2015年10月10日

補完記事:他人が幸福そうに見える誤解


こんなの昭和の方々には「他人の庭がなんとやら」だとか「友人の女房がこうである」なんて話で説明するまでも無くご存知かと思いますが、平成生まれの若い方にはピンとこない場合もあると思います。『幸福論』を独立して書く意図じゃないですが、補足説明やっときましょう。

この話は一般的表現でいう「ねたみややっかみ」などという単純なものではありません。
本人自らそう選択しているのではなくて、所謂「あてられる・見せ付けられる」って表現ありあますが(みたまま受動系で『被(こうむる)』なんですけどね)、
「そういう感情に支配される、どうしてもそう思ってしまう」場面の解説です。

『単独者』の場合、所謂(『共同幻想』用語であえて言いますと)”価値観”を共有する他者がおりませんので(またその共感を他者に求めることも無い)、前述のような状況「他者による幸福そうなプレゼンテーション」が仮にあったとしても苦笑するだけです(コントですか?ぐらいの受け取りになる)。
しかし、やたらとそんな状況に不安感を訴える人物も少なくありません。

■典型事例は「女性の結婚願望強迫系のケース」となるでしょう。
「友人・知人の結婚式帰り道で強烈に鬱になった」などなどです。
ご存知のとおり『結婚願望』というものは思い切り「強迫心理」であり、本人がそこを問題と訴えれば疑いようも無く”メンタル問題”の一種です。
話の前提はこうです。
・『共同幻想』はその母集団の力を維持・向上させるため後継者や新規加入者などの自然増を求めます。
・原始的『共同幻想』の権力の源泉は”性行為の管理・監督権”であり、端的に言えば『共同幻想』権威や権力が”認める”正当な性行為の許可が「結婚制度」です。
(発端である目的が前述内容であるため「やたらと子供は何時生まれるのか」などが付随する。)
・『共同幻想』には内部競争を煽る目的で”インセンティブ(利益誘導)”を効かせており、認められるという概念の延長には出世などがあるように、「結婚を認められることは(権威が認定する)祝福であり、組織内身分も上位者になる」という幻想が”連想”されます(風が吹いたら桶屋が儲かる話と同じ)。
・結果として(話全体をぐるーっと見回すと)「あたかも独身者でいることが”下層で劣る人間”であるかのように連想」されてしまう場合があります。←勿論これは錯覚で、そもそも『共同幻想』がなんちゃって設定したインセンティブが”勝手に祝福であって幸福”という物語になっている都合があるだけで、『共同幻想』もその”逆インセンティブ”とも呼ぶべき「独身者の憂鬱」などに至る思考を織り込む予定はありません。
・旧来の『共同幻想』黄金時代の場合、ある意味「独身者」は想定されない(地域の有力者などが『共同幻想』のネタバレ崩壊を防ぐため損失補償のように「幸福の導き手としての『共同幻想』の神話」を守るため「結婚を斡旋」した。有力者は後家の面倒までみました。→勿論当該『共同幻想』に対する忠誠を宣誓した構成員が前提)。
 ↑
つまり、結婚があたかも幸福であるかのような興奮も「そもそもネタ元は一種の捏造」であり、そういう設定のドラマを見た視聴者が(こうなったら勝者みたいなドラマ固有の設定)、その後の展開に一喜一憂しているのと現象としては同じです。

●重要なポイントは、『結婚願望』が広く発生した時代の『共同幻想』は「自由恋愛や結婚によらない性行為を宗教道徳などで禁じており」→戦後日本の自由恋愛・自由結婚(親の許可がいらない)以降は本来消滅するのが自然です。

ところが、これが残っている。
「その残り方は”ほとんど伝説”のような『共同幻想』の残滓」であって、
実体としては根拠となる背景事情はとっくに消滅しており、平成時代にもなって『結婚願望』なんて話がどんだけナンセンスであるか説明の必要も無いぐらいの話です。

■さて、そんな現象が各方面にわたり現代でも残留しています。
「今時出世コンプレックス?」
「今時友人と旅行があーだこーだ」
「今時学校の偏差値に一喜一憂とか、、」
「今時、結婚願望って昭和生まれですか?」
これらの残留は、ひとえに『共同幻想』そのものに対する”コンプレックス”が(=認識のエスカレート構造・過剰化)現代では通用しないようなネタを持ち込んでいるもので、
 ↑↓
おや?
あれれ?
今回の始まりに、
>所謂「あてられる・見せ付けられる」って表現ありあますが(みたまま受動系で『被(こうむる)』なんですけどね)、
>「そういう感情に支配される、どうしてもそう思ってしまう」場面の解説です。

