2022年11月18日

日本人向け「BAND-MAID論の続き」(3)

いきなりだけれど、俺は元々日本のポップスロックファンでは無い(そんな詳しくないからね)、
そちら系では洋楽ファンであり(映画繋がりでドアーズやREMが好きだった)、音楽ということで言えば元JAZZファンだから(リー・モーガンやウェイン・ショーター)、きっかけはよくある映画音楽からで(最初は洋画ファン)、マックイーン『ゲッタウェイ』のクインシー・ジョーンズや、何と言ってもデニーロ『タクシードライバー』のなんちゃってJAZZ(バーナード・ハーマンだからユダヤ人だね)由来、映画音楽的にはなんといってもエンニオ・モリコーネやミシェル・ルグラン、『ザ・ドライバー』1978の音楽(調べたらマイケル・スモールって人だって)、レッドフォード『コンドル』のデイヴ・グルーシンなどなど、スティーリーダンの言うナンチャッテJAZZ映画音楽が始まりです。
代表として:Immortal Movie Music 『 コンドル(Three Days of the Condor) 』 original sound track 1975.
https://youtu.be/1tlv6nMcEjs


70年代や80年代当時は、マイルスが『死刑台のエレベーター』吹いたり、B級映画だった『ジェラシー』にジャレットのケルンコンサートが挿入されたり、勿論本格JAZZが使用されることもあった(死刑台のエレベーターは50年代だったねスマン《仏フィルムノワールの時代だわ》)。

■JAZZってのは、当初白人向けダンスホールにおいて奴隷階級だった黒人ミュージシャンがホールの楽団として演奏していたに始まると思う(後にデューク・エリントンに代表されるオリジナル作曲家スタイルへと変遷)、この時(まあ昼間は食うためで望んで演奏してるのではない)ミュージシャンたちが三々五々帰り道の飲み屋で「昼演奏してた楽曲のコード進行だけパクって(それを逆にする場合もあった筈)”お題(テーマ)として”フリーの即興演奏を楽しんだ」のがJAZZの始まりだ。
※ロックが大事するリフはJAZZではテーマに相当するんだけど、どちらかといえばJAZZにおけるテーマとは”前フリ”の意味でしかない(落語家などの大喜利や謎かけのお題と同じ《価値が無いってか聴き所はそこじゃない》)

■JAZZの代名詞ともなってる不協和音のブルーコードは、昼間の白人向けの演奏に対する皮肉な一面もあったのかもしれない。
(ちなみにそこが白人労働者階級の琴線にも触れカントリーと融合するキッカケにあったのかもしれない→ロカビリー→ビートルズ→ロック)
そうういう成り立ちだからさ、JAZZには名曲とか代表曲にこういうのあるけどさ
「JAZZの世界ではこれらをカバー曲と”呼ばない”」
 ↓
Bill Evans "Alfie"
https://youtu.be/BlgFezYX528


テーマ(ロックならリフ)終了2分30秒からが本当の演奏となる
(アルフィーは確かブロードウェイミュージカルの挿入歌でバカラックの作曲)
ビルエバンスは白人だけど例外ってか異能(キースジャレットにも影響与えた人だから)


My Favorite Things - John Coltrane [FULL VERSION] HQ
https://youtu.be/qWG2dsXV5HI


テーマ(ロックならリフ)終了1分後から本当の演奏なワケだ
(私のお気に入りは、御存知映画・ミュージカル「サウンドオブミュージック」の挿入歌)

※あーちなみにJAZZを聴けない人ってのは、テーマは聴けるが(ここから本番の)フリーパートが退屈に聴こえるんだよねw
(そこって展開っぷりの予測とズレを楽しむものなので視聴者にも一定の演奏力とまでいかないけど《即興展開を自分もオリジナルに口ずさむ程度の》予測力がないと面白く聴こえないのだよ《これがJAZZを面白く聴くにはトレーニングが必要な理由》←何も難しいことでは無くサッカーにおいてキラーパスをスゲーと思うには”普通こう展開するだろ”の予測があるから驚かされるんでしょ。)
■えー、ということなんだが「JAZZの世界ではこれらをカバー曲と”呼ばない”」
(メインが即興のフリーパートだからだ)
「ビルエバンスのアルフィー」とか「コルトレーンのマイフェイバリットシングス」と呼ぶ


