2015年12月13日

「高望み」

(ちょいと前回の続き的な)

向上心と高望みは違いますわね、
高望みってのはお門違いな水準を期待するもので、見合った努力なども計算されたものではありません。なんというか漠然と「もっと高いレベルじゃなければ満足しない」みたいな心理です。
あんまり馬鹿馬鹿しい話なので、ことわざじゃありませんが「高望みしてもキリがない」ってオチがあります。ええ、漠然としているから尚の事です。
即座に「極端な話をするつもりはありません。私は少なくとも○○程度であればって言っているんです」なんて返しが聞こえてきそうですが(まーこういう人はその水準になったらなったで違う高望みネタに変遷するだけなのですけれど)、「そりゃお門違い」ってものです。
「どの程度が高望みとは言えない水準なのか」なーんて誰にも決められる話ではありませんから。
つまり高望みってのは、現在の自分では手に入らない(1mmでも)権威的認知で”上位”と分類されている事が達成されていない限り満足できないって話です。

既におかしな事なってますね。
(権威性認知の無い『単独者』の場合、全ての事象は”それぞれ”であり、上位下位などの順位付けが標準的概念みたいに存在しないので、『共同幻想』適応人格などの「権威性の認知無しに事の上位や下位を認知できない」。)
なんだか、思いっきり、
最初っから、まずもって、
人間の認知構造上「高望み」ってのは当事者が『共同幻想』適応人格でなければ派生しないのであります。『単独者』にとって何が上で何が下だとかって決まってるのはエスカレーターの進行方向ぐらいなもので、標準化された上位・下位の認知が織り込まれている以上、当事者は『共同幻想』適応人格でなければならない。

おやおや、
これもおかしいのです。
当事者が『共同幻想』適応人格であれば(『共同幻想』社会の上昇志向はインセンティブであって本質では無い)、向上心として「できればこうありたいね」はあっても「こうでなければ満足しない」なんて心理にはなりません。
極論『共同幻想』適応人格ってのは、全ての優先順位の中でMAXなのが「所属社会の身分」ですから、「野球部補欠要員の幸福」のように、どんな立場にも生き様ってのが存在します。言うならば努力目標や理想はあっても「今そうなっていないから満足しない」と考える人物はいません。
そう考えちゃうのは『共同幻想』適応選択社会の中でも「ダメなパターン」であって、だからこそ冒頭の「高望みしてもキリがない」なんてオチまで用意されているのです。

前回エントリーの『殊更に「こうでなければならないのではないかと思ってしまう」心理』よりも強度の高い話になってます。
(強度というか、そんな風に思ってしまうだけでなく、そうなっていない事に不快興奮する形で興奮水準が倍化している。心理経済学的に反動化起すと興奮は反動係数が掛かり増大するため。)

ぶっちゃけ、高望みなんて心理は強迫系というかメンタル問題無しにあり得ないからです。
ここまで読めばわかると思いますが、
『共同幻想』適応人格としてメンタル的に破綻していなければそんな高望みしないのでありまして、
『単独者』であれば、上も下も無いワケで、
高望みって現象自体メンタル問題抜きに語れない。
(前回エントリーの「こうだったら妄想ホワンホワン」みたいな可愛い妄想では無い。)
皮肉な話で、
この「高望みしている人の話」を仮に『単独者』が聞くと「その話のどこに高い部分があるのかトンチンカンでさっぱりわからない」なんて事にもなります。

■ここで振り返るべきは『共同幻想論』の基本で、
『共同幻想』社会は決してガチの競争社会じゃ無いし、社会構造的には階級社会ですがその内実は互助会であって「誰も本気で直近の上級者を偉いと思っていない」ところです。
(※本気で偉いと思っているのは『共同幻想』社会それ自体ですから。言うならば「野球部愛」「愛社精神」的な、)
確かに『共同幻想』はある種のエンタメ的にインセンティブとして競争原理を織り込んでいたりしますけれど、これは本気で”催し物”でありまして(確かに野球部でレギュラー争いを真面目にやるのは事実ですがこれは野球人として恥じない生き方をするためそうなるのです)、結果誰が上で誰が下になったなどの顛末は積極的に評価されませんし、当人もそれほど気にしないのです(ド末端でもOK)。
極論「どうぞぞうど、いえいえわたしなんか」といった形で(責任重いと仕事も増えるしストレスになるから)、クレバーな適応者は上位フラグを避ける場合すらあります。

