“共同幻想”等と言うといかにも「いいかげんな妄想」のように解釈されがちなので、ここから説明したい。
先ず幻想ってな、どういう事かというと、生き物は各々それぞれの生存に必要な情報をそれぞれの方法で認知するのだけれど、その情報なるものも個々に実存しているのであって、情報として(食べるものとか、食べられないものとか)の認識されたもの主観的イメージでしかないので、これを実存(real)との対比関係から幻想(vision、fantasyでは無い)と呼んでいるのであって、妄想(delusion)との違いは現実との接点になる。
つまり、「そのvisionは合理的か」=現実的(reality )
だから『的』なんであって=実存(real)ではない。
ので
「幻想」なワケだ、
この現実的なるものは「そりゃそうだねー」な認定か説得力がないといかんわけで、そ れ を 多数の認識で担保するから“共同幻想”と呼ぶ、ふんでそんな話から連想されるのは「常識」の事なので、常識=共同幻想と考える。
当然国や地域が変われば、社会の合意形成が違うのだから常識も違うってな事になる。
原始(伝統)宗教が持つ役割というのは、普遍(絶対とはならないので「的」)的雰囲気であって、「キリスト教圏」のような半端な数ではない「常識の共有」をもたらした。
そこの意味は、つまり「適当に地域の賢人や風習で決まってしまっていいの?」という話で「より詰めた論議があるのだから、この常識で統合した方が良くない?(誤解による戦争などが無くなる)」とか「学ぶという贅沢が行われる、貴族階級だけが常識を持つのはアレじゃない?」という改革から来ている。
(結局その名の元で随分戦争もあるのだが、そこはこの話の趣旨と違うから脇へ置く)。
で、その共同幻想というのは保守的思想から言えば、伝統として既に死んでいる先祖を含む延べ人数によって担保されるので、どえらい多数決で決まっていて、この話で想像つくと思うのだけれど「現世で生きている人数では、多数決を覆せない」から、構造的に保守としての体系になる。
あまりにも硬性のvisionなので、「幻じゃネーでしょ」と感じられるかも知れないけれど(それこそ「常識」なんですから、違和感があったら大変)、ともかく「それは実存そのもの」の事では無いので、精神分析的には“共同幻想”となる、
これに対して「実存そのものは何ぞや」とアプローチするが、絵画や写真、舞踊や映画、文学になる。「=現実的ではない」
「的であっちゃいけない」→「常に実存としての現実を求める」なワケ、ある意味「なんじゃこれ?なプログレッシブな作品がrealであり、常識が幻想」なんていう話が見かけ上矛盾して見えるので、精神分析なるもは常に誤解されやすい。
精神分析的には社会なるものは「“共同幻想”の合理性を担保する母数」に過ぎなく、何か取り立てて意味のあるものでは無い。(伝統や文化、思想としての視点は違いますよそりゃ)
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