2014年12月12日

たとえば軍隊(先進国の経済政策論)

現在の保守系政治思想ってのは随分と捻じれているんです。
案外ここ論議になる事少ないのでちょっと書いておこうと思うのですが、大雑把に言えば「保守系=安全保障的にはタカ派で、小さい政府志向の減税派」ってジャンルになりますが、昨今の保守派は(どちらか言えば左翼的傾向の強い)ドイツばりの財政均衡論者も多いですし、日本の特徴として諸外国から社会主義だと指摘されるほどの公共事業好き、現安安倍政権も選挙の名目は増税延期となってますが玄人的には「景気条項廃止による将来の確実な消費税10%増税」が本当のところです。
上記の大雑把な保守派分類でも実はまだ捻じれているんです。
米国のコテコテ保守派であるリバータリアンの場合「小さな政府」に軍部も含まれます。
(ベーシックインカムもこの辺の保守派から出ている政策論です。)
市民が各人武装し、国家はバカみたいな戦争をせず国軍など小さくていいのだってのがリバータリアンの発想であり(皆さんご存知通りで米国の州兵は場合によっては自主独立のため国軍に対して州が対峙できるための地方軍なんですから)、軍事予算も減らせってのが真性保守とも言えます。勿論市民の武装する権利を保障しての前提ですが、

流石に真性保守論に寄ればそれもそれで原理主義じゃないですけれど、極端なワケで、更に議会制民主主義の日本においては所謂自民党的保守でも十分に保守派だって事かも知れません。
となると、大規模な軍隊(案外ここ重視されない方いますが「全員公務員」なんですからね)、この巨大な公務員組織を重視しているだけでも労組との関係とかで妙に敵対化するのは妙な話なんですよ。
確かに現代社会は労組も守旧派であり、先進国化によりどんどん組織率は低下しており、労組系=左翼って言えるんだろうかと正直思うのでありまして、某政党の党首が「ウチは保守系だから労組系政党とは話にならない」って話も実は意味不明なんです。
自衛隊には労組はありませんが、巨大な公務員組織なんですから。現代日本の保守系ってのは大きな政府志向を内包している事になります。
てかね、近代あたりじゃ(ナチスも社会主義なんだし)軍国主義やってた人って共産主義や社会主義などの全体主義的なものは『お仲間』でそれほどアレルギーも無いっていうか、近親憎悪みたいな展開はあるにしてもシンパシーぐらいは感じていたんですよ。
なんていうのかな、現代社会で共産党が忌避される最大のポイントは「見ようによっちゃ軍国主義の最たるもののような全体主義や独裁への怖さ」でありまして、イメージ的には極端な保守派に対する警戒感と同じなんですなこれ。(大企業を敵視するところだってですね、これ日本の軍国主義黎明期の”青年将校による腐敗の粛清”とかの話とどこが違うのかわかりません。それこそ軍部に労組があってそこが政権取ったら軍国主義になるのですから。左翼の人は口を開けばシビリアンコントロールって言いますが、自分の所属労組がシビリアンコントロールされたら話は別って事になるでしょww)

あまりにもわかり難いところがあるので、現代社会の保守な方はですね少し論議をまとめちゃったらいいのでは無いかと思います。
「民間民間と言いますが中曽根政権時代の前川レポート的な大規模内需政策はマグレで得意なのは産業政策」「軍部のような(GDP的意味の)非生産公務員の増員に抵抗感が無い=決して小さな政府志向では無い」「財政均衡増税派だ(ここも公的セクターの財政規模が大きくなるのですから決して小さない政府志向では無い)」
現代の保守派ほど左翼的な政治思想の持主はいないのかも知れません。

てことは、期待される野党は?
「日本が苦手な内需政策(所得分配型需要政策)を志向し」「公務員の縮小と(更にNGO・NPOの活用)民間ベースの活性化に主眼を置き」「財政均衡は長期収支を基本として目先の財政均衡をデフレ志向だと断定する」
このようにすると対決軸が明快になるんじゃないスかね。

