ともあれ日本には心理学的にかなり固有の特徴があります。
(『共同幻想』について岸田教授が発見した「欧米の一神教的ものと違って日本の場合は”世間さま”」という部分だけで無く、)
地理的環境の特異性などから「変わっているのもわかるわな」的な基礎的条件を上げてみると。
大国でも無い小空間にもかかわらず明瞭な四季がある。
海洋国家で同時に異民族混成混血国家である(ところが移民国家では無い)、
海洋国家に関しては縄文時代から相当遠方まで渡航していたのではないかという説もあり(アフリカ大陸ってトンデモ説まである)、
土地に関しても狭いくせに山から山林から川や海岸まで随分と景色も千差万別で、
地震国家なので天変地異が多く、
アテネのポリスかと言わんばかりに都市国家型の地域性があり、
時々発生した戦争は『覇権国家の来襲』と言うより(目立つところは元寇とペリーと米軍だが結局本土で大戦争となったのは沖縄だけ←この歴史は沖縄に固有の意識を成立させている推定成り立つ事は逆説的に本土の異例な環境を証明する)、日本における戦乱は「トチ狂ったのか」と思われるような特異な個人の武勇伝がメインで(卑弥呼の邪馬台国やら平安や信長を経て江戸まで)、これ半ば『時代劇において神話化』している。(この点日本のナントカヴェーダみたいな日本書紀あたりと連続性やリアリズムにおいて違和感が無くなっちゃってる。)
戦乱って話で言えば、なんだか小規模な内戦しか無いように見えるようで「江戸時代には世界の小火器(銃)の6割が日本にあったり」「第二次大戦前の海軍が半端じゃない」などなんでそうなっちゃうの的な世界もあり(逆さまに言えば合理性から判断できないほど常識外れてる→ここはバブル直前の日米貿易摩擦とかのエピソードも同じ流れと思われ)、
端的に言えば「変わり者国家」なワケで、
社会学的分類的にはゲマインシャフト(地縁血縁封建系社会)時代でも、
日本の場合農家において「次男次女以降は奴隷と同じ→丁稚奉公に売り飛ばすなり女衒に女郎として売るなり、長男の農奴のようにこき使われるなり」これ果たして氏族社会のような封建的文化が一般的だったのかと問い詰められると『微妙〜』な国で、
言うならばゲマインシャフトの時代なのに同時並行でゲゼルシャフト(利害関係性契約系社会)もあったよみたいな混成社会でありまして(笑
確かに日本にも小作農的に貧しい農家的世界はあるんですが、
米国における黒人奴隷のそれであるとか欧州の貴族や大地主に雇われる農奴のような形では無いし(そもそもそういう大規模耕作地が無い)、
地元のヤクザは十手持ちだし(銭型の”親分”)、
伝聞によれば江戸時代なんかで大流行だった『お伊勢参り』は大店の子息は「筆おろし」、今でいうOLさん達は賑やかに売春しながらロードムービー的に遊びに行ったなんて話もある。
(欧米の社会学者みたいなのが当時の日本を観察して本国に報告している書籍なんかだと「驚く事に花嫁のほとんどは”非処女”であり、それなのに民はそれを全く気にしておらず(トップレスも多数だったりするわけで)」、それで秩序が乱れているのかと聞かれれば全く違って民度は高く、街は清潔で驚く事ばかりのような記載がある。)
武士階級が堅物かと言われれば、江戸時代以降の武士は安易に刀抜く事すらご法度だし(銃を礼装として使用しない事を誓った軍人官僚みたいな)、武士のバイブル的に紹介される事が多い『葉隠』によると「武士道とは死ぬことと見たり、死狂いなり」とある。→乱暴に言っちゃえば「キ○ガイでござる」を美徳とするみたいな斜め上な世界感でありまして、
宗教性としては、フリーSEXもええじゃないか的布教がありまして(笑
日本の宗教風土はこれがまた少々常識はずれな部分が根っこにあるのです。
ざっくり言えば、
随分幅の広い『混成社会』だったと見ていいのじゃないか。
個人の自我も社会的精神風土も「『共同幻想的なもの』と『単独者的なもの』が”ちょうどいい加減に”混在している」、ニュアンス的には”公私の使い分け”っぽい方便で(過剰表現で言えば”二重人格っぽく”)、混在人格を統合していたのかもしれない。
(■明治維新の『共同幻想』デッチ上げ以降の混乱はひとまず置いておいて←まーこれがとんでもない”やらかし”だったんですが。)
前述までの風土だとか地理的環境が引き起こす「ネイティブな原始共同幻想」っツーのは『建前』としての「仮想普遍性のあるところ」であるワケで、
その点は現代社会でも有効なところだろうし、
いかにもデッチあげだった覇権主義的(グローバリズム)な『明示以来の共同幻想』が現在ガタガタと壊れているところなんだが、古くからの習俗ってものは日常生活や日本語の中に潜り混むように生きていると思うんですよね。
それが「なんか変な国だな日本」の将来を考える場合の「弾性値における幅の期待」になる訳です。
(※ここは自然環境を「ネイティブな原始共同幻想」置き換えているだけで、『共同幻想』という概念に普遍性があり得るって意味ではないので、誤解の無いように。各国の自然環境や長期間に及ぶ文化習俗が「ネイティブな原始共同幻想」として近代文明『共同幻想』崩壊過程における「仮想限界値」みたいな恰好で各国で差異が出るよんって仮説だから。)
■逆説的に言えば日本には「かなり急速な『単独者化』が進んでも、それほど急峻な反動が起きにくい」かもしれない。
平成以前の日本では「日本人ははっきりモノを言わない」とか「農協の外国旅行ツアーネタ」のような形が諸外国だけでなく国内においても日本人の代表的イメージでしたが(平成初期の頃においての『マニュアル依存社会』も同列でしょう)、
ここいら辺の”出方”っていうのは一種の近代文明過程の『共同幻想』崩壊における反動というか「軽いパニック症状」だったのであり、殊更日本人の「ネイティブな原始共同幻想」傾向を表すものでは無いでしょう。
極論すれば「壮大なサブカル民族」の方が日本人のネイティブなんであって、
(2ch的な世界は江戸時代の落書(らくしょ)の時から培ったものですし、)
ハンドルネーム的在り様は「諱(いみな)字(あざな)」で使い分ける世界は江戸時代以前からあったのであり(農村においては「一郎次郎三郎」のようなデジタルな記号でしかなかったほどで)、
『共同幻想崩壊後』の日本ってものは、
そこいらへんに「抑圧されてきた『自意識』」なるものが自由に噴火するように言論なり思想信条なりで様々な形で表現されていく可能性アリだと思ってます。
(俺は小沢氏が時々触れる「日本人は意思表示が曖昧だ、変わらなくてはいけない」的見方は間違っていると思っているワケですよ。彼は官邸前デモなどで驚くワケだけれども、あれは驚くところでは無い。元々日本人の抑圧されてきたネイティブというか「サブカル上等カミングアウトの号砲」のようなものだと俺は思っている。)
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