように投稿されているという、一連の「YouTube問題」は無視できない重要な課題だろう。しかし、見方を変えれば、このケースは「放送・通信の融合」がうまくはまった例とも言える。放送事業者で一斉送信された映像の一部について、社会的に問題視すべきある部分を、通信を通じて放送事業者以外の人たちが協力し合うことで補完。そして、場面を見逃した視聴者にまで映像が届くとともに、これらを受けさらに放送が周知を図る(他局や新聞では本件を取り上げている)という流れだ。

繰り返し言うが、著作権侵害にあたるYouTube問題は、国家レベルで推進を促している「放送・通信の融合」の負の一面であり、このまま容認し続けられる問題ではなかろう。しかし、今回のようにたまたま放送時に一部の視聴者が発見した社会的に重大と思われる問題点について、その証拠になり得る映像をネット上に掲載し、それがきっかけとなって社会に周知されるという補完関係を発揮できる一面もある。
(中略)
TBS広報への確認時、「常識的に公開」とした広報担当者に対して「実際、2006年末の格闘技中継において違反行為の決定的瞬間映像(A選手が体に違反塗布物を塗っていたシーン)が公開されていないが」と問いかけたところ、「そうした事実は把握していない」と回答した。
CNET:高瀬徹朗 2007/10/15
posted by kagewari at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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