2014年03月21日

『共同幻想』の原則論をすこし(2)

前回挙げたトピックの各論に入る前に『共同幻想』原則論に少し戻りましょう。
これ言うとフロイド系はまた云々かんぬん批判されるのかも知れませんが、他に言いようが無いのでそのまま書きますか。
『共同幻想』ってのは、生存競争の中でひとつの運命共同体的な生物全般に見られる戦略のひとつが人類特有の発展したものと見る事もできますが、そんな自然な代物ではありません。
人類ヒト科の典型的な特徴は「年中繁殖期」という異例な進化に鍵があり、人類固有の爆発的なモチベーションの源泉となってます(ここでリビドーとか言いだすからあらぬ誤解になるのでそっちには振りません)。
哺乳類に限らず繁殖期の生物の行動には奇跡かっていうぐらい様々な行動が見られ「芸術的な巣をつくりメスにアピールする魚だとか、贈り物のエサをせっせと集める鳥や、きらびやかに身を飾ダンスを踊る鳥や、命がけの決闘をする牛や、常にボスの座を狙い組織内権力闘争を続けるサルや、傭兵役のオスだけ定期的入れ替え戦をやるライオンなど日常生活では見られない(見ようによっちゃ異常行動とも言うべき)モチベーションを発現します」、この繁殖期が人類はほぼ年中無休なワケです。
(※なものだからリビドー論を狭義の性欲みたいに訳してしまうと話があっちの方にいく)
『生存競争の枠から外れるほどのトンデモモチベーション』とでも言いますか、
この母数が人類ヒト科はとりわけ多く、そこを文明化に転換する事により地球上で爆発的に繁殖しました。

その過程で前述のですね、
「生存競争の中でひとつの運命共同体的な戦略を取る生物全般に見られる手法」が、
「人類特有の豊かな土地や富などをめぐる安全保障的闘争や自然との闘い的な一次産業的闘争のなかで、運命共同体的な戦略として『恒常的な組織化』が摸索され(より合理的な組織が生存競争的に勝ちますから)人類ヒト科は”こりゃまた随分にロジカルな『共同幻想』”を発明した。」
(当該組織が社会を構成する正当性根拠みたいな神話や幻想の事です)
更に補足しますと、
「この土地は豊かなのだが何年かに一度大規模な河川の氾濫がある、すわ氾濫って時には村が一致団結して(或いは命令系統をもって)これに対処しなければならない。・・・○○川には○○神がいて定期的に生贄をささげる大規模祭りを行うことで(団体行動の定期的演習にもなる)、この村は生きていけるのだ。」←この幻想が集落を集合化します。同時にコアとなる幻想を発端に倫理や道徳や法体系が派生する場合もある。
あるいは、
「この我ら民族母なる土地を巡って、周囲には東の○○族・西の××族がこの土地を巡り100年戦争をしている。小競り合いも年中無休で東の○○族は大柄で鎧も強い、西の××族は昔遊牧民で騎馬兵が強い、○○神の加護を受けた我が民族は強大な要塞を数十年に渡り建築し城壁の外には・・・」←以降は前述と同じ、

てな具合で、文明化すればするほど無尽蔵に栄えるみたいなね。
合理的な『共同幻想』ほどトンデモな結果を導き出せるとも言えたでしょう。
同時進行で、元祖当事者にそのつもりがあったのか否かは今となってはわからないのですが、特権階級の一種とも言える神官や官僚や貴族などの存在が「文化や宗教」を醸成し、ロジカル面で才のある存在は(共同幻想弁論部みたいな流れにもなり)後に各地の政治権力とも関係したり関係しなかったり様々な変遷の強大な権力乃至正統性根拠となります。→それは『共同幻想』における相対強者なのですから、これがまた莫大な組織力を誇りみたいな、

後に近代国家の概念が登場し、あれやこれやの大革命を経て、帝国主義やら大戦争もしーので現代に至る。
『共同幻想』のマーケティング分析は限りなく「投票行動の優先順位」となりますんで、
昨今のトレンドは専ら「経済合理性」になってます。
しかしどっから見ても「経済合理性」に「神話性」は無いワケで(笑
社会学的に言えばゲマインシャフト(血縁や民族共同体)からゲゼルシャフト(利益性関係者組織)へ。この論議の象徴は「アメリカ合衆国の成立」かもしれません(米国成立のバックグラウンドはアンチカソリック教会権力的意味合いのフランス革命の人権宣言でありキリスト教世俗主義とでも言うべきカルヴァン主義:代表的なモニュメントがキリスト教系の彫刻では無く自由の女神という何コレ?みたいな形となる)。その共同幻想は『アメリカンドリーム』とも呼ばれる極めて現世利益的なもので、そこに歴史的経緯的には南北戦争やWWUも影響し(当時白人多数を占めるドイツ系のアイデンティティーが後退)、ベトナム戦争を経て、イラク戦争を経て、金融経済のやり過ぎを経て、元から硬性とは言い難かった(=自由度は高い)『共同幻想』は『アメリカンドリーム』もちょっとどうかなというだけでなく「市場経済と民主主義も大丈夫か?」なところになってきてます。
(9.11を経て一度『軍隊』の権威が高まりましたけど、イラク・アフガンを経てこの軍隊も民間傭兵委託であるとか財政難から予算削減対象となってます。)
現在のオバマ政権など見ていると、「彷徨える大国」の心配もチラホラです。
(※『単独者』社会って言葉も論路矛盾かも知れませんが、大国ほど『単独者』化をどう取り込んでいくのかって難しい事なのかもしれない。「大統領を権威と思わないアメリカ社会」ってのもなかなか想像できませんものね。)

