重要なところ引用すると
九州発:特集『大牟田4人殺害事件』
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/omuta/0610/om_610_06102501.htm
論告によると4被告は共謀、同市小浜町、無職高見小夜子さん(当時58歳)を殺害し、金を奪おうと計画。同年9月18日、高見さんを絞殺し約26万円を奪ったほか、高見さんの長男龍幸さん(同18歳)と友人の原純一さん(同17歳)を殺害し、3人の遺体を車ごと川に遺棄した。
その2日前には孝、孝紘両被告が高見さんの自宅にいた二男穣吏(じょうじ)さん(同15歳)の首を絞め、指輪などが入った金庫を奪ったうえ川に投げ込んで殺害した。
(YOMIURI ONLINE 2006.10.25)
福岡県大牟田市で2004年9月に起きた4人連続殺人・死体遺棄事件で、強盗殺人罪などに問われた同市桜町、元暴力団組長北村実雄(63)、同市白銀、長男孝(26)両被告の判決公判が27日、福岡地裁久留米支部で開かれた。高原正良裁判長は「人命を軽視した冷酷、残忍な犯行で、極刑をもって臨むほかない」として、両被告に求刑通り死刑を言い渡した。
これで、妻真美(47)、二男孝紘(たかひろ)(22)両被告を含む北村一家4人全員に死刑が言い渡された。
(YOMIURI ONLINE 2007.02.28)
あんまり大きなニュースになっていないけれども、世界的にも「一家4人全員に死刑」これは異例でしょう。
俺は死刑制度に反対でも無いし、それを問題にする気も無いけれども「国が家族全員を死刑」ってのはねぇこれどうなんでしょうか。
この事件とこれが被ってないだろうか?
横浜・那須野に“裏契約金”5億3000万円…球団社長が認める
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200704/bt2007041201.html
那須野への高額契約金については、12日発売の『週刊文春』が詳細を伝え、球界関係者も記事内容を認めた。横浜の声明発表はそれを受けてのものだが、対応した佐々木邦昭社長(60)は「この金額は昨年3月に就任してすぐに知った。率直に高いなと思ったが、このぐらい払わなければしようがないのかと思った。(標準額を)はるかに逸脱した額は、現在は遺憾に思う」と話した。04年12月に5億3000万円を支払う覚書を交わし、分割で数度に分けて支払い、今年1月に最後の支払いを終えたことも明らかにした。
(サンスポ.COM 2007.4.12)
この全くキャラクターも内容にも共通点の無いニュースの何故が被るのかというと、
「判断の希薄さ」だ。
大牟田事件に至っては死刑になるような犯行の動機が「26万円なのか?」ずさんな犯行計画もそうだが何故人をこうまで安易に殺せる”家族”がいるのって、誰かひとりぐらい「止めよう」ってのはいないかって話し。プロの犯罪者になった気持ちで考えてもあまりにも酷い犯罪で(そういった意味でも被害者の死は痛ましい)、その犯行の理由がみつからなから『死刑としか言いようが無い』になってるのじゃないか。
そして、貧乏球団で知られる横浜がなんで「那須野に5億で球団社長もすんなり容認しているのか」だ、いくらスカウティングに素人だとしても、球団編成に誰か一人ぐらい「5億は無いよ」って話はなかったのか。前置きとしてだけれど那須野君の能力を問題視しているのじゃなくて、TBS横浜ベイって貧乏球団として選手の年俸にはあれだけピリピリしている球団なのにルーキーにポンと5億払う理由がわからないって話だから。実績のあるメジャリーガーやFA選手の獲得で5億なら誰も問題視しない。この思考停止は何なんだろう?
