2018年05月01日

『実存時刻』(そもそも何故に死が怖い人がいるのか?その2)

前回のつづき

●前後10分以内に死ぬかも知れない確率
「NASAの宇宙飛行士としてスペースシャトル発射5分前」
「ステージ4のガンを宣告された瞬間」
 ↑
説明するまでも無く「前後10分以内に死ぬ確率」が高いのは前者ですね。
と こ ろ が
死の恐怖に怯えるのは後者です。

どうしてなんでしょうね(笑


■心理学の出番そして経済学です。
「菊花賞、絶対勝馬はこれだ!確信して馬券を買いました。最悪の展開って何?」
ワケのわからない群衆の一人が飛び出して大騒ぎに。レースは中止になりました。
「耐えられませんよね、何かに対して暴力で訴え無い限り帳尻が合わないぐらい腹たちませんか?」
「10分後には俺は勝者で、おいくら万円儲かった筈なのに。(大金持ちになる筈だった10分前の自分を返してくれ)」

「おおよそ1時間半の演劇を観ています、そろそろラストの犯人は誰か?謎解きのクライマックスです。最悪の展開って何?」
ワケのわからない聴衆の一人が舞台で暴れ出した。警察が呼ばれ公演はそこでストップ、公演は中止となった。
「耐えられませんよね、何かに対して暴力で訴え無い限り帳尻が合わないぐらい腹たちませんか?」
「10分後には待ってましたのクライマックスだったのに(想像もできないカタルシスで茫然自失になる筈だった10分前の自分を返してくれ)」


ところが。
「NASAのパイロット、今の自分がパイロットである事自体だけでも興奮のピークだ」
「これからは特別集中や興奮する要素の無い病院暮らしで、(きっとどこかにあるだろう筈の)まだ見ぬ俺の人生のピークが、アレレ、無くなっちゃうのか?」

●凄く大雑把な分類になりますが、
『単独者』は死の恐怖に鈍感です(構造論的にその筈)。
確信犯的『共同幻想』再選択者も、同じです(典型が職業軍人)。
ところが、
オンザレールな『共同幻想』適応人格や、反動的な『共同幻想』適応人格とも見て取れるメンタルに何らかの課題・問題意識を感じている人格の場合、どうなりますか?
そこに共通する背景事情は、
「今の自分が個別に実存するような集中力が最大化するプロセスに”無く”、”今の自分”が散漫になるかのような事情に自我が置かれています(将来のオンザレールな人生設計や、将来への不安や)」、

●それはあたかも”現実に自分が全部出しで存在していないかのような”状態です。
●逆に言えば、漠然とした時間のスパンの中で自分は漂っており、自己の実存はこの全体としての台本に書き込まれており(実存がそこに依存するのだから)間違っても不足の自体で、この話の腰が折られるような事があっては困る。
反動化している場合は、
「かくかくしかじかの人間として認められる(られなきゃいけない)筈なのに、どうしてこうなのか。」←違うようで、実はオンザレールと構造は同じです。
外部の『共同幻想』長編台本に自らの実存を”依存”する結果、「今という時制が希薄化するというか常にその一部でしかない」。
(約束された未来の想定が実現しないのであれば私は実存しないも同然じゃないかとなりますわね)
 ↓
結果何に拘る・執着するって言えば、長期計画された台本を演じ、(実は誰も何も約束なんかしておらず幻想なんですが)約束された、何者かになって認められる事で自分は初めて完結できる。という物語としての生への執着がどうしても派生します。

もう一度逆転させて『単独者』や確信犯的『共同幻想』再選択に戻ると、
「今(自分全部出しで)バリバリに実存しており、今井外の自分が誰だったか忘れている。常に実存しているのは今の自分である。」

ぶっちゃやけ死んだらどうなるのかなんて知りません。
しかし、寝ている間の自覚もありませんね。
明日起きたら「その時の自分」として、今の自分と個別に連続性無く新たにバリバリに実存するのだとした場合、練る前の今の自分から見て、明日の自分は何者か?って事になるのです。
故に「あらら。死んでたなんて事あるかもね」だとしても、
●今100%の状態で実存している自分は何ら影響を受けない(そら想像も及ばない次の自分の話ですから、考えてもトンチンカンな事でしか無い)。

厳密に言えば「死の恐怖を感じないのではありません」(ましてや死が大好きって話もナンセンス)。
死と恐怖の間に言葉としての関連性が無いのです。
「死んだらおわりそれまでよって事なんでしょうね(好き好んでそうなりたいとかある筈ないけれど)。今100%で実存しているので”今の自分”にとっては全く関係の無いことだが。」
(仮に結構高い確率で、5分後にロケット発射に失敗し死ぬかもしれないのだとしても《勿論それは全力で避けたいが》、集中力全開の今の自分と恐怖を通じては関連する事項では無い。)


つまり、ざっくばらんに言えば、
自我として、『自意識』をどれぐらいの割合で抑圧しているのかの度合に応じて、死に恐怖を関連付ける割合は連動するって構造です。


■いやいやいいや、メンタル問題の事例の中に自殺衝動みたいのはなかったかね?
説明するまでもありません。
自殺願望は(極端に言えば性欲の発散が目的で)、誤って事故で本当に死に至る事はありますが、メンタルに悩む当人の『自意識』は”絶対に死にたくない”のです。
(それしか思いつかない的な追い込まれによってそうなってしまうだけで)

(注:本当に死を選択するのと、自殺願望や自殺照度は全く違う現象なでの誤解の無いように。)

●現代社会における確信犯的『共同幻想』再選択などの話では無く、
近代以前の『共同幻想』がマジ神がかっていた時代における武士道の切腹で考えてみましょうか。
(現代の確信犯的選択すら超え”殉教者みたいなノリ”の原理主義的適応時代である)
このサムライ達は(葉隠で”死狂い”と評されるように)
葉隠の有名な一節
「武士道は死狂ひ(シグルイ)なり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの」
(ニコニコ大百科から引用、によるとww)
死狂いとは、死に物狂いの事である。
「死に物狂い」と聞いても「必死になる」程度の認識が一般的ではあるが、「物狂い」とは所謂キチガイの事。 したがって「死に物狂い」とは文字通り「死に対して狂う者」を表す。

武士道に生きる者は死に物狂いであるが故に、一人対数十人という現実的に考えて絶対に勝ち目の無い戦いであっても生き残る事がある。
戦闘を本分とする武士は、軍事力や剣術の技能などの武力を誇示する必要がある。
しかし自身がどれだけ強くとも、自身より強い相手や、あるいは一対多数のような確実に不利と言える状況下で力を奮えないのであれば、真の武士とは言えない。

●分かりやすく言えば「死と恐怖はそもそも関連用語じゃありませんがね」な勢いだったという話。
切腹?「ありがとうございます」的な、
(※現実はどうだったのか、なんて野暮な話は置いておいて)

■■■記事タイトルの■■■
「何故に死が怖い人がいるのか?」
その答えは、
死ぬのが怖いのでは無くしてですね、
死と恐怖が強い関連用語となる自我構造と、関連性がほとんど無くなる自我構造があってですね、

自我構造における『自意識』の抑圧レベルに応じて
(経済で言えば中央銀行の金利政策みたいな)
死と恐怖の関連性度合が、『自意識』抑圧度に応じて変化するんです。

抑圧度が高い→今の100%の自分が実存できない→死に恐怖が関連する
抑圧度が低い→今の自分は100では無いがかなり実存している→死と恐怖の関連性が薄まる
全く抑圧が無い→今の自分が100%実存するため、死と恐怖は”個別の話”になる。




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