2013年03月22日

所謂スポーツ界における「メンタルが弱い」とかいう言葉

先日WBCですか(もう最近は本当にプロ野球への興味が減退しておりまして負けてもなんともちょっぴり残念なぐらいなんですが)、流石に「これが本番なの?」な試合は観ました。
この試合、仮に勝っていたとしてもお世辞にも勝に値するチームとは言えない体たらくでありまして、途中からは「もう負けていいよカッコ悪い」な印象だったワケです。
こういう時によくスポーツ界では「メンタルが弱い」なんて言葉を使います。
勿論心理学的に「メンタルに強弱などありません」。
同時にスポーツ界は心理学やってんじゃありませんから「こういう意味なんだよ」と言わんとしていることは別途あります。
(一部に期待している方いらっしゃるかもなので最初に言っておきますが、”割り箸”の話じゃありませんからね、内川選手はむしろ図太いプレーヤーに属しますから。)

さて、プロ野球ファン的目線で言えば「稲葉選手」そりゃ野村ヤクルトで最も期待もあり活躍もした選手ですから観戦者目線的によーく知ってますが(勿論日ハムでの大活躍素晴らしいと思います)、彼はとてもナイーブなところがあり大試合に活躍する印象はありません。古田なり広沢なりの脇役として抜群の活躍をしますがバリバリの三番打者と聞かれれると「大丈夫かな」とちょっと心配になる存在でした。
印象としては土橋の勝ち越し打の後決定的な追加点をあげ相手を諦めさせるのが稲葉、
試合が決まった後で高津を休ませるほどの追加点がミューレン(WBCオランダ代表監督とは驚きました)。
稲葉選手がメジャー騒動でヤクルトを退団する経緯には、そんなヤクルトサイドの評価もあり、
結果メジャーの話はうまく行かず、注目度的にのびのびやれるパリーグに移籍する格好になり彼は野球選手的に肘の痛みのあったヤクルト時代以上の大活躍をします。
ヤクルト時代の日本シリーズ含めてこんだけ大変な時代も経験した稲葉選手が一般慣用句的な意味の「性格の弱い人間」などである筈ありません、むしろタフガイに属します。
(子供時代はイチローとタイマン張るような同郷の先輩だったんですから)
しかし彼が大舞台であるとか今回のWBCのような舞台でナイーブになるのはスポーツ界的には「メンタルが弱い」なんて表現をされるんですね。

この現象を紐解いてみようという訳です。
大雑把に言えば「勝負強い勝負弱い現象」の緊張感のより高いバージョンの世界に「メンタルが弱い」という現象があるように思います。
(※プロ野球会的には「考えすぎ」などと言う場合もありますが、)
■心理学においてもメンタル問題の発生時典型的に表れる状況が『過緊張』です。
緊張と集中力は紙一重にも見えるんですが、自我構造的に見ると大きく違います。
バックグラウンドの動作も自意識がガチっとタスクを管理している状況(集中力)。
バックグラウンドで何が動作しているのかわからないかのようにえらいメモリーリークのような状況が発生しリソース不足で『自意識』が何か機能を動作させようとしても固まってしまったり極端にパフォーマンスが低下してしまう(過緊張)。
後者は勿論「不安を起点に無数の無意識的ななんだかわからないタスクが勝手に起動しメモリーも開放せずに居座ってしまう状態」になります。
前者と後者が一見似ているのは、「刺激(ストレス)を起点に(自意識が能動的に反応する場合は動機と呼ばれ勝手に”無意識的なんだか不明”が起動する場合フラグだとかトリガーだとか呼ばれる)事が始まっていて」、例えばその起点が「打席」だとすると「打席の刺激で興奮状態にある様」は同じであるため、過緊張している場合でも(心理学的知見が無いとそんなこたーわかりませんから)「真面目な性格だから」などの表現になってしまう事が多くなります。
(※一部スポーツ界で「余計なことを考えすぎ」などと表現されているのは「無数になにやってんだかわからない無意識的タスク」の様子が周囲にも「あれなんだろうか」と確認できるからでしょう。)

