(最近、youtubeチャンネルも解説しました)
彼は核戦略理論の専門家でもあり、核武装論者でもあります。
現在極東アジア情勢において、「米軍が引くことで10年15年のスパンで日本は中国覇権に下るだろう」と悲観論を展開しているのですが、この根拠が「ウクライナ紛争におけるロシアの戦術核使用宣言」にあります。
※これは「NATOが直接ロシアを攻撃するのであれば、我は躊躇なく(戦略核では”無く”)戦術核を使用せざる負えない」←というもの
「これを受けNATOは(とりわけ米国)支援兵器の射程距離をロシア本土に届かないよう制限するなど、腰が引けた」←と彼は論説してますが、
まずここから疑問があります。
バイデンは”会戦前”から「決して米軍はこの紛争に関与しない」と宣言しており(これでプーチンが軍事力行使の決断を後押ししたとも言われている)、NATOも同じくです(支援兵器に制限を付けていなのは当初からです)。
■伊藤氏が耳にした米シンクタンクや政界関係者の論議は、ウクライナ紛争と関係無く、台湾有事があった際に米海軍は中国のDF21を警戒し、第二列島線まで下がるというもので(DF21は別名空母キラーと呼ばれる対艦核ミサイル《ジャンルとしては戦術核》)、この時から戦術核の射程内に米軍は展開しないという判断は昔からあったんです。
※かといって沖縄に基地がある米軍が台湾有事で撤退するとは言っておらず(虎の子の空母を危険な場所に展開できないの意)、陸自が発案した対艦ミサイル部隊構想に感心した沖縄の米海兵隊は類似のミサイル部隊を構想してます。
戦術核使用の脅しをかけると通常戦力のプレゼンスが無効になるものでは無いんです。
(EU+英とロシアの打ち合いになれば双方の戦略核がにらみ合うことになるのですし、)
伊藤氏の論議にしても、「通常戦力で劣勢になった時に戦術核を使用すると宣言することにより」となってますが、そんなことなら(その理由で戦術核が使用可能なら)「先制攻撃すればいいことになります」。
「ウクライナ紛争」においても、核を搭載可能なF16に搭載する核兵器を容認するようなことがあればの意でしょう。
(※伊藤貫はNATOが通常戦力で全面対決した場合、ロシアに勝ち目はないと言ってますが「全然そんなことは無いのです」)
●だから、マクロンや英外相の元首相キャメロンが遠慮なく踏み込んだ発言をしている
https://kagewari-retour.seesaa.net/article/503263931.html
(おおよそロシアの戦術核にビビってる雰囲気が無い←いやいやお前がビビれよと思うけど、間違いがあったら大変だろ、、)
■そもそも戦略核の最後の切り札が戦略潜水艦のSLBMであるようように、
台湾有事で解放軍の海軍がDF21を使用するにしても、自衛隊の潜水艦は狙えません(どこに潜ってるかわからないんだから《仮に近海である場合、自国にも影響が及ぶ核が使用できない》)。
米国の非介入という方針は、非介入というより「米空母が展開できないの意」です。
米軍基地などもターゲットになり得ますが(いざ戦争になればどこへでも展開するのであって)ミサイル防衛含め戦術核で絶対に有利になるものでもありません(戦略核ならまだしも)。DF21の脅しが効くのは相手が図体デカくて移動に時間のかかる空母がターゲットだからです(米海軍もイージスでの迎撃に自信があれば考えを変える可能性もある)。
更に過去記事でも書きましたが、
(これね、あーいえばこういうゲームになってるから)
「米海軍への核攻撃はいかなるものでも(戦術核だろうと)米国本土への核攻撃とみなす」と、米国が宣言すれば、戦略核兵器先制使用の口実になりますから、にわかに中国も撃てないワケですよ。
少なくとも、仮にDF21を使用すれば関連基地に対し(ステルス爆撃機B2などを使用した)米国の戦術核攻撃は有りうるワケで、「戦術核を使用するかも知れない」ってのも口ばかりの話になります。
過去記事から延々言ってることですが、
”ほぼほぼ核兵器は実際の戦争で使用できない兵器になってちゃってるんです”
(ブラフ合戦の道具としては使えるが)
米国は朝鮮戦争でも、ベトナム戦争でも使えなかった。
日本に対してのみ特別の意味《その後の世界戦略の意図と人種差別》を持って使用したもので、どこの戦争でも使えるものではありません。
(使用後の敵国に《放射能汚染で》自軍が上陸できないんですよ?仮に敵を倒しても”戦果が無い”)
●事実、北朝鮮への威嚇として米空軍が戦略爆撃機をこのエリアに派遣したことありますし(前述説明のとおりです)、北朝鮮や中国が現在やたらと中距離核を増設しているのは、米国の戦略上の隙間を狙ったものですが(ロシアとの協定があったので開発も配備もしていなかった)、それ以上でもそれ以下でもありません。
戦略爆撃機B2や、戦略原潜に代表されるように代用案もあります。
※米第七艦隊も日本から撤退して第二列島線まで下がったとかありませんからね(現状通常戦力の抑止力は健在です)。
■伊藤貫氏の言うように「米国の核の傘など無い」ってのは同意ですが、
海上自衛隊により解放軍海軍艦艇が全滅した場合、中国の世論がもう継戦できなくなるだろうってのも事実であり(更に今自衛隊の潜水艦は対地攻撃能力を保有しつつある)、後方に展開している米空母が全く役に立たないということもありません(トランプ政権になり米海軍が大きく下がる可能性はありますけどね)。
伊藤氏は確かに優れた研究者でもあり、エビデンスもしっかりしていますが、
軍事に関しては軍務経験も無く、所謂ミリオタ的な知識があるのでは無いですから、伝聞情報が主体だと思います(僕はミリオタじゃ無いけど元ガンマニアだから同類項みたいなものさ)。
中国の台湾有事は、自衛隊と台湾軍を主力すると通常戦力で十分抑止可能だと僕は思いますよ(中国経済がガタガタである件も現状解決の見込みが無い)。
また解放軍が非核保有国である自衛隊や台湾軍へ戦術核を使用することは、いかなる場面でも核兵器の先制使用にあたるため、正当性が無い(正当性が無いとは、自衛隊による中国本土への攻撃を可能とするもので《敵基地反撃能力》)=米艦隊はともかく自衛隊や台湾軍にこれを公言することは容易では無いって事です(その意味でも自衛隊の敵基地反撃能力は急がねばならない)。
<追記すると>
何故日本が核武装の必要が無いのかといえば、ありがたいことに中国やらは反日で煽りまくってきたことと《これスーパー日本軍の逆宣伝みたいなことになっとる》、太平洋戦争のレガシーがある結果、日本が「我が方には超兵器がある」だとか、クルーズミサイルに核汚染物質が入ってるなどのデマをばら撒いたりするだけで、仮に海上自衛隊潜水艦部隊からの適地攻撃ミサイルが中国本土に命中しただけで13億の人民が「大パニック」を引き起こすからだ(中南海がやらかした「汚染水デマ」のこと思い出してみな?)。
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