2022年12月07日

学校における『共同幻想』”崩れ”の過程をおさらいしてみる(1)

※ここのとこ記事リクでかなり詳細は書いたので、まとめ的な話です。
(これは「恋愛幻想」なら、「戦前『縁談』7割結婚」「戦後ミニスカブーブ」「バンカラ硬派と軟派」「メッシーアッシー」「合コンやナンパ」「男女雇用機会均等法」『草食男子』「おひとりさま」「育児休暇《男女》」『非婚・晩婚化』「婚活」「セックスレス」「夫婦間での強制性交罪の論議」「不妊治療の保険適応」「非婚が拡大しそうな雲行き(独身男女恋愛に消極的約9割)」←などなどあるんですが、一連でわかりやすい話にはならないかなと《やたらと長い論文になりそうだ、、》逃げました。)

■近現代のザックリした流れは以下

●江戸時代寺子屋などしかなかったが、世界的にも異例な識字率であり、
特に数学は微分積分みたいな問題を普通に庶民が説くなど(寺子屋が定期的にクイズを掲示したりしていたそうです)、農村との乖離はあるにせよ(地方では私の世代にとっての子供時代の高齢者に文字の読み書き苦手な人が普通にいました)、元々教育は高い水準にある国だった。
『ガキ大将』の言葉があるように、学問は苦手だが喧嘩っ早く正義感のある任侠肌って人物は尊敬もされ現代でいうような不良では無い。
参考、映画『無法松の一生』

●明治以降に近代教育が始まるが、まだ当時は一校(現東大)以外はどうでもいいでは無いが、選り選りの秀才だけが進学するという状態で(そもそも当時は私立が無いのかな)、
殆どの市井の若者は小学校しか出ていないなど、「少々出来がよかろうか悪かろうが関係が無い」。だいたいがまだサラリーマン中産階級などは登場しておらず、家業を継ぐか奉公や苦しい労働の殖産興業で働くなど、学校の出来不出来が人生に直結するような時代では無い。

●昭和の帝国では、軍人階級というものが台頭しており(一般兵士や下士官には農村出身者も多かった《5.15や2.26の背景には田舎で苦しむ実家を思う気持ちからもあった》共産主義的「階級闘争」の趣もあったのかもしれない)、ある意味能力のあるものが高い地位を得る世界が始まっていた(勿論勉強などできなくても、高い戦果をあげれば僅かでも出世の可能性があるのだから、いずれにしても「秀才とそれ以外が決定的に差がつくこともなかっただろう」)。

<<<そして敗戦>>>

●GHQの公職追放などもあり(保守系知識人全排除《日本左傾化の始まり》)
昨日まで尊敬されていた、愛国者の教師などが突如「軍国主義の悪人」とされ、
GHQ管理下にあったマスコミ(戦争煽っていた新聞は左に急旋回)により徹底的に叩かれる(左翼マスメディアの始まり)。
【そもそも権威の正統性とは何か】かなりコアなところが壊れる。
少なくとも、大学で左翼インテリが幅を利かせるようになった段階で、日本の権威と文化伝統のラインは切れた(権威性の根拠が、今現在の地位やそれを得る成績だけに落ちる《或いは芝居かがった左翼インテリ風情》)。

●高度経済成長により、一気に庶民の暮らしは豊かになり。
高校進学率が急速に向上「世代的に子供が親の学歴を超える事例多発」
(更に祖父祖母に及べば、小学校しか出ていないもザラであり、)
親権の権威性に世代間で疑問が入り込む。
(「どれぐらい親を偉いと思うのか」ってレベルが急激に低下《子供の勉強を教えられない親》)
サラリーマン階級の登場と、学歴のリンクによって、貧困世帯や勉強のできない子供は
「確実に時代に取り残されることが、思春期前後に確定してしまう」
「コンプレックスと、挫折による「反動形成」を伴った不良階級の登場」
※まだこの時代には、中学校に熱血暴力教師がおり(体罰で問題起こしても起訴もされない)そこのリンクまでは切れていなかったので、TVドラマなどの描き方もむしろ「心やさしい不良」が主人公とかバリバリに存在していた。
 ↑
といっても没落していく親の権威はまだ過渡期であり、「地方からの集団就職や親の出稼ぎ」が悲劇として成立していた(演歌などでも歌われるほど)←現代の「単身赴任ですが何か?」と大きく違っている。


