しかしですね、
現場の自衛官ですら「日本単独での活動は現状あり得ない」と言われている状態でして、
海上自衛隊のイージス含めて、軍用GPSの利用やら情報共有システムやら、間違っても日米安保条約破棄なんて無理な相談です。自主独立防衛の方策は、地味でも偵察衛星や位置特定衛星(みちびき)を自前でそろえ、戦闘機の自主開発など地味で時間かかる話でありまして、
「この間、南シナ海含む北東アジアの作戦において、米軍とのガイドラインを前提とする協力関係の拡大」は避けられないところがあります。
他に方法あるのかよ?って聞かれると「無い」からです。
尖閣問題などで「米軍は安易に実力行使の面で日本の援護をしないかも」それでもです。
(前述の通信関係などの海上自衛隊の使用は自由だろうから。)
少なくとも、米軍まで敵に回す事が無いってのはデカイ。
時に米国は日本に対して内政干渉まがいの恫喝やら謀略やらもやりますが、基本的に彼らは「堂々と交渉してくる相手」は尊重します。中国や韓国への弱腰対応見れば明らかで決定的に決裂する事はありません(米軍だって海自の潜水艦”そうりゅう”怖いだろうし)。
米国の謀略だのジャパンハンドラーの存在など「当たり前の話」としてですね(小沢パージでその辺も慣れました)、こっちもやることを地味にやっておかなければならない。
何も戦争をやろうってんじゃありません。
しっかり安全保障をやって、手強いと思わせる自力をつけなくちゃいかんのです。
今回の法案を利用すれば、助け求めているベトナムやフィリピンやらが攻撃されるとか、或いは台湾が交戦状態になるだとか「日本の存立が脅かされる事態」となった場合「そこの海域のどこかに米国艦艇さえいれば海自の防衛活動は可能」が使える可能性がある。
それだけでも中国海軍の無謀な動きに抑止効果あるでしょう。
米国の一部には中国の空母キラー弾道ミサイル(東風21D)を意識して「厳密に言えば、その発射をもって全面核攻撃可能」だとしても(命中精度的にはほぼ直撃はあり得ないのだが)、解放軍の判断は「東風21Dは相互確証破壊(MAD)の対象兵器ではない」って事だと、微妙な話にもなるワケで(これがまた相互確証破壊の概念はマトモな民度の為政者を前提にしてるから、、)「とりあえず空母打撃群はグアム後方へ」と考えてる動きもあるのね。
しかし日本の場合だと東風21Dは日本全土が射程距離だから(笑
後方もクソも無いワケさ。
勿論日本には核兵器は無いが、仮に中国が南シナ海から沖縄海域付近などに向けて東風21Dを発射するとするなら、もうそれは明らかな「日本の存立が脅かされる事態」だよね。
その狙いが米国の空母打撃群だとすれば十分集団的安全保障の範囲となる。
日本のイージス艦からSM-3で迎撃してもよい。
「東風21Dの発射は”発射それ自体”が日本の存立が脅かされる事態である」と定義されるだけども大いに意味があります。”非核兵器”で核兵器を抑止できるんだから。
そのさ、イージス艦からのSM-3による迎撃において米国の協力は”間接的”でも不可欠だから。
更に、この”微妙な核兵器”である東風21Dから日本を守るには今回の法案は必須でしょ(名目は海上艦艇に向けて発射すると言ってても日本全土が射程内である以上、日本としてはICBMと違いが無い)。
孫崎さんあたりは誤解して既に中国に降参しちゃってる前提だけど、中国もねロシアの飽和攻撃を真似しても「いきなり全弾発射」とかできんのだから(日本本土に向けての巡航ミサイル攻撃や弾道ミサイル攻撃は中国にとっても全面戦争開始の腹が必要なんだし)、中国の情報筋がどういう判断しているかわからないけど、向こうさんにもイージスが何隻あるともう無理とかの判断だってあるだろうし、彼らは海自の潜水艦を発見できんのだから潜水艦からの「対艦ミサイルという名の対地攻撃」を覚悟しなくちゃいけない。