(大魔人佐々木の復帰6.5億推定もちょっと耳を疑ったが)
「北村一家4人全員に死刑」に至っては(裁判の争点も刑期等で殺人の否認じゃないので)北村家が”外道”だって事を疑う余地は無いが「死刑かもしれないヤマ踏むにしてもこれはネーだろう」って考える奴さえいないのかって、外道がみんな救い様の無い痴呆だなんて話がある筈も無い。そもそも家族揃って人殺ししようって発想自体に「?」と思う。
これを『集団心理』で片付けてしまえば話は早いんだろうが、それじゃ安易に過ぎるだろうと思う。
人の自我は何時思考停止にいたるのだろうか?
心理学的には当事者意識の後退と考えるのがスジだろうけれど、精神分析的に考えるとそれは無意識的な判断が上位になる事を意味するから無意識的だとしても、そこにはロジックがあるので思考停止とは言い難い。
葛藤要因の結果としての思考停止は自意識と無意識の組み手で「水入り」みたいな状態だからこれとも違う。
だとすると、ここには「思考停止してしまう共同幻想の形があるのじゃないか」、な推定が一番ハマル。
■鍵は「できるかできないか?だけになってんじゃないか」で、
行為の意味とか関連付けが異常に乏しい部分じゃないだろうか。横浜で言えば「今期の編成予算に5億あんの?」であり、北村さんちで言えば「オヤジ暴力団だろ鉄砲持ってこいや」である。判断がここだけで止まっている。
その後何をやっているのだか自意識的にも無意識的にも自覚が無いのじゃないか?
「指摘されて初めて気が付いた」「逮捕されて初めて気が付いた」
(北村一家の場合家族を庇って父親が取り調べ中に銃で自殺を図ったり、兄弟が罪を押し付けあったりと家族のコミュニケーションや家族を基礎とする彼ら独特の共同幻想は成立していると思われる)
本来常識の原型であって公共心なるものの基礎でもある共同幻想が、個人レベルとでも言うような小社会だけで機能しているとしかいいようがない。
近い現象に「ムラ社会」ってのもあるにはあったが、同じじゃないだろう。
そもそも「共同幻想の在り方」ってものを改めて考えてみると、原始的にはこの共同幻想なるものにはコアとなる権威性があって初めて正当性を持つものだった。
”世間様”って一神教における神のイメージのオルタナでもあった記号には「なんとなく尊重しなければならない権威」という「これぞ抽象概念の代表」みたいな権威付けがあったワケだ。
現在も進んでいる共同幻想の崩壊プロセスの中で、この権威性の失墜が急速に進んでいるのじゃないだろうか、横浜ベイについて言うなら昭和の時代ならご意見番なる老中みたいなOB(大洋ホエールズ)がいただろうし、北村一家の場合なら「そもそもオヤジが所属している暴力団の親分なり若頭の意見」ってものに尊重すべき権威ってものがあっただろう。
その意見に殊更参考になる内容を期待するのではなく、その意見を聞く行為そのものが自我マターとして「ちょっと自分でも考えてみよう」なきっかけにはなるのであって、思考停止にブレーキをかける機能を持つ。
この辺って、昨今の憲法改正論議(国民投票)にもちょい被っちゃいないか?
俺は右翼じゃないから天皇論的に何か論議しようって考えは無いけれども、少なくてもこの国の象徴でしょう天皇陛下ってのは、
憲法論議にこの天皇の意見が表に出るのはご法度なのはわかるが、マスコミ含めて「陛下のお考えも」とかさ、憶測とか想像とかでもその”部分”に触れる方が自然なのじゃないか。何か意味があるとかってのじゃなく、冷静に考える事じゃネーかと戒める記号としてさ(ちょっと前はそこは憲法だから「中曽根大勲位が」って話が出た事ある)。ところがどうやらそのキーワードに現在「なんとなく尊重しなければならない権威」というものが成立していないんじゃないかのかと思う、
どうもこの改憲論議も「それってできんの?できないの?」部分だけに話が矮小化しているような気がしてならない。
『土光臨調』とか『中坊公平整理回収機構』やらその人物の評価はさておいて、権威の存在が明快だったのも事実に思う(気にいらなきゃ戦えばいいのだし)、
「なんか変な感じ」がするね、何か。
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