話を更に経済政策に転じると、
面白い着眼点もあります。
「たとえば軍隊」、経済政策的に言えばやれ生産者人口がどうであるとか、やれ正社員の数がどうであるとかの話になりますが、軍部にとって重要なのは「ファイヤパワー」でありまして、有効な抑止力を可能とする作戦遂行能力です。仮に兵員が少なくても無人機の活用などで十分な制空権・制海権が保持される事が重要で、やれ軍人の雇用数って話にはなりません。
ここはそのまま経済界にも言える事でありまして、雇用数なり所得動向が問題になるのはある意味左翼的発想で、重要なのは生産数なんですよ。或いは必要な資本(資産)、
市場のシェアを保障できる生産額とコストが満たされていれば、雇用数などどうでもいい事なのです。仮にですよ?
軍隊において、前線に大量の兵士を置いて見殺しにするような作戦をやれ労働倫理だみたいな論点で叫ぶ人なんて安全保障やっている人にいませんよ(近代の日本陸軍じゃないんだから)。現代兵器が志向しているのは「アウトレンジからの攻撃」だし、無人機の活用も最優先で研究されてます。自衛隊の海外派遣の時だって最重要視されたのは「戦闘地域では”無い”後方支援であること」でしたよね。
国連軍の派遣だって、戦が真っ盛りの戦場のど真ん中にヘリボーンで降下するなんて話はありません。最先端の兵器と兵員の後方配置でできるだけ死傷者を少なくする技術なり作戦なりを考えてナンボなのが現代の軍隊です。
すべからく、
起業においても、モノ造りの最先端に労働者が重点配置されて、、みたいな話はナンセンスなんです。ILOが労働のソフト化(総じて言えばサービス業化・ホワイトカラー化)叫ばれたの90年代より前の話でっせ。
ここも考えようで、勿論の事にこの労働のソフト化はダイナミックに社会的見地で言えば「同じ企業内である必要性が無い」のであり、一番シンプルにモデル化すると「最先端の設備で自動化された企業が大規模なメセナ活動で基金を設けNPOやNGOを支援しそこの従業員が大幅に増えた」←これでもいい訳ですよ(更にいうとその基金は法人税控除の対象なので本来の保守派にあるべき減税的性格の活動になります)。
うんで、これが思うように促進しない場合には「政府が指導力を発揮する」てーのが、ある意味日本で言えば自民党なんかが担うべき方向性です。

正社員が減っているのは全く問題では無いのです。
(軍隊で言えば正面配備される兵員数が少なくダメージコントロールができていると考えればよい)
減った正社員は「所謂職業軍人のような兵士(正社員)で無くてもいいんだよ」という方向性であれば何ら問題になりません。NPOやらNGOやら微妙なカテゴリーの公務員の雇用を伸ばして、正社員では無いが職務上の待遇やら社会保険関係を「同じ水準にすればいいだけ」なんですから。
時に現在の野党はそこを勘違いしていて、
非正規雇用が増えているみたいな話に傾斜してますが、
これは勘違いですよ。
大企業は更に人員を削減して正社員だけで運営し「労働のフリー化(非生産労働の業界団体系なんちゃって公務員の増員)」を促進してくれと(これだとなんとか法人大量発生で霞ヶ関もバックアップしてくれますよ)。←こっちを自民が主導して(間接的法人税減税)、
仮にそんな保守系の政策に野党が反対するなら「(野党も現代なので保守系である)ベーシックインカムの方が効果的だその後は規制緩和と民間ベースで(自由にまかせりゃいい)」となり、こちらは霞ヶ関主導では無く政治主導だちなれば両者の話はある意味噛み合うんです(勿論この場合非正規労働にも正社員と同じ社会保険を「年金制度の一本化と同時に断行」)。

現在の日本は互いの意見がなんてーか政策的によれちゃって、お互い様で矛盾しているんですよ。
今回の選挙が話題性に欠けるって専らですが、
根本的な原因には、各党政策的な矛盾が整理されていないってところがあるんですよね。
この辺なんとかならないんスかね。
自民党でも勿論結構なんですが、一部の野党なりでも交通整理してくれれば建設的な論争になると思うんだけれど。


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