昔々の東洋には「粘着質」だとかの「気質」が論じられた事があるが、性格とは傾向で流れには違いが無い。
その流れを決定つけるのは、自我のロジックであって、このロジックの連想性(関連付けと追体験的回想)で、感情的な反応はきまる。
わかりやすくいえば「トマト美味しいと思う人」「トマトが不味いと思う人」の違いは、「トマトを美味しく感じる性格」等の存在が理由では無い。
「最初にトマトを食べた時の酸味が美味しいと思った」場合
この人物はトマトの種の部分が好きになり
「最初にトマトを食べた時のトマトは、トマトピューレでスープだった」場合トマトの甘さと塩味の調和を美味いと感じ、この人物は種の部分を捨てる調理を好む
両者に起きている話は次元が違っているのだが、各々のイメージで脳内で「トマトの味」の雛型が出来上がる事になり、この両者が「トマトってさ〜」と話している時頭の中で連想されている対象はあまりにも違う。
しかし「トマトにつていの会話は破綻しない」
そこで
「君は酸味好きだねぇ」とか「あなたは塩味好みだ」とか、、
なんて言えばいいのか、、
会話が成立していても、背景や連想の流れが違うと「実は話がすれ違っている」事すら多い。
話を戻して、性格と呼ばれているものについて考えてみる、
「怒りっぽい」
これはどういう現象なのか?
会話は体裁として通じていても、脳内のイメージ(トマトの種か種を捨てるのかぐらい)は飛躍的に「前々違う話になっている」可能性が高い。
何故か?
「あの人が怒るぐらいだからよっぽどの事だろう」
これは周辺が、怒る事由に納得しているからで、他人の立場からj判断しても(相対的に)“怒るのは妥当だ”と判断している状態で、「怒りっぽい(或いは短気)」という言葉が単語として特定のイメージで通用している事の背景は、「怒る合理的根拠を思いつかない時にも怒る人がいる」という意味で、実際怒っているので仕方がない(まさか「怒りっぽい人に怒るのはおかしい」と言っても、怒りの矛先がこっちにくるだけなので、こんな事を言うひとは通常いないので、)ので、「怒りっぽい人」という言葉がある。
「その怒りっぽい人が怒る理由は、と も か く」だ。
考えても自分は怒っていないので、怒る理由を容易に思いつけないのが自然。
そんな背景の中「怒りっぽい人」という言葉はひとり歩きし、なんだか本当に「怒りっぽい人がいるかのように」認識されている。こりゃとんでも無い話で、
「怒りっぽい人」や「笑いやすい人」という「人」のジャンルがあったら大変だ。
「○○さんは怒りっぽい」
これはアリ
「○○さんは笑いやすい」
これもアリ
しかし、
しかしだ、
「○○さんは怒りっぽい人だ」や
事もあろうに「僕は怒りっぽい方だ」なんて事になると、ほとんど言葉として壊れている。
たとえ本当に「自分でもよく怒る方だと思う」と思っていたとしても、だ。
怒ってしまったのは結果で、理由があるでしょうに理由が。
どうして誰もそれを不思議に思わないのか?
これがある意味「無意識の正体」、
無意識なんだから、簡単にそれが意識されたらそりゃ無意識じゃない。
なんとなく『性格』なるものがひとり歩きして、いかにも『性格』なんてものがあるかのようになってしまうのは、誰しも無意識の存在に気がつかないからで、
無意識について考える精神分析の世界では『性格は存在しない』となる事がわかってもらえるだろうか。
そう、その人が結果的に怒るのには理由がある。
「無意識的には〜になっているから」な時
この人は「無意識にこういう事例を常に○○○と反射的に判断(無意識先行で、意識的なロジカルな判断ではなく)する人だ」となる。
つまり、精神分析的には「怒りっぽい人」など存在しないし、
何かあったとしてその理由が「わたしは怒りっぽいからだ」などということがあったら大変な騒ぎだ。
繰り返すが
「○○さんは怒りっぽい(無意識についての背理がある事を前提としている)からな〜」
これはアリ、よーーーく読んでほしい。
「怒りっぽい性格を述べたものだ」とは読解できない筈だ。
本来誰しも無意識の介在とその結果について、どこか目の端っこあたりで薄々気がつているのに、これを妙な「言い回し」の流布で、麻痺させていないだろうか。
「健康」という言葉すら昔は無かった「社会」につていも最近の話。
言葉が一度「当たり前というかいっちょあがりの現実(的)」として認知されると、無意識の動きについての知覚度は後退する。
先進国化、文明化、流行語、無意識的な動きに鈍感になり、『性格』なる言葉がひとり歩きする、
これは「精神的悩み」や「鬱」が、先進国特有の現象である事の「関連性のひとつ」に違いない。
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