●『受験戦争』時代、
サラリーマン中産階級が多数となり(そして核家族化)、「子供をいい大学にやって、いい会社に入れる」競争が始まる。
何故それほどやっきになるって、勉強できるだけで一族の階級を一気にジャンプアップできるからだ《どこで生まれようと親の学歴がなんだろうと子供の学歴競争に勝つだけで”一族が上のクラスに上がれる感じ”する階級闘争幻想の始まり←大事なことは「子供が受験戦争に負ければ」世帯もろとも下の階級に落とされる不安を抱えることだ》。
しかしさ、実のところはサラリーマン世帯なので”一族”なんて概念はとっくの昔に崩壊してるのでこの幻想は錯覚という”落ち”がつく《これも末端組織の暴走であり一種の”家幻想”崩れだ》。
後に、多くの世帯に「受験戦争とかやってバカみたいな時代だったね」みたいな厭戦感を与えて終わった気がする。

この時代に学習塾なども台頭し、教師もサラリーマン化していく(熱血暴力教師も減少)
貧困世帯や勉強のできない子供との(未来への希望と挫折の)精神的格差は更に急拡大。
やり場の無い怒りにむせかえる不良達の「コンプレックスと、挫折による「反動形成」は更に係数倍化する。」
それが→■【校内暴力】の台頭である

※ひとつ重要なカギは、サラリーマン世帯化や所得格差が関係していることで
=不良の親たちは(統計DATAは無いが)非サラリーマン自営業や農家世帯であったり、ブルーカラー世帯であったり親も高学歴世俗派では無く、旧『共同幻想』適応系保守派である可能性を示唆することだ(それは無意識に子供のコンプレックスを煽ってしまう)。

※本来”個性化”教育はこの時に導入されるべきだった
(そうしていればアホみたいな学習塾の乱立などもなかっただろう「塾いってる子と、いかない子の分断」とかもね《学習塾も無ければ交友関係も違ってくる》→その代わり「子供のための物理学」やら「プロを目指すスポーツトレーニング」とか「子供のための英米文学」教室みたいなんが任意に増えてたかもしれない。)
PTAに対しても「お子さんがいい学校入ったからといって、あなたのクラス(階級)が変わるのではありませんよ」みたいなセミナーやっておけば「イジメ時代」なんか発生しなかったのではないか?

●時代の変遷というか、この時の『共同幻想』崩壊を象徴的に表現したドラマが
『岸辺のアルバム』(流石山田太一作)。ウッディアレンの映画みたいだった。


●「積み木崩し」『家庭内暴力』時代、
必ずしも不良世帯に限った話では無いと思うが(勉強についていけないだとか、人が変わるように不良に落ちていく友人の姿なども影響あったかも知れない)、ただでさえ生理的に欲求が倍増(=”快感代謝”のノルマが倍増)する思春期の子供に、
そんな「何か見えないところでズンドコに落とそうとしてるシステムが社会にある」ことを”漠然とした不安や絶望”で感じている心理を、時代の変遷についていけない保守系の親は、構造的に理解できないというか、むしろ刺激するような失言(「ちゃんとしてよ」「それじゃ立派な大人になれないでしょ」など)を多く繰り返す可能性があり(それは子供が”漠然”と感じている何かの手先そのものであり「煽りまくってしまう」)、
子供がそれを「オマエも”何かの仲間で私を絶望に落としたいのか!”」みたいに展開すると”地獄絵図”になる。
理解の鍵は【親に対して暴力で暴れる動機形成とそのモチベーションがどこからきているのか?】←ここの構造分析であり、それができないと、何が面白くて子供がそんな大仕事してるのか、その矛先がどうして(数年前まで仲の良かった)親なのかが理解できない。
 ↑
加えて、そこに「LD (学習障害)やADHD (注意欠陥多動性障害)」傾向があったらどうなる?
(心理学的には「LD (学習障害)やADHD (注意欠陥多動性障害)」は病気じゃ”ありません”)
「親の発言を、想像を超えた誤解をして収拾つかなくなるじゃん」
参考記事
メタファーなどの「比喩的表現やたとえ話が理解できない」って症状もある
https://kagewari.seesaa.net/article/494122369.html
(実際さ「あの時誰々がこんな風に言ってたんですけど」これはどういう意味だと思いますか?なんて誰でもあるし、ドラマや映画評論の中心テーマ《国語の読解は能力だぜ?》、どこにでもある話なんだよ。)


そんな”家幻想”崩壊が続く中、

<いじめ時代へ”つづく”>



posted by kagewari at 15:07 | TrackBack(0) | 心理学テキスト「Why not」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする



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