■確かにBAND-MAID創成期の助っ人作曲家の楽曲や、KANAMI氏の曲においても「あれこれどこかのバンドのリフパクった?」と聴こうと思えばそう聞こえる部分はある(一生懸命否定してくれるファンもいるけど”そういう部分あるのは別の意味で事実”なんだわ)。
だってな、意図してそうしてるんだから。
 ↓
●「それは当たり前で(次は誰バンドのコンセプトみたいな曲に挑戦しようとか)」、最初っからそういう狙いでどうしよっかと取り組んできたワケで(本題は転調後の展開とソロパートやサビにあるのでお題であるテーマリフ部分は、バンド創成期はまあ《それっぽく聴こえりゃ》どうでもいいっちゃどうでもよかった)、
現在はほぼほぼ完全オリジナルのBAND-MAIDではあるにしても、ロック音楽やるってことは「ロック風の展開に収束するとこある」のであって、らしさを(グルーブ感出すため)意図的に残すというか”寄せて作る”場合もあるのであって(『Manners』とか《欧米評論家も意図してオールドファッションにしているね誰彼と無く言うのは自然》)、しかし聴きどころ(面白いとこと)やBAND-MAIDのオリジナリティーは”そこじゃない”。
『Manners』<米国フェアユースで容認されてるライブのファンカム動画より>
Band-Maid Live in Chicago 20221101 - Last concert in the US Tour - 4k 60fps(からManners)
https://www.youtube.com/watch?v=8ME9CtuJHeA&list=WL&index=101&t=2053s


(上記動画次の曲『Bubble』でSAIKI氏《案外よくやる》歌詞失念で最後に謝罪とかだったりする《こういう時悪びれずガンガン続けるところがライブ通算キャリア500回越えとも呼ばれるBAND-MAIDならでは》)
※「似てるだろ」なんて言われるとしたら、俺はこの『Bubble』のリフコードがエリック・クラプトンのクリーム時代超有名曲『レイラ』がモチーフじゃネーかとこっち心配してたのね(何故かここに関しての欧米からの批判は一切無かった《理由はワカラン。人種聴感差とかあんのかな、、》)、リフを複数のギターとベースに解体して再構築してるのがポイントらしいんだが、俺は最後までそこに関しては少し不安だった。
(『レイラ』にしてもラテン系ギターの趣があるので元ネタがあるのかもしれない)

なんか”イントロでイロイロ”言われるからじゃないと思うけど、
最近の曲では「イントロ無しで、いきなり歌い出し曲」が二、三登場するなど(リフが無いって意味じゃ無いよ)、考えもしない展開へと更に進化している。
<こちらも米国フェアユースで容認されてるライブのファンカム動画より>
BAND-MAID at the Paradise Rock Club, Boston 10/29/22(からUnleash!!!!! )
https://youtu.be/sld46eit3y0?t=1672


(これ録音もなかなかな上に《低域感度弱いけど寄っても指向性の変化がない》、上階桟敷席からなのでライブ会場の盛り上がりとベースのMISAがどれだけ忙しいのかがよくわかる。曲が終わっても止めずに最後まで再生することをお勧めします。”NO GOD”から”DOMINATION《最後ちょっと切れてる》”でライブ終了です《米国人「宣告せよ♪」とか日本語歌詞丸暗記して歌ってっからね》、そして客席見ると”良くも悪くもロックが白人の音楽”であることもよくわかる。『NO GOD』もモーターヘッドからのインスパイア説があるが、既に超えていると評されてる。)


<少し話逸れるんだけどさ>

「どうしてロックのアーチストは革ジャン着るのか?」【以下は推論だが】
これ元をただせば、日本でロカビリーとか呼ばれた(米国だとプレスリーがやってた)ロック風カントリーウエスタンにおける、《カウボーイ・ホースライダーは現代で言えば二輪ライダーだから》作業着としての革装束の流れだと思う(だからプレスリーはカウボーイ風のフリンジのついた衣装着ていたよね)。
ジーンズの多様も(ジーンズはゴールドラッシュの西部で川の金さらいとかの作業用に開発されてる)仕事着からその階級を示唆するものでしょう。
米国においては西部劇のカウボーイが馬に乗って全国さすらうのと、映画『イージーライダー』などに代表されるロック系ヒッピーがバイクで全国さすらうのとこも被ってるからね。

