2007年10月03日

快感原則ってものを考える

時には「快・不快原則」とも呼ばれるものだけれども、これって意識的っていうより動物行動学的な”脳内の鉄板振り分け”の話。
労働で言えば「インセンティブの無いところに人は働かない」のような原則論の話で、「食べたいと思う食品はそのとき不足している栄養分と近い事が多い」とかの話じゃないが、生理的な意味での欲求と現実がリンクしているケースがあるように生物としての原則論の部類に属する。
ここが心理学的にやっかいなのはいかにも自意識が”快か〜ん”と認定するものが『快感では無い』って部分。

なんせ、この「脳内では快感だ」な説明に一苦労する。
快感論議ってのを、ヒトの行動の組み立てそのものから見ていくとしよう。
ここで言う行動ってのは「腹減った」とか「眠い」とか「むしゃくしゃスル〜」等のような『ストレス信号から始まる動機形成を必要とする意識的行動』の事で、習慣化された行動のような無意識的ルーチンの事では無い。確かに無意識的ルーチンにも快感原則は機能しているんだけれど(非習慣=バトルプルーフされていない行為=リスク=不安=常識=罰、なんかの連想による不快感)、そこまで話にいれちゃうと余計わかり難くなるのでひとまず例外としよう。

さて『ストレス信号から始まる動機形成を必要とする意識的行動』って奴を取り上げて流れを単純化して見ると、
「腹減った」→ストレス信号→「判例主義的連想カレーライスか?」→「自意識選択:そうだなカレーだな」→「カレー屋探す」→「カレーが無い場合も考える」→「○○を食べる」てな感じになる。
動機形成って部分から言えば「自意識選択の部分から→カレーが無い場合も考えるまで」なところで、肝心要のポイントは『その時既に最初の欲求食欲から一部話が逸れている』ところになる。まかり間違うと「カレーを食べたい欲求」と本人疑いも無く思うからだ。
ここの「○○欲」の解釈が、やたらと難解なので説明に苦労する、
「プラダのバッグ欲」なんてものが生物の普遍的な欲求である筈無いのであって、その原形(カレーの例では食欲)を”結果から推定できない”ものだと断言して考えた方がラク、

どういうことかと言うと、
「確かに今カレーを食べたいと思っているから、”元ネタ”は食欲だな」とは一概に言えないのだ。そりゃ中には「ヤケ食い」とか、「グルメ」等のように「カレーを食べる」って行為が必ずしも”食欲に限定される行動では無い”からだ。
それこそ「高級ホテルのレストランでディナーを」となれば、それは食欲だけを満たす行為だと考える人はそりゃいないでしょうよ、そういう事。

同時に考えなくちゃいけない事は特に動物行動学的『ヒト科の場合』、その生活は恒常的性的欲求ストレス下にあり、その動物的な性的ストレスは一部昇華したり反動形成されたり、独自のSEX的文化に矮小化したり既に”原形を失っていて”広く漠としたモチベーション(快感による満足を目論む欲求)に還元してしまっている事で(動物的性欲という原形を想像させるような行為は既に人類の行動様式の中に存在しない)、同時に動物行動学的にはその性欲が非常に強烈なモチベーションでもある(これは特に繁殖によって種族保存とする哺乳類の場合最強であって当然)。そこで、心理学ではこの代表的な欲求である性欲(これ”原形としての意味”よ)を「漠としたモチベーションを計るバロメーター」と見ていけば間違い無いだろうと考えていて(自我が関わるとなると余計)、フロイド辺りが話をわかりやすくするために「ま、それは性欲なんだが」と言ったものだから、意味をよく理解していない外野席から「心理学でいう欲求は全部性的衝動に裏打ちされた”所謂性欲”の事か」といらぬ誤解に始まる意味不明の批判を受けることにもなった。ほんとに困ってしまうんだけれども、反動形成された性欲の一部は名誉欲でもあり、象徴化されたものは一部家族愛にもなり、場合によっては愛国心にもなり、いかにも短絡な性欲が=動物的性欲なのかと言う命題は”繁殖を前提としない性”や”ファッションであったり虚栄であったり”或いは家族関係からくる(二段活用みたいな)コンプレックス反動の恋愛感等も合いまって、様々な欲求に分化している(食欲の一部にも性欲関係しているし)、心理学世界が発見したのは”素で暮すにしては過剰なまでの欲求”が人類に普遍的に存在しているところがポイントで、その欲求は原形である性欲が解体され自我に解釈される存在に帰した時点で、漠とした欲求の代表者となったって事。
逆さまに言うとだね、「それの原形が何欲なのか?」なんてーな本能の原形探し(既に壊れているっちゅうに)しても何ら得るものは無い。心理学世界の方が”性欲性欲”と拘っているのじゃないから(笑、

話は戻るけれども「自意識選択の部分から、カレーが無い場合も考えるまで」ここの部分だけを切り出して動機形成の過程を見ていく事で”快感原則”を知ることができる。
心理学における快感原則の特徴は「動機形成とその行動によって、当初のストレス信号は解決(代謝)した」事によって完結するところ。
つまり、選択した行動が失敗に終わってもそれが「次なその失敗を前提とした新たな欲求(ストレス信号)」となると、これは別フェーズなんであって、第一次動機形成に関わる行為とは別問題なワケ。(確かに結果としてストレスが恒常化する可能性はあるけれどもその論議はひとまず置いておく)
■「動機形成が行われた段階で(行動が企画されたところで)、欲求は代謝されたに等しい」のだ。