そもそもロシアの飽和攻撃を真似るって事は巨大な軍事予算が必要で、ロシアがそうであったように「経済への負担が大きい」政策なのだからやる方も大変なんだぜ(先方は日本のPAC-3やイージスのSM3保有数の何倍とかの話になる→だから現在日本は「地上型イージス」導入増設も検討しとるワケで)。
ましてや海自潜水艦からの攻撃だって話になれば中国国内大混乱も予想される中、解放軍の全戦力を対日戦になんて自殺行為です。
こういっちゃなんだけど、核爆弾二発くらっても、原発メルトダウンして爆発しても耐えた国ですよ(相手はそう見てるんだから)、
そして孫崎さん最大の誤解は、中国の通常弾頭のミサイルが仮に滑走路に直撃しても数時間で修理できるって事です。てか、その攻撃が中国の潜水艦だとすれば「直後に沈められるから」。解放軍にとって日本本土に対するいかなる攻撃も国家的カミカゼ特攻みたいな話になる。
中国軍の絶対優位は無いし、数年前孫崎さんは中国の経済成長疑ってなかったけれども、予測どおりにバブルの破綻でえらいことになってますよ今。
むしろ脅威は中国の「経済崩壊による内戦」と「一部解放軍の暴走」です。
いきなり中国軍が全弾発射みたいな飽和攻撃を想定する孫崎さんの説明には無理がある。
そして、今回の新安保法制には「それなりの意味がある」。
釣り人オザーさんは、戦前の事があるから官僚の暴走が心配なので自衛隊の一部を国連軍にってアイデアもさ(それも見解だと思うが)「暴走しない官僚や政府の確立」のが先の話だろうし、そこが担保されるならオザーさんも集団的自衛権自体に反対しているワケでは無い。
安倍政権の今回の法案可決の背景には、過去に釣り人が再三「内閣法制局は最高裁なのか」って問題提起したのと同じ目線の法制局長官攻略がある。そこって釣り人が心配していた「官僚支配の構造に対する政治主導」なる手順を踏んでるってことでしょ。
(日銀黒田砲についても釣り人が過去に日銀総裁人事に拘った様子に影響受けていると思う。安倍首相はもっと賢くやった。「財務省との取引」とも言うけどさww)
今回の法案は軍部主導でも、官僚主導でも、ポピュリズムによる国論主導でも無い。
政治家主導の法案だから。←国会答弁の流れ見てもわかる防衛大臣の答弁にまで首相が出てきて野党から「首相には聞いてません防衛大臣!防衛大臣!」なんて状況も頻繁でしたから。
(中谷さんは答弁弱いの与野党とも知っているようだけど、事実上国会は「野党の中谷イジメ」に近かったよねアレ。その様子を野党が厳しく追求みたいな報道されていたけど、随分な話だと思いましたよ。)
しかもさ、中谷大臣って陸自出身で改憲派だけれど所属は加藤紘一宮澤喜一の秘書やってたハト派で、今は谷垣さんとこの人でしょ。
安倍首相独裁やゴリ押しとかの図式にもなっていない(小泉政権みたいなやり方でもない)。
「集団的自衛権は米国主導だろ」って話あるかもしれないが、そこは米国議会の演説でうっちゃってます(今度の法案が安倍首相主導によるものなのは明らかだし)。
何も私は安倍政権支持者じゃないけども、
民主党政権以前の自民党政権やましては民主党政権時代より「はるかにましな政権」だと思います。
■それから
誰かが言ってましたけど(確か国際法関係の評論家)、
今度の法案は「過去の周辺事態法などとそれほど大きな違いが無い」のです。
ぶっちゃけそれほど大きな方針転換も無い、
賢く実を取るなら「周辺事態法の改正」でもよかった。
維新の橋下氏も言っているように「やろうとしている事の大半は個別的自衛権として可能な法案」です(なので維新は個別的自衛権としての対案を出した)。
安倍首相が拘ったのは「(何がやれるのかより)それを集団的自衛権の言葉で法案化すること」にあった。取り立てて大きな変化を求めたものでもありません(この点自衛隊OBからの批判もあるぐらいです)。