うんで、なんとわなしに英米ロック界が黒人を排除しているのは(黒人の側も白人ロックを嫌ってんだけどさ《勿論ロック好きな黒人もいるんだけど黒人社会の同調圧力でそういうことあまり言えない空気があるんだと》)英国ならフォーク、米国ならカントリーウエスタンに被ってるジャンルだからだよね。
※ロックのリズム背景は黒人ブルースの筈なんだが、、、(これが奴隷時代の苦節を歌う音楽だったものだから黒人社会ににも後に忌避されるのね)→いつの間にかブルースギターと言えばラテン系の(フラメンコなどラテンギターの系譜か)故スティービィー・レイ・ボーンってことになってしまう。

※ハリウッド映画から西部劇が消えた背景にも(人種割り当て論的に黒人の登場人物を出せないとか)、名作『風と共に去りぬ』が事実上上映禁止になったのも(黒人が奴隷階級として多数登場するため)「そこまで気にしなくても」って部分がある。
※反対にJAZZの世界ではマイルスを筆頭に(ファンでは無く)プレーヤーとして白人を認めておらず(俺にも白いJAZZは”あーあーあー白人の奴だ”とわかる。「またムード歌謡みたいに解釈してるだろ」とか)、やっていい音楽に垣根があるのは白人だけに限らない。

が、だからこそさルーツがどうとか、どこがオリジナルとかそういうケチな話では無いでしょ
(発端となってるネィテイブな音楽《米ならカントリーとか》ならいざ知らす、ビートルズ以来世俗化し続けるポップスロック系だものさ)
欧米クラシックが金管や打楽器含めた大編成になったのは、トルコの傭兵部隊『イェニチェリ』の軍楽隊のオマージュなんだし。日本のポップスロックシーンにおける英語の歌詞も「ロック界における英米リスペクト」ってことでいんじゃないかと思う。
※JAZZにしたって今回例示したみたいに”テーマお題”は「いかにも白人の書くメロディアスなのがハマる」とこあるんだよ、だってさ発祥がそうじゃんよ。
(俺は今でも”ナンチャッテJAZZ映画音楽”大好きだし)

和楽器バンドなんかもその典型だけど(だったら和服と法楽器に詩吟歌唱法で演奏したろかと)、
●”そういう意味で”、
俺はBAD-MAID聴いて(ライブで喜んでる米国人の様子含め)

つくづく「戦後日本は終わった」と感じるのだよ


<さらに米国フェアユースで容認されてるライブのファンカム動画より>
■最後に新しい曲の中から強烈なので締めましょう
(米国リスナーの間で、歌詞「10分ばかしのショボい運動《性行為のこと》」のところがウケていたりする)
BAND‐MAID - HATE? - Oct 29 2022 at Paradise Rock Club, Boston, MA, USA
https://youtu.be/JC13xyvapng


ベースソロからのギターソロ、これは最強でしょう
(BAND-MAID特有のヴォーカル抑揚はSAIKI氏の独創という話もある《BAND-MAID楽曲が作曲KANAMI氏となっていないのは、デモテープ作成以降は各パート演奏が《ミク氏以外は》全て各人の判断に任されているからだ。》←欧米の事情に詳しいワケでは無いので一例だけど、スティーリーダンがアルバム作成でバンドメンバーを募集した時、呼んだギタリストの演奏は全然違うんだよ《それを聴いて誰にするのか選ぶんだが》。メロディラインのスコアは教えるんだろうけど、そのバックでどう演奏するのかは各ミュージシャンに任されるって手法も特別なものでは無いと思う。)


<せっかくだから「新作EPから外れファンが残念がった「火花(Hibana)」」←シューティングゲーム大会のテーマ曲としてオリジナルに作った曲なのでEPから外れたのだと思う>
こちらは録音イマイチだけど(ファンカムで使用されてるスマホのマイクにはリミッターついてるのか入力感度変動するんだわ)、最初にSAIKI氏がクルっと1回転するとこがカッコいんだよね
BAND‐MAID – Hibana (Spark) – Oct 15 2022 at The Belasco, Los Angeles, CA, USA
https://youtu.be/g5Hjm71ldbQ





posted by kagewari at 12:36 | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする



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