2016年11月25日

「実は世の中”必要の無いものだらけ”である」(1)

「どうでもよくないことなどこの世に無い」の活用編です。
ちょこっと前回エントリーにも被るかなと思いますが、専ら経済・社会学的な話です。
特に近代以降先進国以前までの『共同幻想』における重要項目強迫心理である「社会適応」ですが、その合理性が担保されるのは、封建社会における原始的共同体から近代前後までの重農主義的な世界における話であり(焼畑であるとか収穫など生産と”生存”にそれは直結していた)、
英国に始まる産業革命以降、これは労働者の概念への変容しますが(及びそして国家や地域社会の下部構造へ階級的に組み込まれヒエラルキー構造も高度化し)、

左翼思想をアレするつもりは”まったく無い”のですが、マルクス先生の予言のとおり無計画な増産は過剰在庫を生みいずれ破たんします。ところが、実世界では、そこに「市場」が最適化機能を発揮することで過剰在庫の問題等は速攻解決したワケで(そこに大恐慌や大戦争による教訓なども得つつの難行苦行でもありましたが)、民主主義も論理的には市場原理の一種です。
一見すると市場経済は万能にも見えますがグローバリズムやら戦後の労使対決階級闘争やらケインズ先生も言う通り機能しない局面や状況もあります(故に政治が重要になる)。

ここにも”しかし”がありまして、
ひとつの典型が「米国の国債」って代物です。
米国は莫大な財政赤字を抱え、日本のバブル経済時代などに顕著でしたが、
「日本の黒字は実はそのままでもいんだわ、米国の国債買ってくれればお金は戻るから」つー側面あったのですよ。
何故なら米国ドルは国際通貨であるが故に、ナンボ刷っても(ほとんど金準本位制が確立しているかのように)価値が暴落しません。←勿論その意味は為替市場の中で乱高下はしますがハイパーインフレに及ぶような破綻は起きないワケです(ここ過剰生産デフレ潜在力も織り込みつつね)。

なんつーか「それだけドルで買えるものが実態として存在し続ける」からです。
これが先進国の特権とも言うべき造語ですけど、「需要創造」って言えばいいですかね、
資本主義が発明した「信用創造」超える(インフレターゲット派が根拠としているような)ファンダメンタルって代物です。
 ↑
経済学用語が存在するのか不明ですが、財政破たんなどの計量する上で(インフレターゲットなどの推定にもなるんですが)「過剰生産デフレ潜在力が=需要不足」となりますから、言い換えるとマルクス先生じゃありませんが”過剰生産力”なんですな(それだけ先進国の生産パフォーマンスがでかいんだと)、
加えて、先進国の場合国際為替の関係で通貨の安い発展途上国の商品が廉価にナンボでも流通します。”過剰生産力”に加え”過剰流通力”みたいなものも母数になると思われ。
この”過剰生産力”と均衡する税制出動ならどんだけ財政赤字がデカくても(流通がおっつくのでハイパーインフレは起きないので)無問題なのです。
むしろ、需要不足を放置し経済ファンダメンタルが縮小してしまう不況(潜在過剰生産力もろとも縮小)、それこそ本物の経済失速です。

つまり単年度なりのGDPの比率に対して妥当な範囲内(需要不足範囲内)であれば、赤字国債をナンボ刷っても問題無いのです(GDPに対してデカ過ぎるとかはヤバいけど)。
※累積財政赤字が問題になるのは「借金の支払い額がデカすぎて予算における自由に使えるお金が相対的に減り続ける」ところに尽きます。問題の中心は「需要不足を埋めきれない」部分です。
昔の借金を緩やかに踏み倒す最も適切な方法は”インフレ”ですが、先進国各国は安定成長期に入りインフレが0になったり、通貨高や投資先不足によるバブル破たんやらデフレリスクが高まった事が「円滑な財政出動による需要不足解消プロセスを損なうことになった」と考える事もできます。


な、こんなで、
■たとえば、
日本も莫大な財政赤字を抱えてますが海外資産などの総量はその負債を超えており、国家全体の会計は債務超過になっていません(十分な担保があるみたいな)、米国同様に国際通貨円により「円で買えるものが実態として存在し続ける(或はそれに見合う生産増が即座に可能である)」先進国です。
こうなると、インフレターゲット派の考えのとおりで「ハイパーインフレ手前までガンガンインフレさせれば財政赤字は緩やかな踏み倒しで帳消しにできる。帳消しにされたくなければ投資しな。」つー政策が可能になります。

経済学ってものが実にインチキ臭い、うさん臭い学問である真骨頂ですが、
実に錬金術みたいな発想です(本当に経済学はそういう代物ですから)。
その手前にデフレ時代があったように、通貨暴落の心配も無く過剰生産も可能なファンダメンタルがある場合(=先進国)、理論的にはハイパーインフレは起きません。
需要に答えて生産(或は流通増)できるからです。
●確かに昨今公共事業が所得分配機能を失った事例にあるように(従事する労働者の数が減っている)、生産が追い付かない部門も存在しますが、ここもロボット産業が埋めようとしてます。
あれあれ?となるとロボットに給与を支払うのか?
それでいんです。その給与を徴税して直接所得分配する仕組みを考えればいいだけ(バラマキとも言う)。

この話になるとやれ労働倫理がどうこうなんてーな話出てきますが、
それに類する概念ってのは『共同幻想』社会適応の同調圧力を支援する方便にすぎなかったのでありまして、
60年代の高度経済成長時代ならいざ知らず、高寿命と子供手当により人生の半分以上の期間を「直接所得分配により生活する先進国」の場合、既に実態は現実と乖離しており(労働による所得分配だけが実需であるみたいな構造はとっくの間に辻褄が合わなくなっている)、

経済学的に言えば「需要不足があるなら消費性向の高い階層に直接所得分配すればよい」論点の方が重要になります(企業の内部留保が問題とかの話とも関係しているんだけども)。
●先進国経済においてはある意味「消費活動単体でも立派な仕事」だからです。
(勿論この場合の”仕事”は、労働を意味しない”運動”や”物理的仕事量”みたいな意味ですが)

さて、ここで実にめんどくさい話が登場してきます。

<つづく>


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