後期先進国特有の「高寿命化とアンチエイジングへの欲求」は潜在的に不老不死欲求を織り込むもので、その成功の是非は”全く関係無く”個人心理的な側面への影響は案外早く顕在化すると思う。
皮肉な事に「一度死んだことのある人はいない」ので、そんな社会的方向性があちこちで散見されるようになれば個人心理に与える条件的には十分で、この話は「医学的に不老不死は全く無理なのである」みたいな部分に全く関係無く派生すると見てます。
参考というか前段階として、
それこそだね「兆の上の桁は何」なんて質問が起きるのと同様に「ひい爺さんの上は何」なんてぐらいに世代的高寿命をそもそも『共同幻想』は織り込んでいない。
この段階で既に『共同幻想』的前提は存在しないので、血縁間でこの両者の関係はどういうものだっけ的な合理化された現実は提供されない。
又、外見の若い母親が娘を連れて「あら素敵な姉妹」みたいに言われる事もまんざらでもない昨今ですね、結婚はともかく恋愛適齢期ってものは”不明”レベルに到達しようとしているワケです。
『共同幻想』世界では恋愛適齢期と出産可能年齢なんなてものを関連付けしますが、ご存じのとおり少子化=恋愛と出産あるいはそもそも結婚との関連は急速に希薄になっており、会社世界における上司と部下の関係の形骸化にストップがかからないように、この辺の『共同幻想』バックグラウンドは現在既にガタガタなわけです。
(更に核家族世代なので「子供が先に亡くなって他血縁と関係が疎遠高齢者パターン」も続々と発生すると思われる。)
同時に一見矛盾するかもしれませんが、今現在でもマスメディアの特性が原因でまだまだ影響力ほ保持する芸能人のみなさんにおける行動に「積極的なガン治療をせず、最後まで仕事を選ぶパターン」も目立ってきてますが、これは「早死にの選択」しているのでは全くありません。
『共同幻想』的な形式主義がまったく無効になってきているのと同時に、芸人一筋的な芸能人の場合バックグラウンドには単独者系自我の介在を考えざるを得ないですから、そんな『単独者』系の人格が「死をもろともしない」というか「そんな事(ガンがどうしたとか)はどうでもいいから今忙しいんだ」な認知である=バリバリ現役だということです。つまり手術を拒否して仕事を選ぶ孤高の芸能人的人格は、高齢者といえば姥捨て山的に老人ホームにとっくに収まっているなか予定調和的に重病になり手術の甲斐も無くのようなステレオタイプな生活をそもそもしてないって部分が大きく、
それこそ「ガンで死ぬとか面倒な事が無ければ来年もスケジュール入ってんだけど」という現役生が潜在的な不老不死欲求の合理性を示している。→その答えが「めんどうな治療は邪魔だからやめてくれ」の背景。
(※末尾に被るんだが、特に映画など半ば永続的媒体に死後も残り続ける映画俳優さんなんかの心理的ビヘイビアには特有の認識も発生すると想定できる。)
少子高齢化なのでは無く「高齢者などいない」のような感覚は急速に拡大するだろうし、
ガンにおける手術の拒否(クオリティーオブライフ系の選択)は前提となる「今現在バリバリ現役で活動中」という高い不老性を背景としているから発想されるとも言える。
■経済学的にはここ別の意味で大変重要で、
「子ども手当、高学歴化、労働力化年齢の遅れ、競争社会における早期退職制度の大流行、高齢者のセカンドライフ的就労支援などの拡大、年金支給は先に延びているが寿命の延びにより圧倒的に年金受給延べ年数の増加」
ぶっちゃけ『人生の6割以上は既にベーシックインカムだ』みたいな事に既になっている。
(世代的な連続性が無いだけ、現在の子供と現在の高齢者を合体させるとそうなる。)
仮に人生100年とする、その中でバリバリ現役の所謂『共同幻想』的な就労期間ってのは23歳前後〜65歳となり「おおよそ約40年」に過ぎない。=100年の4割だから→6割がベーシックインカム期間になる。この状況をやれ積立方式だ投資すればいいだの錬金術みたいな話で支給に解決がある筈も無く、極論年金制度などというものは「支給10年でストップするから速攻ガス室行ってくれ」という無茶な法律でも設けない限り数学的に成立しない(これ単一の人物で考えている事になるけどさ事実上「総人口の6割のベーシックインカムを総人口の4割が稼ぐ」と考えても同じだから)。インフレターゲットを利用してなんとやらが仮にあったとしてもインタゲは政府財政のバランスシート上のものなので構造的な解決策では無い。
んなもん答えは「国民の労働フリー化(解放化)政策」を立案してこなかっただけの話。