ざっくり言えば後者は「真面目な性格だ」などの表現よりそこに発生している心理状況は「忙しすぎて気もそぞろ」と表現する方が的を得てます。

この状態で競技が進行してしまうと「競技どころじゃないよ」な競技を観る結果になり実に残念というか、特にスポーツ競技の大きな大会の場合その陰で敗者となって出場できない無数の競技者があるわけですから観ている側まで「頼むよ」なんて絵柄になるんですね。
(※この話をする上で歴史的な人物である「天才にして奇才、今岡選手」を挙げないワケにはいかないのですが話があっちの方向に逸れてしまうため今回は割愛します。)

■スポーツ界でも昨今はメンタルトレーナーなる存在は珍しくない時代です。
ちょうど都合よくこの辺の話から「ネガティブシンキング・ポジティブシンキング」なんていう何が言いたいのかさっぱりななんとかが登場した背景を知る事ができます。
話を単純化すれば「ストレス信号(打席などの刺激)を何かを引き起こしてしまうフラグでは無く、意欲的な動機に切り替えれば成功」です。
『被(こうむる)』から『抗(あらがう)』へのスイッチですね。
競技の場合勝ち負け争ってますから、打者は打撃上の成功を勝ち取るのがレーゾデンートルなので、集中力は「ヒットないしホームラン」を成功させるべく動機し、モチベーションを高める(集中)方向にメンタルトレーナーは切り替えたい。
通常似たようなメンタル局面でも「勝ち負け」だとか「競争上位下位」なんてな場面で起きがちなので、短絡的に見れば「成功するイメージで」となり、これが転じてポジティブシンキングが『抗(あらがう)』でネガティブシンキングとか『被(こうむる)』だ、みたいな解釈に(その世界では)なっとります。
勿論実際に起きている現象は「ネガティブでは無くパッシブであり、ポジティブでは無くアクテイブ」です。
好きでネガテイブな事考えているのじゃないですから(パッシブでそういう反応になっとるんで)。
バックグラウンドの何やってんだかわからないタスクが不安展開の結果を「終わりの無いレジシート」のようにジャーっとダダ漏れ状態になっているという結果論で、自分で止められるものならとっくにとめてるっちゅうに、な話。

ここで『心理学とりわけ精神分析』の出番です。
時間を戻して事の始まりと「実際に何が起きたのか」考えてみる。
●「ストレスを不安と認知して反射的に反応するなんだかわからん無意識的ロジック」がある。
(過去に不快体験があれば記憶法じゃないすが、興奮と情報が結合し忘れにくい情報として残ってしまい、トラウマ論的にこの履歴はしつこつ付きまといます。)
で、放置するともうモグラ叩きから転じてリソース食いつくして『自意識』は無力化されてしまいます(マシンが固まってしまう)。
手として一部のタスクでも落とせないか「待つ」という手もありますが、これは初動でミスった時の最後のあがきの一手であり、できればそういう事態になる前にバックグラウンドの暴走を止めたいところです。
最も有効なのは「ネタバレ」です。
(それにのまれてその情報を一理あるとひよってしまったり、真に受けてしまえば負けなんですから。その逆を行けば有効になる。)

「何が面白くてそんなにまでして三振したいんだ。俺は不思議でしょうがない。」
「アウトコース低めのスライダーが打てない事は今に始まった話じゃなく、俺はそこが苦手で打てないんだから。そこにきたらどうしたって終わりなのであって、そんな時にこともあろうかアウトコース低めにビシッと決まるスライダーを夢のように思い描く俺はドMかこれ。立派な変態だ、」
「大事な打席で凡打する恥ずかしい自分を思い描いて震えがきちゃうって、どういう自己愛だこれ。」
 ↑
この作業はですね、
なにやってんだかわからない謎のタスクを分類し名前付けてんですよ。
公の場に叩き出してやる→ネタバレさせる。
(なにやってんだかわからないから止めようがないのであって、タスク管理に名前見れば「これはヤバ」と自意識はストップできる。)

