■本筋、これに類する認知の偏向は「メンタル問題と全く関係無く誰にでも起きる」のです。
典型例が「(発表会やスポーツ大会などにおける)プレッシャー心理」であり、
ゴルフなどにおけるイップスも同じ。
それを不安心理と片づけてしまうのは簡単だが、認知のプロセスを追うと「その恐怖が脳内では(嘘では無く)事実である」ことがわかる(厳密に言えば不安とは言えない側面もあるワケで)。
どういう流れかと言えば、
プレッシャー心理とは「失敗した場合の観客や周囲の反応をシミュレートして、あたかもそれが本当に起きたかのように(教訓として重視すべき過去事例であるかのように)認知されている」。
人間は映画や小説をリアルであるかのように感情移入できるように、外世界にある現実をそのまんま認知することは不可能であり、その他の動物と同様になんやかんや五感などで取得された情報を脳内でイメージ化して認識している(凄く微小だけれど現実時間との間で僅かのタイムラグも存在する)。
言うならば現実認知の仕組みは取得された情報から脳内スクリーンで上映される形で認知されているワケで、
(絵の上手い下手があるように)元ネタを視覚情報で確認しているとは言え、脳内で認知されている情報イメージはそのままの現実では”無い”(直感像記憶は特殊症例ジャンルですから)。
二次創作とまで言わないが、監督なりプロデューサーなり『共同幻想』なり余談なり様々なフィルターがかかった映像でそれを理解している。
「ジャーナリズム的にだとか客観的に、中立的に」などの文言があるのは、意識的にフィルターを解除するように(自意識マターで)もっていかないとなんやかんやと偏向しているのが常態であり(好き嫌いや危険フラグや様々の付箋用紙もくっついている)、
「どの花が綺麗に見えるのか?」が千差万別であることからも推察がつく。
(その人が綺麗と感じる花は映像イメージの中で何らかの強調が行われていると考えるのが自然だから→故に絵画は芸術となるのであって、、)
話は戻るけども、
「失敗した場合の観客や周囲の反応をシミュレートして、あたかもそれが本当に起きたかのように(教訓として重視すべき過去事例であるかのように)認知されている」プレッシャー心理ってのは、一度脳内でやらかしてしまうと(ゴルフのイップスじゃないけれど)、事実認定ジャンルとほとんど違いが無い。違いがないから「二度あることは三度ある」心理から本気で強いプレッシャーの形で認識され、その恐怖は嘘でもなければ妄想でも無い(脳内スクリーンに上映されている形式は現実とほぼ同じなのだから)。
でー
プレッシャーと言えばそのまんま「強迫性」に関連付けられるのだし、
認知症の場合など失敗シミュレーションをやたら自分自身で反復してしまい(重要なのは失敗することそのものを気にしないことが肝要なのだけれど)、輪をかけて極度のプレッシャー下におかれているかのように(=あたかも「強迫心理」下の自我のように)、興奮状態になりやすくなったり次から次と些細なことまで重大事案であるかのような悪循環を生む。
スポーツなどのプレッシャー論で言えば「アレ失敗したらどうしよう、これも失敗したら」といくらでも拡大可能であり、一度陥ると際限が無い。
■心理学における「強迫心理論」なるところから考える場合、
強迫心理の手前、一般用語の語彙範囲の単純な”コンプレックス”さえあれば「結果論としての妄想」はなんぼでも発生してしまう。
その妄想とはスポーツなどにおけるプレッシャー心理のネタ元となる「失敗が連続する想像を現実と誤認する」形の結果論としての妄想だ。
スポーツ心理のところで説明したとおりで、そのイメージは嘘では無く脳内では現実とほとんど違いが無いのだから、当人にとってそれは「決して妄想などでは無い」のだが、理論的・結果論的に説明すればそれは妄想に他なら無い(まだ現実には起きていないのだから)。
■さて、この心理状態がまた二次派生をしてしまう。
典型事例がヤクザやDQNの「お前今俺見て笑ったやろ」に代表される因縁を付ける行為である。
(勿論彼らが暴力的威嚇性能のあるファッションしたりするのも”コンプレックス”が原因なのだが)
彼らが相手となれば、視線が偶然合ってしまっただけでも「お前誰にメンチ切っとんじゃワレ」に発展するのだから。
彼らの脳内では「俺を馬鹿にした」イメージはほとんど現実と差異が無く、嘘では無い。