(※是非とも進めてください「公共投資により生産された産業ロボットの国民割当制」←実は国際関係上もこの制度はアリなんだわ、国が産業ロボを公共投資で作って民間に支給しちゃうと社会主義国家みたいな話になってしまい、国際関係上その工場で生産されたものはダンピング扱いになるでしょ。なのでその産業ロボに応分の人件費を計上する事で、それは割り当てられた国民の資産であって工場なりは産業ロボ貸料として応分の料金を(賃金のように)支払う事にすれば「公共投資による不当なダンピング政策では無い」事になる。)
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その部分を民間投資に頼ると見掛け上「単に失業率が上昇するだけ」という状況になる。
更に言えば、特に保守系経済学の最大の論理矛盾として「やれ所得倍増と動機形成が仮想普遍的に発生するのは『共同幻想』的にも近代まで」であってだね、「高学歴化」という現象は即ち「既に労働フリー化の兆し」なのだから(保守的学派風に言えば「競争社会で一定の学力の無い者は高学歴を志向せず実務的専門学校程度で速やかに労働力化しないと非効率」って論法になるからね)、国家が先進国型になった時点で既に保守系経済学の出番は無いのですよ。→「高学歴社会を認める保守系経済学」なんて言葉は論理矛盾なんだよ。
↑
ここさ、少し前まで彼らですら「先進国は高い付加価値なんとやら」という論法でまとめられていたんだけれど(なので高学歴化は人材の高度化だからいんだとかね)それってのはだね、「少ない期間の労働力化年齢時に莫大に高い所得を稼ぐ人件費の高騰を是とする論」になってないと矛盾する。
(そこに高い所得税をかけて分配だとかね)
ところが「国際競争なんとかで人件費の高騰が問題」とか言い出す始末で、自分の言ってることすら忘れる特殊な健忘症なのかと思ってしまう(むしろ「人件費が高騰しないのは問題だ」と彼らは言わないといかんのだからね)。
経済学の話はここまでとしてですね、
そんなこんなで環境は急速に「ベーシックインカム的社会」に向かいます(向かわざるを得ない)。
これは更に「高齢者(弱者)などいな社会」を促すワケですよ、
政策的には事実上65歳以上の労働力の所得を間接的に事業者に対して保証する形になってくでしょう。しかしこれやり過ぎると労働市場を阻害するわけさ(農業政策における補助金だとか鉄鋼のダンピングと同じ)、だからこの高齢者所得補償を行う事業はできればNPOやNGOがいんだな(先進国特有の非営利サービスの拡充に繋がる)、
これはほとんどニート世代における「自宅SOHO公務員的人生」とほぼ同じであり『フリーエコノミー』って事ですよ。
■不老不死の概念ってのは「人類は年齢の壁を踏破した」のような現象として表に出てくんでしょう。(※実際に医療界がこの動きにどこまで現実として追いついてくるのか予測もつかんけれど、)
これは世代格差・世代間の権威性(専らその権威の根源は相続)なんてものを根底から覆してしまうので、個人心理学上の抜本的な問題解決の萌芽にもなる。
「強迫心理」が成立するためには”必ず”「権威性認知」の関与が必要だからね。
問題が出るとするなら、心理学というよりむしろ哲学的に『単独者論』が各人で問われる形で出てくるのかもしれないって話。
現実的なところを行けば、
医療界は「無痛死」の需要にも答える事になんでしょうから、
(仮想上の不老不死と無痛死は被ってんだよね、高度医療の在り方そのものが今後問われてもいくでしょう。←ここ尊厳死なんて言葉使うとやれ倫理だのハードルが高くなるが、末期医療の無痛死ならどっからもクレームこないでしょうよ。)
そうなるとさ、連続性として死の概念が相当に変容するとも想像できる。
「ピンとこなさ加減が輪をかける」
(死ぬっていうより「あーっ異世界に」みたいな感じにさ)
某SNS関係のSFチックな”ほとんど妄想”に「人生の全てを記録して云々」ってのがあります。これは電脳空間に自分の自我を完全に保存しようって発想なので、勿論意図しているのは”仮想的不老不死”(キャッチフレーズあるとしたら「次の人生はクラウド上で」みたいな)、
何度も言うけども、これも本当に可能不可能とか関係無いのです、
そう自我に想定させる可能性が担保されるって部分だけで心理的に成立すんだよ。
果たしてそんな近未来に人類の個人心理学ってものはどこに向かうのか、
俺にもさっぱりわかりません。
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