時に政治家なんてなる人はどこかメンタルに問題があるのじゃやないかって話もありますが。
「そ う で す よ」(あったり前ですよ)
(一部臨○系では医師弁護士芸術家政治家などにサイコパス多いよなんて分析しているケースすらある。←戦国武将で考えてみたら同感な方も多数でしょう。プロスポーツ選手にも多数と思われ。)
フロイトも説明に困って『昇華』なんて持ち出しちゃったぐらいで、
高望みがですね、英雄志向や帝王学的に「はまっちゃう場合」があるんです。
いけちゃうぞこれがって、
前回エントリーの「こうなんじゃないか妄想」だと反動化していないので(反転していない)妄想を続ける事と実現性の無さって落差に興奮のポイントがありますが、
高望みとなれば「そうでないことが許せない」という反動化した不快感になっておりますので、「こうなんじゃないか妄想」だとそれが本当に実現すると「いやあ本当にそうなるとかないかな」とダメ出しも簡単だったりしますが、高望みは反動化しとりますので(更にエスカレート)非現実的成功のような覇権や征服のような事が実現すること”当人アリアリ”になってしまうのです(実際今そうじゃ無い事に腹立たしいとなっとるワケで)。

前回の話が
幸福欲求は大いに結構ですが、
幸運欲求は大変危険なら、
『高望み』ってのは「(この望みは幸福でも幸運でもない)俺の実力で覇道である」みたいな欲求が隠れている事になり(一体何と戦っているのやら)人間の平易な動機形成の限界超えちゃっているのであります(そういう意味で現実と乖離した動機形成が可能になってしまう)。
ずばり「どうかしちゃっている人達」なんですが(笑
(※時にプロスポーツ選手の場合、普通に向上心の枠内で捉えられちゃったりしますけれど、棒使って二階以上の高さを飛び越えるとか、速度160キロで硬球投げるとか、市井の民には現実から乖離も何も想像上もあり得ない話ですから。)
 ↑↓
ある意味の『歩留り論』なんですよ。
心理学的には自我構造論的に「メンタル問題」に間違い無いのですが、当人それでOKの場合(問題視していないのだから)、それは選択された個性です。
反動化の結果、動機形成も疎外されないし、当人それでいけちゃうならどうぞとね。
■心理学は時々勘違いされますけれど、「どうにかなりませんか」みたいな依頼が無い限り心理学はノーコメントで「どうぞお好きに」というポジションであって、当人から「この問題はなんとかならないか」みたいな問題意識が無い限り(或いは心理学的見解求める質問でもない限り)心理学から好んで事に介入するとかありません。

●報復欲求、幸運欲求のついでですが、
「ラッキーだった、運が良かったついてたな〜」と思う時。
=思いもしていなかった結果があった時ですからね。
事前にそれを望んでいる状況で、「運が良かった、幸運だった」という状況は構造的に発生しないのです。事前にそれを望んでもいない時にしか幸運は発生しません(せいぜいが事前に思っていても「だったらいいな」程度の話)。

<話し戻りますが>
まーね、通常「それでいけちゃう」だとか「当人やる気満々」なんて状況が発生する事自体レアですから。想定外の更に例外事項みたいなものです。『共同幻想』社会における特権階級なんてほとんど人為的に制度化されている力技なブ部分がほとんどなので(所謂既得権益)”社会的演出”という一面もあるんですけどね。
●ひとつ着想として
心理学的原則論の「結果論には関係が無い」ってありますよね。
これを「フロイトも始末に困った『昇華』論」と合体させますと、
高望み心理が「すっごく意欲的な”いけてるいけてる”これはいけるぞ」という楽観論で塗り潰されてこれが継続する場合(結果がついてこなくても一向に萎えない)。
「ドンキホーテシンドローム」と命名してもいいのかもしれない(笑
(かの小泉元首相などこのタイプかも)

少なくとも特異体質的能力が無い一般的人類の場合(『共同幻想』適応人格ほど権威性認知社会であるため”結果論”で右往左往するので)、「現実の厳しさ」なんて言葉で説明されている経緯により『昇華』な躁状態は継続せず(我ながら非現実的だと判断していて)、実現可能性のより高い鬱状態に陥る場合が多いことが推定されます。
更に、鬱状態快感原則により上記の高望みネタによる鬱状態は構造化し(不快感による興奮代謝循環が定着固定化)当事者からも「これは問題だ、なんとかならないものか」と”メンタル問題化”として認知されるケースが圧倒的多数でしょう。
(逆さまに考えると、天才ほどスランプの危機は鬱病並みに深いと言えるのかもしれません。)


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