ってなかったか?
前述の説明では、あたかも自作自演の”コンプレックス”みたいな説明だが?
こんなご意見も出てくるでしょう。

早速説明します。
■『共同幻想』のルール「そうだよね?(共感フラグ)」そして「個人情報秘匿の禁止(旅行後も写真などを公開して情報共有をしなければならない)」
『共同幻想』適応外の方には時にその姿が「自慢しているのか?」と勘違いされてしまうのですが、これまったくの誤解なのです。
「それはよかったね〜」「そうだよね。」
「そうなんだおめでとう」「ありがとうございます(幸せそうな顔をしなければならない)」
『共同幻想』には上記のような会話の取り決めがあり、実際当人その気になって言葉で話すとおりの感情になるなる事も多数になりますが(俳優さんが自然な演技の中で本当にその気持ちになるかのように)、それは”本音”ではありません。
というか、『共同幻想』適応系人格の人物の本音を聞くことは非常に限られた条件が必要で(たとえば相手が『単独者』であるなど)、通常それを聞くことはできません(『共同幻想』適応人格の本音が聞けるプライバシー空間は風呂とトイレの中だけですが、「裸の付き合い」とばかり銭湯などで同席しても本音は聞けません)。

彼らには自慢の意図など無く、どちらかと言えば「義務・職務」として「こうだったんだよ〜」をやらないといかんのです。
結婚式でお披露目が必要なのも「個人情報を共有するため」であって、見せ付ける意図はどこにもありません。←そりゃ演技者の勘違いじゃないですが、その気になって自慢げにやってしまう人もいますが、この状況は「『共同幻想』崩れ」な劣化状況に過ぎません。
 ↑
つまり、この状況に遭遇して「見せ付けられた」だとか、ましてや「あてられる」などの認知で、勝手に受け手がコンプレックスを発動するなんて状況は、トンデモな勘違いなワケです。
●同時に、当該人物は『共同幻想』にガチで適応選択していない証明でもあります。
(ガチで当該母集団の『共同幻想』適応選択していれば、それが儀式的なものであったり、権利・義務で行われている事を疑いよう無く”共有”するからです。)

勿論ですが、『共同幻想』適応選択人格の発言する「幸せ」などの言葉は「公式的なもの」であり、その本音がなんであるのかは誰にもわかりません。
(「実はね」なんて言葉を聞けるのは、飲み屋のバーテンダーかタクシーの運ちゃんぐらいのものです。)
親友ならその言葉を聞けるのじゃないか?と思われる方もいらっしゃるかもですが、
『共同幻想』適応の世界は「そんな甘いものじゃありません」。
そもそも誰々と親友(『共同幻想』社会による”共有”されない個別の特殊な関係)なんて行為そのものが表向きは「掟破り」だからです。
最もその可能性(掟破り)が偶発してしまうのは、「禁断の『単独者』の誰かと親しくしてしまった場合」になりますが、この時点で本来的には『共同幻想』適応社会の違反行為なので、その誰かと親友であることは当該社会に伏せられていたりします。
(下手にバレると、それが発端でイジメ関係事項に発展する場合もあります。)

■つまり、
『共同幻想』適応人格な人の振る舞いを見て、
「うらやましいだとか、すばらしいにきまっているだとか、それに比べて私はどうであるとか、」
このような心理は、「トンデモ級・二重三重の誤解の更に誤解の誤解である」という”落ち”です。

(※繰り返し念押ししておきますが『共同幻想』の幸福とは「そこに所属し身分を得る」ことで完結しており、その中であーだったりこーだったりする部分は仕様末席の瑣末な差異に過ぎません。そして、その瑣末な違いをやたら大きく取り上げたり(下げたり)マジに自慢する行為は「美しくない」とされており、正規の『共同幻想』構成員から嫌悪され「その情報が共有」されます。その証拠に災害などが発生し共同体そものが崩壊した時、住民は個々の利益より以上にその所属階級に関わらず「共同体再生」が最重要課題となります。)

●「じゃなんでそんなめんどくさい論理に(離脱できずに)縛られてしまうのか?」
答えは簡単です。
幼児期(自我活動として差別的に誰しもが『被(こうむる)』状況に追いやられる時代)、反抗期による現実アップデート(その都度自主独立領域の拡大)をせずに(或いはできない事情があり)、旧来の依存性・固着性(幼児特有の権威性固着)が温存され(=あてられる、見せ付けられる場面ばかり継続)、「幼児が大人の社会をやたら凄いものだと信じているのと同じ図式とスケール」で「『共同幻想』のやることなすこと眩しく見える」からです。←勿論完璧な錯覚に他なりません。

「その体感は事実であっても、そのような現実は存在しないのです。」


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