2007年05月02日

フリーター志向にストップがかかったらしい

社会経済生産性本部(ってなんの組織かよくわからないんだけれど)の調べによると、同本部主催の研修に参加した新入社員に実施している意識調査のDATAに変化が見られたって話。
「フリーター生活も悪くない」って回答が、90年の53.7%を頂点に今年の調査で過去最低の26.4%に半減したとの事。
同時に正社員志向が強まり、
「今の会社に一生勤めたい」の回答は過去最高45.9%で、「チャンスがあれば転職してもよい」の34.4%をも上回る結果となった。
(※引用asahi.com2007年04月25日『「フリーターも悪くない」過去最低に』要約)

過去最低に過去最高って当たり前だろっ(笑
フリーター志向が半数上回るなんざ、英国のサッチャー前パンクの時代じゃあるまいし水ぶくれもいいとこで、「企業がバブル期を上回る新卒の積極採用(上記同記事から)」という小泉景気の結果を受けての結果としてはむしろ「26.4%ものフリーター志向が残っている事の方が異例」だろう。
※それこそ団塊が警告した格差だ勝ち負けだってのが短期的なペシミズムであった証明で、そのペシミズムの背景が昔馴染みの左翼思想へのノスタルジーだった事も同時に論証しているようなもんだ、

話はこの異様な26.4%”もの”フリーター志向と、同時に異様な34.4%”もの”転職志向に話を戻してみよう(笑
歩留まり的に、一度拡散した不安後にもこれだけの独立志向が残ったのは一部文化人類学の判断にも疑問を残す結果とも言える。
一部の文化人類学では、アメリカの分析として「黄金の50年代」的な経済成長の夢が挫折した以降ベトナム戦争に代表されるように退廃に歯止めが利かないのじゃないか(経済成長のモデルを失うと市場主義経済国は「崩壊過程に」なんてな分析)って不安感をもたせたんだけれども、この辺昔デフレ論でも書いたんだけれど、豊かさの実感は成長の夢(日本でいえば高度経済成長)で担保されるのではない。その判断には誤解が含まれているからだ。
市場経済型の国家において成長の夢が担保するのは、保守的社会システムの維持の事であってこれは豊かさの実感と比例しない(高度経済成長期のハードワークと小さな家)。むしろデフレを迎える経済こそ本格的な豊かさを実感した社会の証明であり、むしろその過程を経て「しごく当たり前の動物的な幸福の志向」へとシフトするのであって、アメリカで言えばそれはインターネットであったし日本で言えばフリーター志向であったワケだ。
アメリカにおけるインターネットという記号に象徴される文明のベクトルには、無意識的なアナーキズムがあって、それは60年代の反動的左翼思想からのヒッピームーブメントとは大きく違っている。なんちゃら運動みたいな革命的な動きに繋がる時点で、そこには個人なるものが埋没しているんであって、そこにまさか個人としての豊かさの実感等実存する方法論が無い。
日本の場合でも、人が集団としてのムーブメントから離れている象徴がフリーター志向でもあったと思う。
そもそも豊かさってキーワードがキーワードたる所以は「資本主義国家なんだから」なファンダメンタルであるからで、ようやくその国のシステムがある水準に達した象徴的意味としてこれ重要なワケだ。
そもかく、そんな意味で市場経済型の国家がある水準に達し、人がそれだけ自由に動ける状況になって初めて動物としての人の行う自然な在り方なる実存に現実はシフトする事になる。

そりゃそもそも厳しい自然環境とリンクする事で、生物としての固体認知すら難しいぐらい地球の生命循環と親和性のある社会が「ド・自然」である事は言うまでも無いのだけれど、自我なんてな鬼子とも言えるみょうちくりんな概念を生み出しちまった人類なんてな異常事態にとって、この動物個体としての自然な在り方(地球規模では不自然な在り方)が望む望まざるに関わらず運命的結論であるには違いない。
この状況は特別かって言うと、これ又全然違う、
ギリシャ時代だのって太古からこの状況が刹那に発生していたのはご存知の通り。つまり強い国家が近隣諸国から収奪して貴族的市民なんざ特権階級がいた訳なんだが、現代社会はこれを経済システムによって追い求めた。
その帰結が豊かさの実感(成金主義の満足とは違うよ)って事になる。

デフレ論で話した事だけれど、当然時代の変わり目には『反動』ってのがあるのであって、この日本も同様に社会適応型の一般なる層全体にこれが不安として広がり(共同幻想の崩壊過程)、一時には半数以上もの人がフリーターを支持してもいいと考えていたワケだ。
いくらなんでもそりゃ大杉で(笑
まさか一夜にして共同幻想が崩壊なんてしたら、それは別次元で大変なんであって、予定されていたようにそれはおおよそ4分の1ってサイズに収まったワケだ。
ここの4分の1って数字は(これそんな政党あると思えば一大勢力だぜ)、完全に「独立志向=共同幻想からの離脱」が社会に定着した事を裏付ける。
まさか一般なるものを形成する共同幻想支持が過半数割れなんてしてたら政権が不安定でしょうがないからね〜
政治的に言えば、ちょうどこの時期に「一匹狼の小泉(アンチ共同幻想)」は圧倒的支持を集め、「やる事の大半やった」と言える。
堀江逮捕のケチはついたと言え、これも検察を頂点とする法的権威の失墜なる認知を反証として広めたのだから、流れとしては不自然では無い。

このちょうどいい感じサイズぐらいの独立志向がどんな結果を生むのか?
そりゃ「支持しまっせ」ぐらいの感覚なのだから、現実にフリーランスに至る人たちはその半数もいないだろう(5%もいりゃいいぐらいじゃないか?)。ある意味社会の5%は最初っからフリーランス志向となりそこが1割程度の世論を形成すれば随分と世の中の風通しも良くなるだろう。
なんせ上記の調査は「新入社員になりましょう」な若手の調査なのだから、同世代全員の調査ならもっと数字は上向きだと推定される、
当然自営業を圧迫するぐらいの伸びを示したサラリーマン主義の結論として、自営業者が次々と廃業にも追い込まれているのだから、ここは『自営業的サラリーマン』が登場してもさして変わらないぐらいぐらいの話にも見えるが、社会心理的にはこれ相当の変化だと思う。

何故なら、所謂共同幻想の担い手とも言える社会適応型の階層に25%を上回る異分子支持が存在するからで、この『内部に存在する』ところに意味がある。
風通しってのはガス抜きって意味でもあるから、フリーランスを支持する意見の拠り所が25%以上存在する事は、そこに共同幻想特有の強迫的圧力をかけて抑圧する力を失ったと言えるだろう。簡単に言えば「俺会社辞めようかな?」って話をしたとして4人の友達の一人は「それでいんじゃない」とこれを支持するのだから、共同幻想内部でも世界の見え方は随分と様変わりするんだろう。
そんな時代に「いよいよ憲法改正か?」な話が被ってくるのであって、左翼的知識人や右翼的思惑のある人の予想を大幅に覆す「ちょっとフリーな憲法」とか「ちょっと緩い憲法」なんて話が登場してくるかも知れない。

「共同幻想の崩壊過程も、ひとつのコーナー曲がったか」の感もある、
posted by kagewari at 17:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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