日本のポップスロックシーンと、現在の亜種台頭(サブカル展開から本家越え)まで『共同幻想』論を交えて、心理学の記事にまとめてみようと思う。
■日本のポップスロックの始まりが戦後歌謡曲にあったのはみなさんご存じの通りで
これは「WW2敗戦象徴のひとつです」
(演歌などもあったため)メインストリームとはなりませんでしたが、その創成期淡谷のり子先生や青江三奈先生、江利チエミ(明らかに米国ポップスをカバーなど)、一部は明快に横浜ブルース的色彩もあったのであり(これは米兵相手のパンパン《売春婦》含む文化の中で米兵向けのクラブとその歌手などの存在による)、その後大手メジャーレーベルと数人の作詞家作曲家達が無数の歌謡曲を造るんですが(米モータウンもバート・バカラックだらけなのでそれは問題では無い)、彼らは米国音楽通であり勿論米国の音楽へのオマージュだとかレスペクトとしてそれを行っていたのだから
「パクリ以前に似ていて当たり前」なんです、
(最初っから”英米国ポップスロックシーンみたいなこと”がやりたかったんだから)
ガチのパクリもありますが(日本レコード大賞寺尾聡の『ルビーの指輪』は明快なビリー・ジョエル『ストレンジャー』のパクリです)、西城秀樹にビレッジピープルのカバー曲『YMCA』を歌わせて(実はこれゲイが発展場においでよってトンデモな歌なんだが)大ヒットしているところに(これとシンメトリーな関係にあったのがひろみ郷の『JAPAN』だと思う)、
●戦後日本ってものが米国のフェイクとして生き延びようとした様がそのまま表れており
全ての発端は敗戦です
<別の意味で戦後の日米安保肯定時代を表しているところに、本来は有数の民謡歌手である細川たかしにポップスを歌わせ大ヒットするという現象もあったと思う>
さて、そんな中で(ビートルズはともあれ)ボブ・ディラン的なイーストコーストの反体制的在り方が(今でいう左翼リベラル)「反抗的なロックのイメージでカッコいい」と(ロックの本場は勿論英国ですが)、パンク含めて、全国に多数のバンドが登場しますが、
日本を代表するロックバンドがRCサクセションであったことは(その評価の是非は横に置いておいて)象徴的であり(誰が見てもローリング・ストーンズのオマージュなワケで、RCサクセションは『共同幻想』論の始祖吉本隆明氏も好きだったんだよね)、
以外に知られていませんが、中嶋みゆきは後期においてのNYのパンクの女王パティ・スマイスの影響が大きく(エビデンスがあるのではないけどね)、
なんてかね、日本のポップスシーンが総じて「金髪に染めようとした」とか「外人バンドみたいになろうとした」、
そんな歴史的経緯が敗戦と戦後って流れの中にあったんですよ。
●だから、歌詞のサビが視聴者理解できない英語(しかも文法や用法間違えているなど)というトンデモが横行し(英語じゃなくて横文字歌詞ってことでいいじゃないな乗りで)なんだかそれが当たり前のことのように進行します(これ日常会話でも「横文字を会話に挟んで偉そうにする《どうして英語はさむと偉そうな感じになるのかってそれは敗戦国だから》」サブカルがそこかしこにあるでしょ)。
■さて英国のロックには、数百年前からの民謡(フォーク)の音階が関係していたりしますから、
日本人が盆踊りのリズムや長唄の節回しを何となく誰でもできるように、文化伝統として(それを自然とか内なるというのはどうかと思うが《継承されてる『共同幻想』だからね》)できるのではありません。
どちらか言えば、明快に特定の英米ミュージシャンの曲を意識して「あれみたいな奴」という、異才菅野よう子的なアプローチで曲作りをしてきたことが多く(DREAMS COME TRUEの中村正人が米スタジオにおいてアースウィンドアンドファイヤーのモーリス・ホワイトに「ごめんなさいパクって日本で成功してきたんです」と涙流して謝罪したって話があるほど《ホワイトは「気にすんなよ」と答える》)、
パクリじゃなくて、最初からそう見えるようにしたかったんです。
(「なんか本場の外人のバンドみたいだね」と言われたかった)
敗戦の記憶と、日本のポップスの成り立ちってのには大きな関連性があり、
(ここお笑いやTVバラエティーにも関連があり「俺達ひょうきん族」は英の「モンティ・パイソン」を意識していたし、他料理番組なども米国の番組を参考にしたと思われる《そもそもこれはGHQの親米化戦略で多数の米TVが廉価に日本のTV局で放送されたことによる←これを悪用というか、、、模倣したのが韓流の売り込み》)、
<流石に敗戦の記憶が薄れる中で>
「聖飢魔Uの音楽に憧れてギター始めました」という世代が台頭している時代です。
(ガールズバンドの雄であった、メアリーズブラッド後期ギタリストなど→後に現NEMOPHILA)
↑
ここで大転換が起きます(BABYMETLもX-JAPANリスペクトがあるなど)
日本の戦後ポップスロックシーンを聴いて育った次世代の登場、
●引き継がれた重要な遺伝子が「パロディ」です
(模倣では無くパロディでいいじゃんという《面白いから》)
「外人ロックバンドのパロディを面白おかしくやってます」を切り口に、
往年の(あんまり食えずにその後を迎える)日本のロックバンドをサルベージする形で結成されたのが(明らかに当初はコメディバンドのつもりだった)『BABYMETAL』
これが冗談が冗談では無い展開をするのですが、
この時欧米ではロックに連なる音階の『共同幻想』が崩壊しかけており、
(日本は欧米より長くJAZZを聴いたように、意外と真贋判断力が強く”いいものは残る”)
シティポップとしての後に見いだされることになる日本の戦後音楽シーンってところに(なかなか見る目あるねってか)その断片が残されていたというか、
『BAND-MAID』登場の背景には、そんな歴史があるのだが、
この辺を外国人に説明するのは非常〜に難しいだろう。
(そして彼女達は欧米にあったロック界の閉塞感をぶち壊した《泣いてる人いるからね。ファンの間では知られてるRyan Mearだけどw、彼思い出してまた泣いてたから》)
※勘違いしないで欲しいのだが日本の音楽シーン全体が凄いのでは無く(大衆音楽が凄くある必要も無いんだけどさ)、「BAND-MAID」や「BABYMETAL」や「和楽器バンド」など(他マキシマムザホルモンや人間椅子など《異能に関しては米津玄師君や菅野よう子氏も含むと思うが》)一部に突出したものがあるって意味です。
(まあ欧米だって現役世代だけなら突出したバンドは限られると思うけどさ、裾野が同じって事は無いと思う。日本から目立ったJAZZプレーヤーが出ないのと同じ《そういう裾野の広がりが”過去にもおいて”含めると余計薄い←伝統ってそういう意味だから》)
【しかし、そういうトンデモ個性を生み出すサブカル文化が日本にある】って話です。
実際米国の評論で「BAND-MAID」は「ロック界の大谷翔平か」とタイトル付けられたこともある。
(大谷君的な世界がまた、漫画家水島新司先生抜きに語れないじゃん《元西武ライオンズのサブマリン潮崎の決め球シンカーは、漫画ドカベンに登場する里中智のボールを模倣したものだった》←こういうサブカル背景の話しです)
<つづく>
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