2012年08月12日

メンタル問題の”歩留り論”

線引きとして「そもそもどういう状態だと解決なのか」という話はあるんだと思う。
これは「果たしてメンタル問題は病気か?」という問いとほとんど同じ話で(病気カテゴリには様々な問題があることはこれまで書いてきたので今回は省略する)、
更に言えば心理学は「ナントカ自己啓発インチキセミナー」じゃありませんから、解決後になんだかいい気分になって夢のように問題が解決みたいな大風呂敷は最初から無いというか「そんなん話からして最初からインチキやん」となります。

なのでこの”歩留り論”は結構重要なテーマです。
通常だと「分析をどこまで進めるのか」と「どこからどこまでが自分の個性として引き受けるか(たとえそこに強迫傾向があっても)」ここの相克ってものは自己決定で選ぶものなんだが(精神分析なりの終了というか線引き)、「そんな自己決定ができるぐらいならメンタル問題として相談しないから」って話もあるでしょう。

<この話は以前も書いているんだが今回はもう少し論証的にまとめてみたい>


「そんな自己決定ができるぐらいならメンタル問題として相談しないから」って話もあるでしょう。
 ↑
こうなるとこの問題と言うか線引きはかなりやっかいな事になります。
(心理学上の精神分析と米国などの”精神分析医”は別物なワケだが、参考までに米国などにおいて一部に金持ちの道楽というか「顧問弁護士と顧問精神分析医のいるエリート階層」などのイメージには必要無くなる前提が無いため、永遠に金がかかるみたいなストーリーもあるんだが、ここも「切り分けろと言われてもその判断を分析者に聞く状態」という禅問答のような状況が想定されると考えるのが筋論でしょう。)

■心理学とりわけ精神分析は『第三者性』でもってるようなものですから、事実上「第三者答申」のようなレポートが上がったところで事実上終わりです。
そもそも論としてそれを使って過去に切り込むのか切り込まないのかも自由であって、そこから”歩留り論”は始まっている。
名目上「相談なりを依頼した動機」って確認があるのだから「直面している問題への対処」という部分では「その答申を利用して過去に切り込む意志がある」という事になるので、分析者としてはその依頼に関わる妨害(強迫心理の防衛反応)を回避するなり対応するなりのところまでは守備範囲と考える。
▲「依頼内容から歩留り論的に線引きが明解なところまで」と言い換えてもいい。

そこから先に「やれなんとかだから、やれこれが全然あれだから」など「それは依頼の動機なのか、愚痴なのか判別できない状況」ってものも考えられるワケで、
(ここが米国における顧問精神分析医的に基本的に永久に関係が続いててもアリだみたいな局面)
「愚痴なのか判別できない状況」まで正式な依頼と判断していたら話が一生終わらない事になる。
 ↓
明らかに精神分析なり心理学なりの担当外の分野だから。
(そりゃ「人生相談」ですよ。)
心理学ってものは学問的に「あーいう人格、こういう人格」と説明もできるち、「こういう人格が成立するバックグラウンド」なりも説明できる。やる気があれば自分の人格を「あっちのこういう方向へ」とチャレンジすることもさして難しい話では無いけれど(これは論理的に難しくないだけで実際いざやる時に簡単という意味では無く)、そういう話にはコミットしないのが心理学だから。

前段読んでもらえれば「何故なのか」わかると思う。
この話のややこやしくなる分水嶺は「それは依頼の動機なのか、愚痴なのか判別できない状況」なのだから、その状況で依頼者が「こういう人格の方向へ」という選択ができるワケが無いのであって、
いくら心理学的に「あっちの人格の方向性」なる内容が論理的に説明可能だとしても、「依頼は選択されている」と認定するのは安易に過ぎる。
 ↑
そんな依頼が認定されるのであれば、人格がどうたら以前に「この問題だけはなんとかしたい」という初期の相談同様の「明快なメンタル問題の依頼」が確認できる事になる。

■切り分け論的に言えば、
初期相談のテーマに対する対処なりの部分まではカバーする事はあっても、
答申と説明が完了すれば(この答申をベースに本人がそれをどう利用するのかは自己選択)、当該事案へのアプローチは終了であって、
「それは依頼の動機なのか、愚痴なのか判別できない状況」になった場合には、
新たに(或いは追加的に)「明快なメンタル問題の依頼」が継続性を持って確認でき無い限り、ズルズルと引き受けるべきでは無い。
 ↑
心理的な問題を心配している側の立場から言えば、この段階で「面倒なところに関してはもういっか」と判断してよい。
(ほら歯医者の治療でどこまで徹底すればいいのかみたいな判断の仕方とかあるじゃないスか。心理学的に言えば微妙に”歩留り論”とは違うかもだが相談を受ける側の判断が、依頼する側の判断材料にもなると思う。)

上記状態は心理学的に「歩留り論が事実上選択されている」証明なのであって、
(人間誰しもスッキリ明快に「自分にとって今の自分こそが自分」などと明快に認識している人などほとんどいないのだから)
そこから先は「人生相談なのであり心理学の管轄外である」と分析者の方から線引きするのが証明されている。
見方を変えれば「歩留り論的な状態から先」は(精神分析などの介入無しに)一定状態の確保がなされている『本人の自意識マター権限で決める領域』であり(adominなんとかみたいに)、殊更心理学が介入する場面では無いって事。あり得ても”バカ話程度の口語調のやりとりまで”でしょう。
(対応間違えば「相談依存症を助長している」事にもなりかねないので注意は必要。)


■少々話は飛躍してしまうんだが、
『野性の掟』と言えばいんかね、
所詮人類ヒト科も動物なワケですよ。
「そっから先は死のうが生きようがわからないのが自然界の掟」って何の保証も無い状態が”自然”なのでありまして(←保証というか足があんだから的に)、
原則生きる不安なんてものは太陽がまぶしいのと同じぐらい当たり前の事なのだから、心理学が取り扱うのは「依頼が明解であることと、現象が強迫的であること」を条件とするワケで、そこから先状況がどんだけ心理的事項であったとしても「安全な森から二足歩行で歩きだしたサルの不安」は『これ管轄外』だから、
(いやいやそこも心理学の管轄だって言うならば「心理学ってのはいつの時代から宗教になったんだ」って事なんだと思うよ。)
ってかその不安は厳密に言えば不安では無く「フロンティア」と同類項だから(野心領域と言い換えてもいいし賭け率領域でもいい)、
そこが安定してたらマズイ訳でさ、
(そんなもんが安定しているって「そこはエデンの園ですか」って話になる)
自然界における絶対不安(野心の領域)ってのは動機形成におけるネタでもあるんであって、『私の賭場・私の狩場・私の縄張り・私の生存権・私の死に場所』なんでもいいけれどそれが現実資産って事だし。
(時間の流れに『抗(あらがう)』ことで実存する”現実不動産”みたいな、)

心理学なり精神分析なりがあたかも何かを指南するように(=第三者性を喪失して)関与してしまえば「そんな心理学は似非」なのであり、
(自己啓発は自己啓発が自らを自己啓発と名乗った時点でインチキである)

「あっちに行こうと思ったらなんだか知らないけど”どうして逆にいくんだろうね”」という(ギアが逆さまだとか)そういうところは心理学の守備範囲だが、
「あっちに行こうと思うんだがうまくいかない」って状況は「んなこと知らん」であるべきなのが心理学である。


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posted by kagewari at 07:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学テキスト「Why not」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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