カウンター表現使って「ナントカ病出たか」みたいにそれを情緒的に揶揄する表現も有効かもですね。
(※冷水で顔洗うとかもマジ有効なのはマシン熱くなってますからこれね冷やすと少しパフォーマンス回復の時間稼げるんですよ。←仮に無意識のリードが真実なら火事地震だ騒ぎな状況なのでのんびり顔なんか洗っている場合じゃないって状況設定に対する自意識の一発逆転カウンター的(抗(あらがう))動作でもある。)

■心理学的に「ポジティブシンキング」なるものでは裏でザワザワとうごめく”なんとか”を鎮める効果はありません。
傍目から見たら精神分析的方向性なんてのは「もっとネガティブシンキング」かもしんない。
<話はスポーツトレーナー戻りますが>
なかなか効果が上がらないから、成功時の映像を観続けるだとか(キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』かと思いますが)、洗脳的狙いにチャレンジせざるを得ないですね。
最近大流行の体育会系体罰なんざも、これまたキューブリック的『フルメタルジャケット』ハートマン軍曹型洗脳チャレンジです。
(テニスのなんとかチャレンジの話じゃないですよw)
イジメ事件の報道もよく耳にしますが、この手法で世界一なのはおそらく「米国海兵隊」あたりでしょう(ここも『フルメタルジャケット』じゃないですがドえらい自殺者的な話がネットじゃネタになってます)。実はこのイジメも集団心理における洗脳チャレンジなんですね(根拠から手法までまったくダメダメな手法ですが)→「無意識は組織から抹殺される幻想」の集団心理的興奮とその組織論(主体が組織で個人は構成員に過ぎないという見方)でしょうか。

しかしいくらなんでもですね、
成功神話的洗脳は(昭和の時代ならいざしらず)現代社会では『荒唐無稽』に限りなく近いナンセンスです。(カウンター的に言えば「愚かすぎてバカという言葉も適さない」)
人格を外からいじるみたいな事をしても(人格ってのは中から出来るものですから)、結局人格破綻者(統合的な問題うんぬん)を量産するだけです。
事実軍隊で突拍子もない残虐な事件などが起きる原因がここにあります。
(※戦争における事件の背景を考えれば、ポジティブ洗脳も結構だが野球の試合しているところに、相手チームの選手を殺害しちゃいかんよみたいな。「これは戦争で殺し合いでは無い」でなくてはいけない。←ここには職業軍人としての『自意識』の担保が必要なのでこれを洗脳で潰しちゃいかんのです。)

■更にネタバレ、
「たかが野球、されど野球」
よく言ったものです。そこに答えがありますよ”ネタバレ”は「たかが野球だ」って事です。
「クソの役にも立たないたかが退屈な球遊びじゃネーか。」
 ↓
「でもそれは俺にとって」=『自意識』の興味・関心・美意識において、点・点・点なんですよ。
「大事な試合だ」って競技の方が権威主義的に個人の動機(好き嫌い)より上位概念になると、
『最初の幻想』が生まれてしまいます。
(「我が読売巨人軍は永久に不滅です」←凄い言葉ですよね真面目な話。)

このクソみたいな競技はどうでもいんですよ。
「俺はこれが大好物で、このクソが俺にとっては・点・点・点」
構造がパーペキに『抗(あらがう)』になってます。
そんな風に理想的な構図や『構成』にはならないんですが、
スポーツトレーナーが目指すとしたらそれが本命です。
しかし、
それは彼らには滅多な覚悟ではできないでしょう。
(ボッコボコにされること請け合いww)