ここのところも、なかなか納得しがたい論議だと思うけれど、
そーなんだからしょうがない(笑
ちと、ここを説明すると、
「あーなんかカレー食いてぇ。どうすっかな、今の時間だとえっと○○ならやってるか」
この時点でなんかほっとしますよね?
あっそうか、それでいいんだみたいな。
そして、実際○○なる店の前まで出かけていって”本日臨時休業”の張り紙を見た瞬間
「げっ休みじゃん」
何かが切り替わっているのわかりますか?
ここで自我はまいったなどうすっかと、新しいテーマを考えなくちゃいけません。
それは「カレー食いてぇ。どうすっかな」の部分への答えは”本日臨時休業”の張り紙見るところで完結をみたたからで、今直面しているのは「カレーを食おうと思って○○に来たのに、お店が臨時休業だったら」への対処になっているのであって、カレー屋が休みだった時の不平不満に起因する別次元のストレス対処となっているんだなこれが。
そして次なる答えは「仕方が無いから駅前でラーメン食った」となるのかも知れない。
確かになんとも表現に困る不平不満は残るにしても、そこでタクシー捕まえて「意地でもカレーを食う」を選択したのだとしても、既にその行為は当初の「あーなんかカレー食いてぇ。」なる動機ではモチベーションとして不十分で(最初から「意地でもカレー食うぞ」なら別だけど)、動機形成として一連のものとする解釈を証明する事はできない。
実際にこういう時「”本日臨時休業”の張り紙を見て”苦笑い”」する事もある、

つまりー、快感原則というのは「最後に”快か〜ん”と認定されなくても完結可能」なのだ。
当初のストレス信号への対処が動機形成や行為の選択によって自我に認知されその結論がでたところで既に代謝されているのであって、これを俯瞰で見たときに「ストレス信号が解決した=”快感”」と定義される。
実際例として、上記のカレー屋の場合中間的でもあってもその結論は自我の”感覚的には不快(臨時休業によりカレーが食えない)”であるにも関わらずにだ。

ここからが重要なところで、
脳内の不快の定義ってのは”欲求不満ストレス下の状態”であり、快感の定義ってのは”欲求ストレスの何らかの帰結”となる。
欲求が解決したらそれは→満足→快感って事。
つまり「自意識選択:やっぱり女性を誘って映画でも」→「僕なんかが誘える女性なんかいないじゃないか」だとしても当初のストレスは完全じゃないが解決している事になる。二次的に「どうして女性は僕に好感をもたないのだろう」と、話は別フェーズになり”八つ当たりの原則”じゃないが、自己嫌悪でもしていれば残りの欲求も(自己愛的興奮で)代謝されてしまう。

心理学的な悩みというのは、上記の動機形成の過程(自意識判断の部分)に”そもそも矛盾があって”、その結果に明らかな不快感や本気で困り果てる事実関係が発生してしまう(どう考えても望まない結果になる等)一種のアンビバレントな状態の事で、当然自我の形が変われば望む世界も違うのだから「誰かの快は誰かの不快かもしれない」ので、この場合問題の中心は”矛盾”にあって”現象ではない”。
それこそヒトも所詮動物なのだから、自分の生命に関わる等普遍的な問題行動もあるにはあるんだけれども、結果そのものには大きな意味はない。
『矛盾無く動機形成はスムーズか?』この一点になる。
メンタル系の中にもそこを勘違いしている輩が随分といて、「社会適応したら正常」「社会人として復帰できたら治った」等のトンデモ無い勘違いをしているケースが多くて困るんだけれども、矛盾なく動機形成がスムーズであればその結果が「とてもじゃないが食えない役者志望」であろうが「無難な公務員志望」であろうが「世界の環境問題のために自給自足に挑戦」だろうがそういった帰結は自我が自由に選べばいいのであって、社会適応等どうでもいい。

”快感原則”の特徴として「判例主義的連想カレーライスか?」→「自意識選択:そうだなカレーだな」の部分に強迫的意識が干渉してしまうとその動機形成が大きく歪んでしまう部分があって、同時に”快感原則”では「判例主義的連想」が一時的にからむので、再現性の高い選択肢を選びやすい傾向(初動は無意識的選択)がある。当然強迫的意識は無意識的領域に属しているものだから、下手すると自意識のテーブルに上る以前の段階でその選択は歪んでしまう可能性が高い。
ここを俯瞰で見れば、「自分(自意識)じゃ全然望まない選択ばかり志向してしまう」という傾向に歯止めが利かなくなってしまう。
そして、これを繰返せばそれが又判例主義の”前例”となり、輪をかけて望まない選択に支配され→強迫傾向が強化されてしまう、
心理学的に見るなら、意識的にこの現象をおし戻す(差し戻し請求みたいなもん)には「意義アリ!」と「自意識選択がダメを出す」事がもっとも有効で、「自分が”なんとなく思いつく事はおおよそ信用できんな”」ぐらいの勢いで、「もう一回考え直す」とこがポイントになる。これを繰返す事で新たな判例を獲得できるので、無意識的な判例主義の部分の主導権を自意識が回復する事も可能。
なんせ、強迫的な思考が無ければ本来無意識的判例は「自由な自意識によって積み重ねられるもの」だからだ。
posted by kagewari at 06:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学テキスト「Why not」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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