●法案趣旨は三原則にあるように「いかに今回の集団的自衛権の定義が個別的自衛権の延長上にあるか」であって、逆さまに読めば「いかに通常の集団的自衛権とは呼べないような法案か」となる。
思うに、彼がやりたかったのは「本音は改憲」なのだけれど、その改憲も(ハトの中谷大臣起用じゃないが)決して戦前回帰的なものでは無く、安倍首相なりの(そこは釣り人同様)「普通の国路線」なのだと思う。日米安保条約があるのに(なんせ55体制時代は一方的に米軍が日本を守る予定だったので)日本が集団的自衛権が行使できないんじゃ「あまりにも不自然過ぎる」というとこだよね。
彼は55年体制自体の日米安保条約は事実上「米国が日本の安全保障をする条約」だったが、米国の弱体化とリバランス(後退)政策により、いよいよ「日米安保条約を文字どおり自衛隊も国防に参加する条約にしなければ空白が生まれる」との判断によるものでしょ。
日米安保の是非に関しては世論も賛成の結論出てんだし。
■安倍政権の後継には改憲派だけどガチでハト派に属するの岸田外相(ゴルゴ古賀後継の現宏池会会長)だとか谷垣さんの名前も出てくるぐらいなんだからさ、
マスメディアの報道っぷりがド・偏向しているのは明らかで(陰謀論じゃないけれど「意図的にどっかの意思を汲んで」ワザとやってネーか?)、
少なくとも「(リベラル系ほど自由度の無い)保守系なりによくやってる政権」だと思う。
(法案もそれなりに評価できますよ。←実際に使う前提の法案じゃないから自衛隊OBから運用面の問題が指摘されてる点もそれほど大きな問題ではない。)
※PKOの警護活動だけは間違いなくリスクが高くなるから、市ヶ谷には隊員の安全に寄与する装備と戦術の詰めだけは万全を期して欲しい。
※「地上型イージス」導入も是非お願いします(国産戦闘機開発より重要だと思う)。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コメント欄に問題となった同趣旨の投稿が続いたため、暫くの期間ブログのコメント欄トラックバックを閉鎖します。閲覧されている方には不自由となる部分もあるかと思いますがご了承ください。(再開までの期間は未定です)
詳しい経緯は下記リンク及びサイドバーコメントリンク表示の説明参照
コメント欄の削除があった件(関係障害について)
http://kagewari.seesaa.net/article/402054291.html
■私のミスで時折記事のコメント欄などが承認制になっていたりしますが(或いは昔の記事など)、現在のブログ運営方針が「コメント欄トラックバックの閉鎖」なので、仮に投稿があっても内容に関わらずもれなく削除となりますので宜しくお願いします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【精神分析時事放談の最新記事】
- 面白い社会現象がある 「欧米人、日本アニ..
- ネット世論が一時的に劣化するのは自然現象..
- なんと「弩級サブカル人」による立花への怒..
- この話が怖すぎる(ねずみさんは知る人ぞ知..
- 微妙というか「なんか気になるポイントがあ..
- 保守とは何かって、「リベラルに対するブレ..
- 保守とは何かって、「リベラルに対するブレ..
- 兵庫県知事選の背景を先日書いたじゃんよ
- まだ残る欧米の人種差別「その新しい解釈」..
- 兵庫県知事選がカオスなことになっているら..
- 日本保守党のズッコケ具合から「保守系世論..
- 森山さんが鍵になるだろうって言ったでしょ..
- トランプ大統領大勝利の背景で、微妙に米国..
- 政治家に評論家のような自由な発言力求めて..
- いちおう書いておこうか「N国の立花氏が完..
- いやはや日本保守党騒動が『心理学』に関わ..
- 5匹の猿の実験
- これはデカイ「財務省の大失態、国民民主党..
- 考えるまでもなくだが、左翼マスメディアは..
- さて、今後の政局