労働組合の組織率なんかもご覧のとおりで、『共同幻想』は国が先進国化するに従い自動的に崩壊過程に入ります。
ここのバックグラウンドとしては「そもそも論のとこ(自然との闘いや安全保障)」←ここが社会資本として半ば普遍的な既得権益っぽくなり制度保証される社会への変遷するので、「初期の『共同幻想』を必要とした理由が無くなる」って重大な変化に呼応するものです。
(一部保守派はここの理解を「英国病」なんちゃら論になる場合もありますが、これは単なる勘違い。)


<上記はマクロ分析ですが、『共同幻想』ミクロ分析的には>
■もういっこ重要なポイントがあります
ミクロ的な話になりますが、
年中繁殖期をベースとする『生存競争の枠から外れるほどのトンデモモチベーション』なる極大化した欲求、勿論ですがベタな権力の源泉はこの「異例な人類の欲求を代謝(満足)させる快不快原則的な権限の集約」にあります。
『結婚制度』『売春禁止法』『種類及び薬物のナントカ』『賭博の何チャラ』『公然猥褻の定義』『表現の規制』『職業選択や資格の権限』『不動産所有権をめぐる法律』『新規参入企業の規制ナントカ』『銃刀法』『法治国家』『国連憲章』『同性愛をめぐるナントカ』、、、、
お上の権威的強制力行使の強弱ってのは、どんだけそこに権限持っているのかで決まるとも言ってよく、そこは『共同幻想』ですから違反する行為には各人に道徳的反発も発生するように出来上がってます(無知な観光客が宗教的戒律に配慮無く違反する振る舞いすると←道徳的悪であると非難される)。
保守性構造がビルドインされるって事ですね。
ですから、ビートルズの台頭であるとか、60年代のヒッピームーブメントなんてのは世代間闘争てな具合の『マクロ的反抗期』なんて現象に至る場合もある。
(上記は権威性そのものと正面対決するものでは無いので宗教革命的スケースにはならない。局地的サブカル闘争みたいなもんですね。)
話をミクロに戻しましょう、
「(異例な人類の欲求を代謝(満足)させる快不快原則的な)快感獲得のネタ」が自由開放される事は『共同幻想』の権力基盤を崩壊させます。
欧州の先端先進国なんかで「選挙権の低年齢化」が論議されている背景は、『ミクロ共同幻想』最後の牙城『家族社会』の権力基盤崩壊を促進させるのと同義です。
(親が子供に「やれ何々をしなさい」なんて行為の正統性や合理性を語る時にですね、言われる子供の側から「あなたは○党支持者でしょ、僕は○党支持者でありそういう論議は受け入れ難いね」なんて言われちゃ権力を権力たらしめる強制力もクソもねぇ。)

■そんなこんなで前回適当にあげたポイントの各論いきますか、
『男女雇用機会均等法』
あまりここ重大ポイントに挙げる人がいないので驚いているんですが、これ以前の社会では女性が一般職としてしか就職できないなんてトンデモが横行しており、当時は「女性は就職的にも短大のが有利」なんて言われてました。これは欧州社交界などにおける「女が4大行くとか労働階級」みたいなノリと同じで(シャネルスーツ闘争なんかも)、端的に言えばそれ以前の社会は『共同幻想』に勤労奉仕する男性諸君に、ちゃーんと女の子あてがうからねって話になってたって事で(しかも男性社員の権威性を保守するために女子の学歴は一段下げておくからみたいな)、男性が大人しく『共同幻想』に勤労奉仕する取引の条件がぶっ壊れたって重大ポイントなワケです。

『インフォームドコンセント』
先生はただひたすらに偉い。患者は先生の言うとおりにって世界が壊れました。
これは死生観ってものを『共同幻想』が織り込んでいた部分(ゆりかごから墓場まで)にとって重大な変革で、「それ自分で考えるんだ」みたいな衝撃を高齢世帯にドカーンと与えたも同然です。
ある意味死に方も自分で選べず、先生が決めるみたいな世界だったものが、「俺の死に場所は俺が決める」みたいなハードボイルドな話が突然降ってわいたような話で登場。
ジワジワとこれが高齢世帯の『単独者』化を拡大してます。