↑
極論この状況に至ると、現実はどうだったのかなど確認取る事もできない。
(何せ当事者の片方の認知が”現実離れ”しちゃっているのだから。←しかもそれが嘘では無いから確認しようが無いのである。)
そもそもが、本当は笑ったのか馬鹿にしたのか?の確証を得ようとする行為からして無駄であり、
そんな必要は「あ り ま せ ん」。
何故って、
それはスポーツなどのプレッシャー心理における脳内上映された競技の失敗シミュレーションの可能性を論じるようなもので(可能性あるから想像しちゃうんだから)、意味が無いし、答えも出ない。
■生物にとってデフォルトの認知状態は『抗(あらがう)』です。
答えは全てここにある。
将来の可能性や、直面する可能性も「賭け論」で語るべきものですから(リスクを踏まえて勝と思う方に賭ける)、『被(こうむる)』(被害者認知=負けを確信する)になってちゃっている段階で認知状況としてもうダメが出てますから。
やれあれがどうだったなどの「個別各論を検証する意味などどこにも無い」のです。
わかりやすい事例なので、
●「ヤクザの因縁」をお題に考えてみましょう。
コンプレックスなど全く無いと上演設定「彼らの建て前こそ本物」と仮定してみる。
最強の男で誰もがビビってる俺に正面から視線を向ける度胸のある奴はこの街にはひとりもいない。
<終わり>
そうです、終わりなんですよ。
このヤクザは周囲で笑顔を見せる人物や自分越しに交差点に目をやる人、うっかり自分にぶつかりそうになる人がいても、周囲は最強の俺にビビっているという認知が揺らぎませんから何とも思わないのです。
仮に、
仮にですが、
とち狂ったチンピラが本気でそのまんま正面から目を据えて「メンチ切っとんのかワレ!」とヤクザに向けて発言したとします。
通路を塞ぐほどじゃなければヤクザはそれも無視し、
「オイオイ無視してんじゃないぞ、お前だお前」と肩を掴まれた瞬間(無視しているチンピラの言葉は頭にも入っておらず)、
「何か用があるのか知らないが随分気安く触ってくるもんだなオイ、何か俺に用か?(笑顔で)」
そりゃいつかはこのヤクザもブチ切れするのでしょうが、
いくらチンピラが「テメーに言ってるんだコラ」と言っても、
本気で驚いて「冗談だろ?○○組の○○相手にこの街でそんな発想が脳に浮かぶ人間はいないから、兄ちゃん歳いくつだ?冗談は顔だけにしておきな」となり、
「あれ?本気、本当に本気の話かよ、、エーーーー!!!マジ、考えられない」の後に、強烈な右フックなどなど展開するのであり、
↑
プレッシャー心理や、強迫系『被(こうむる)』認知状況との差異がどれだけのものになるか、考えるまでもなく誰でもわかる筈です。
(※似た事例は「容姿にコンプレックスのある人物の恋愛不安VS見当違いなぐらいに俺はモテると勘違いしている若者」などのケースでも大きな差異となる。)
■時にスポーツ心理学的に、プレッシャー心理発生を避けるため「あえてビックマウスとなる」ってのがありますが、着想は”当たり”です。
上記対応に名前を付けるなら「大きく『抗(あらがう)』スタンス時の人物像の模倣(このシミュレーションを脳内で行えば認知構造はそれを現実同様である風に考える)」でしょう、
但しこの方法は、当該人物に役者の心得というか(そこ脳内シミュレーション上手じゃなけりゃ演出負けで現実っぽいねと認識されないことにもなる)、できる人とできない人がいるんじゃネと思います。
心理学的には(面白くもなんともないかもしれませんが)、
「現実として語られる状況」の中から、認知状況から類推される”現実インフレ”を割り引いて、同時に認知状況が変化した場合無効となる事象は「なかった事も同然」と仕訳して(それはなんとか妄想であるなどいちいち説明する必要も無い)、
『被(こうむる)』認知に陥っていないのかをしっかり検証する。
そこに尽きます、
(被害認知の怖いところは、煽られた不安や不快への興奮が脳に快感分類と判定され、追体験を求めて更にエスカレートする悪循環・あるいは不快な快感依存状況みたいな事になる可能性があることです。「鬱で言えば、鬱が更なる鬱を招く」みたいな悪循環。)
この辺の認知の仕組みは広範な状況に発生するので、重要なテーマのひとつです。
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