最も参考になるのは”家幻想”における家族関係だ。
言うまでも無く、この関係が濃密なのは《プライバシーを共有することによる=秘密の共有》共同体意識にある。『共同幻想』でもお馴染みだが、「機密の共有」とは”個人しか知らないことを共有する”のだから、自動的に「もう他人では無い」という(一種の錯覚かもしれないが)意識が台頭する現象によって発生する。
R18的なことも触れるなら(ここから青少年は退場してくれ)
夫婦間の結束も(真っ赤な他人同士なのに)「他人では無い」感覚に至るのは「なんといっても性行為だ(プライバシーの共有:秘密の共有)」。
■「他人では無い」ことの比喩で「なんでも話せる仲」と言うだろ?
つまり友人か否かってのは、通常誰にも話さない(或いは見せない)プライバシーを公開共有できる関係性を意味するんだが、信頼関係が無いといかんよね?
■さて、では信頼関係とは何か?
ここもまずは”家幻想”から引いていくと(現代版では無く『共同幻想』時代から)
「まず離れることは無い関係性(離散しないだろうと言う思惑)」←ここが信頼のベースになる
故に(逆に現代ではそれほどではないと思うが)近現代では「親の離婚が子供のメンタルに大いに影響した」→理由は簡単だ「離散することはないだろう信頼が壊れるからだ」。
↓
類似例、友人の会話→「僕たち、いつまでも友達だね」(まあそういうセンチメンタリズムは大概子供時代だけのものだが)
さて、この信頼のベースは何かって(きっと何々だろうという期待だから)”予測性”にある。
「将来も絶対こいつとは」←という口語表現の根拠は?→予測だ(”秘密の共有”と同義だと思わないか?)、
親友関係の典型的な台詞は?「こんな時アイツなら絶対こうする、俺にはわかってるんだ」
●時に、なんてかなベタベタ仲良く馴れ合うのが友人関係やら仲睦まじいなどの話になることあるけどさ、本質はそこでは無い。”予測可能性を担保する理解”が本質だ。
(アイツのことなら何でも知ってる=何をするのかなんでもわかる《予測できる》)
逆説的に反証すると、
意図して夫婦関係を馴れ合いにしなかった近代は(妻は後方歩くとかそもそも本音で語り合うことも無い)『共同幻想』の縛りによって「そもそも離婚の心理的ハードルがトンデモレベルで高かった(離婚するような奴は一族失格的な)」(個人の予測では無く、”慣習がそれを予定した”ってことね)、そもそも『共同幻想』社会は個人の実存が無いので、「この村のなになにっ子は」のような共有される一族キャラが事実上個人を意味するので(その人格に仮想全員同一化してることなってるから)、村の『共同幻想』を知ることが「社会全ての予測性=信頼性」を意味した。
※これは『共同幻想』適応者の対人関係に限れば現代も同じ。相手個人では無く「誰々はどういう社会構造のどういうキャラクターの構成員なのか(そしてその位置関係:組織内階級や役割)」を知ることが、個人を知る以上に大事になる。
■そこが現代社会の「最低でも歩留まり以上」社会の場合どうなるのだろうか?
各人は(誰にもわからなくてもいいからってスタンスで)無限に個性化している。
それを経験だけで直線的に予測することはできない(経験踏まえてその人物像にアレンジして予測するしかない)。←「自分と同じだろう」なんて近代『共同幻想』的発想は通じないってこと。
↑
てことは、情報量含めてさ、
よっぽど相手の行動を推測可能な材料をどこまで持ってるかってことじゃんよ。
・自分の個性化に関わる要素と一部交差してるだとか
・とにかく何かの縁で関係が著しく長期間であるとか
・面白い奴なので、興味関心が高く(ストーカーって意味じゃないぞ)気が付いたら多くの情報を持っていただとか
↑
実は、自分がどれほど個性化しているのかって事柄に比例するのさ。
(以降はあくまで思考実験的な推論に過ぎないのだけれど)
●個性化の多様性が選択分岐回数に応じて指数関数的に増加するのだとした場合、”関わる要素と交差する”可能性は、分岐化数の多さに”比例以上の遭遇性”があることになる。←何も難しい事言ってるのじゃ無くて「ラーメンオタクが日本全国ラーメン巡りをすると、ラーメン好きのかなりの個性とどこかで出会うだろ」=素人レベルのラーメン好きから、非常にコアなラーメン好きまでさ。
これはさ、「よく知る(予測性の立つ)対象が増える」ことになる。
ダイレクトに友人が多くなることを意味しないが(他人と時間を過ごすことが一義的に優先される状況は滅多にないから)「潜在的友人可能性母数がやたら多いことになる」。
その反対に個性化では無く画一性の場合は?
所属する母集団との関係に=となる(母集団からパージされると対人関係の可能性が”0人”になる)
最大化するためには「個々人との関係では無く母集団の求める画一性への適応や、母集団との(運命共同体的な)一蓮托生度の高さのが重要になる」←もちろんこれは『共同幻想』論(つまり”孤独”というのは『共同幻想』社会の専門用語である)
■大事なことは、前者の(『単独者』例だわね)個性化を進める人格は、「潜在的友人可能性母数」において(現象としては難しいが《一歩間違うと一本釣りの敵対行動になるため》)『共同幻想』適応者に対しても、その潜在可能性(敵対行動可能性)を持っていることで、
そこが『単独者』と『共同幻想』社会の過渡期における共存性の根拠であって(相互不干渉ではないけど必要以上のことして得することはお互い無いから:米大統領選のように直接対決が避けられない場合もあるけど《これが現代社会分断論の本質》)、
(ちなみに、構造的に『共同幻想』サイドがその可能性を拡大《現在地から勢力拡大》することは無い)
つまり、過渡期だからこそ「その『単独者』が十分に個性化している場合《彼にも”適応者”と接した時代があったのだから》、『共同幻想』論的な彼らに対する理解も深くないと辻褄が合わない《『共同幻想』に対するアンチテーゼが『単独者』だからだ》」ってことさ。
※これまた、残された”崩れ”適応者を見捨てるのか?って話あるかもしれないが、誰にだって人格選択の自由はある。抜け出す気がある奴は勝手に出てくるだろ(ガキじゃあるまいし)。あえて”適応者”「修羅の道」を選ぶ自由だってある。
↓
■わかりやすくするために意図して乱暴な表現で言えば
「『共同幻想』社会の正体を知らない『単独者』はいないが、『共同幻想』社会は構造的に『単独者』を認識できない」って話だ(これ推論だぜ?そうと決まってる話じゃ無い《『単独者』には稀にナチュボーンもいるから:そして今後それは増えるだろう》)。
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