『ゆとり教育』
天下の文部省がこんな事言いだすもんだから、
「受験戦争世代」のズッコケ感といったらもう。。。
なんとこの反動で(受験戦争世代の恨みを買ったのか)勢い「もっと勉強しないと」な方向にその後転じてますが、少子化で大学ガラガラなんだから市場経済的に言ってもですね、ゆとりあるんですよ。
前述のゆとり教育への批判はともかく、その目的であった『個性化』が批判された事は無く、着々と『単独者』化があたかも今後のトレンドとお上が言ってますよな状態に。

『政権交代リベラル政党の大失敗』
遅きに失した政権交代でしたが(遅すぎたんでしょうね)、検察の大失態(以降アンチ小沢の2chですらネット強迫事件なんかのアレで検察やらかしたかなど日常会話となり)、民主党の大失敗は余計に『大阪維新』含めて政界ダメダメ状態を招き、普通に行っていれば「無難に民主の支持率は下がり4年後ぐらいには順当に石破自民だっかかもしれない」予定調和がご破算。
民主党の大失敗が安倍自民を呼び込み、ある意味小沢のやけっぱち覚醒に繋がった(以降続く反原発ゲリラみたいな呼び水になったとも言える)。
この民主党政権が皮肉な事に事実上安倍政権の生みの親なんで以下に繋がる。
 ↓
『原発問題とアベノミクス』
一見すると保守化にも見えるだけれど「安倍支持者=アンチマスコミ」であり、
同時に嫌韓やら中国のトンデモ状況も拡散。
経済政策でインタゲに手を付けた結果、タカ派と言われる官邸が経済界に賃上げしろと命じるトンデモ状況に(インタゲほどでは無いが金融政策の必要性考えていたのは小沢氏あたりも同じ←数年前自民党政権時代の日銀総裁人事めぐって民主党が財務省系の人事に強硬に反対した政争思い出してくださいよ。)。都知事選においては自民党候補を電機労連がらみで連合が推すとかこれも更にトンデモ、
意外な事に、なんとなく世論はこの政権が「単なる自民党の復権では無い事に気が付き始める」。
(党内では余計にそこ体感しているみたいです。)
奇妙な事に、安倍政権を選択した自己責任性ってのを世論が体感するという以前の年中自民党政権時代の雰囲気とは明らかに違うものが派生してます(政策で選んだ感・方や政策で選ばれた感←これは以前の自民党政権には無かったもの)。
米国がルーピールーピーと騒ぎになった鳩山政権の時には鬼の首を取ったような顔をしていた右派ですが、オバマ政権の河野談話云々を知りケネディ太子のアホ騒動を知り(ネトウヨが沖縄基地返せという始末で)、今やおそロシアとして知られるプーチンの方が評判よくなってます。
オバマ政権がルーピーだろ的な(バイデンさんみたいなネタキャラも効いてますしね)、
原発問題も決して安倍政権は積極的な事も無く(右派の対応としては消極的なぐらいでしょう←タカ派ならとっとと再稼働していたかもしれない。てか、野田政権ならもう稼働してたんじゃないの?)、
ギャグなのかも知れませんが、沖縄県連が鳩山氏に知事立候補を打診するなど(なんだ鳩山小沢ラインなら問題なかったんであってトラブルになったのは旧民主の菅政権以降じゃないかと)小沢氏含めて政治生命的にはもうアウツなんですが、民主党政権とは何だったのかを安倍政権が一部名誉回復してくれているようなもんです。
(注:韓国がやたらアレになったのも野田政権(ひょっとすると安倍氏より理念的には右派)の時で、鳩山小沢ラインの韓国中国観は大東亜共栄圏も込みの対米シフトですからね。安倍政権はそれをロシア外交通じて再現しようとしている。)
小沢ファン的には、敵の敵は味方で(俺個人的には)かなり安倍政権には好感ありますよ(笑
安倍政権は意識しての事とは思いませんが、戦後レジュームの中隠蔽されていた事実を暴き出す効果をかなり発揮してます。
問題発言で辞任した元国務省日本部長のケビン・メア氏が知日派としてなんだかコメンテーター的に徴用されているのにも笑いますね(もうこの人ジャパンハンドラ―暴露人みたいなポジションにいる)。もうこれはコメディみたいなものでしょ。

『ブラック企業』
これね、
もうある意味日本の旧来の企業は全部『ブラック企業』だったんですよ(笑
(もう薄々その意味みなさんご存じだと思うけど)
所謂昭和の『共同幻想』モデル企業は現代社会では「ブラックなんだ」という意味です。
新人類に始まりニートやノマドに連なる若い世代の労働における『単独者』化の流れを後追いするように、ベンチャー止まりだった企業法人側の『共同幻想』崩壊がようやく本丸の方に近づいているかなといったところでしょう。


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タグ:共同幻想
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