なものだから俺はこのスポーツ界における「メンタルが弱い」のような図を見るのが痛過ぎるといか、その状況の選手の気持ちがこちらまで痛いほど痛過ぎるので見ていられないんですよ。
「あー、もーお願い頼むから」的懇願するような勢いです。
彼らの周囲はそんなこんなで「変な方向の情報」に溢れており、
そっから情報も無く自力で抜け出すって、心理学の知見でも無きゃ無理な相談です。
彼らはそんな相克と闘い続けてですね、壊れるのは膝だけでは無く胃にも穴があいちゃうというか。
(前述のように仮に心理学系のカウンセラーがきたらどうにかなるとかそれ無いから。命はいくつもあるワケじゃ無いので、)
『共同幻想』と呼べるほど”堅い”ものでは無いのですが(かなり濃密に内向系な世界でもあるので)”硬い”世界なのは事実で、厳しい環境だと思います。

俺は選手時代には「ちょっとな?」な選手だった桑田氏が最近何やら体罰ナンセンスコメントで株を上げてますが(落合同様の本当に彼はそういうのが虫唾が走るほど嫌悪しているのか)、いつの試合だか忘れましたがWBCの試合中に「凡打したら三振したら殴れる、そんなな教育されてくるからこんなんなっちゃうんですよ。本来楽しい事なのに」と、コメントしてました。
(稲葉選手の境遇の話じゃありませんので誤解の無いように)
彼は野球人生のどこかで自力でその禍々しい世界からテイクオフできてたのでしょう。
(落合はまだ引き摺っているような気がしますが←彼は体育会の上下関係が嫌で嫌で野球辞めてプロボーラー目指してた時期あるんですよね。)

■『体育会的内向組織』は確かに日本の『共同幻想』の下部構造だったのであり(昭和の時代には体育会出身者が営業向きとかで積極的にリクルートされたなんて時代もありました)、現代社会ではとても無理な相談です。
これが女子柔道オリンピック代表の告発として表面化した。
(※厳密に切り分ける事は大変難しいんですが、「バカヤロー」的指摘が”事象に合っている”なら某暴力的指導は有効です(忘れにくい記憶化しますから)、しかしこれが”トンチンカンな思い込み”と解された瞬間、反吐が出るようないじめ的な愚か過ぎてバカという言葉も使えない有様になってしまう。:その場面の現実認識も時代との間で相対化されるものなので具体的に何が何これがこれと断言するのは間違い。)
 ↑
普通さ、こんなことならば怖いから(何が正解なのかすっごく流動的且つ複雑って事なうえに相対的だから仮に”アタリ”があるのだとしてもほとんど偶然じゃん)、
▲躊躇なくビンタできるのはアントニオ猪木さんだけなんですよ。
(※「そのキッカケがらみの話はバカだ!バシッ」←外から冷水浴びせるパターンです。)
しかし猪木さんでもビンタが通用するのは、既にファンであるとか、猪木さんのビンタに憧れているなどの階級的認知上の(これがあると自動的に事の真偽が”絶対正しいフラグ”として固定化する)心理学的『移転(でも転移でも投影でも同じ)』が事前に成立しちゃっているだけでして、、。

『災害を神の怒りと解釈した』あたりからそんなロジックは始まったのかもしれません。
■現代人の『悪足掻き(抗い)』はどこまで通用するのやら、
などと考えてしまうWBC稲葉選手の三振でした。

考えすぎ、

ネガポジ論と言えば、
従妹に「褒めて育てる」つーのがありますね。
こいつも論旨としては「忘れにくい記憶構造」を逆トラウマ論で植えつけちゃおうって一種の洗脳系に近い手法ですが(どっちにしろ快不快原則を外から捏造しちゃってんだわなここ)、
ここネガポジの矛盾とまったく同じで、
「誰にとって何が褒めか」なんてーのは相対的なものなんですよ、、
前述のナントカ論者の方が言っておるのは「当人ではなく褒める側が褒めている心情か?」だけなワケでありまして、、誰のための指導法だそれ。。
それが相手にとってどうなのなんてお構いなしと言いますか、、
「まず褒めるってどういうことでそんなものが一方的に通用するもんか」と考えれば、ええ考えるまでも無く答えは出ているんですが、、
■事実はナントカよりじゃありませんが「話をいじくってどうにかしよう」って手法がうまいこと行くなら神様なんざ必要ないってね、
考えるだけ無駄ってもんです。


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posted by kagewari at 03:07 | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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