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ここが鬱構造やメンタルな問題が関与すると大問題になる。
自我心理学は非常に経済学と親和性高いので、この問題を経済学的に表現すると、
『流動性の罠』に非常に近いものがある。
これを『ロジック(言語論理)の罠』として論議を続けてみよう。
<今回はここから>
■『ロジック(言語論理)の罠』
『流動性の罠』ってのは金融政策のタイミングをミスったりして、0金利でも(マネーの流通総量が増加するような)効果が期待できない状況に陥ることなんだが(更に言えば0までいっちゃって金利政策も何も−金利ってのは無いので困るみたいな話)、心理的に鬱傾向なんかにある時に結論が必ず「何をしても無駄だ」となるような構造がそれに似ている。
これですね、どういう手法になっているのかというと、
微妙に『前段に伏線が張られている』のです。
「○○が○○じゃないと」のような付帯条件が多くって、結論「○○じゃないと○○とは言えない」かのような設定が事前に行われていて、
結論「○○ができない以上」→「何をしても無駄だ」となる。
実体はあんがいずさんな構造ではあるんですが、集中力が落ちてボーっとしているとですね話の矛盾に気が付かなかったりする。
おかしな話で、そもそも結論の「何をしても無駄だ」の反対は「なんとかする打開策を考えて云々」となるので、これを『オルタナ』とか言います。
自我のというか自意識の仕事的に最たるものが『オルタナ探し』なんです。
そもそも「○○を○○しよう」のような着想は脳内で始まりますから、個別具体的に全て裏が取れている話なんかである筈無いのであって、
実際に動かしてみたら「なるほど(脳内想定と違って)現実はこうななんだ」となり、戦略は変わりませんが戦術を変える事になります、
てか、変えて作戦を実行に移す事が”実現”というか”自意識の働きにより自由を獲得する行為”そのもので、大風呂敷広げれば「それが生きるとか人生における賭け」となります。
ある意味人間の実存証明ですよ。
ところが『伏線が張られている』事によって、他の選択肢というか可能性を考える部分に微妙に制限をつけると(笑
わかりますよね?
事前に『オルタナ』の可能性の足を縛ってですね、『脳内シミュが実体化しない限りその現実は受け入れ難い』みたいなお話のでっち上げに成功してしまうんです。
(で、この話が「いくら考えてもダメなんです」等の台詞のアリバイに使われる。)
経済学で言うところの『流動性の罠』のように、前段で「金利はもう既に0なんです」みたいな前フリをやっていて(その前段が自意識発の信念や美意識なら全然話は違ってアリなんですが)、必ず結論が「何をしても無駄だ」となるような”ひとつのレトリック”。
正に罠ですよ。
これがそれとわからないよう(無意識ですから)に仕掛けられる。
なんともこの現象は不動産における部屋探しで、事前にあれこれと条件を並べて→必ず結論が「いい部屋ってなかなか無いですね」という台詞に繋がる現象とそっくりだったりします。
(更に言うとこの「いい部屋ってなかなか無いですね」は「いい人ってなかなかいませんね」と同義語。)
HPのコンテンツに「やりたいことがみつからないシンドローム」みたいな項目ありますが、
そういった話全般のバックグラウンドですよ。
鬱的思考の状況下では同時に内向化が進行していますから、
元から『オルタナ』的認知は拒絶されがちな構造になるのであって、それこそ「あーいえばこういう」みたいにですね(『微妙な伏線』と等価)、否が応でも答えは→「何をしても無駄だ」となるように、あたかも死守すべき最終防衛ラインのように必死になるケースも珍しくありません。
※勿論これは融通の利かない参謀本部(当初の戦略目標を”戦争ハイ”で夢物語のように攻略できると思い込んでいる状況:オルタナの拒絶)が、現場の戦闘部隊に無理難題を押し付けて全滅させる構造と全く同じです。
※経済学に戻って、財政規律派が財政再建にムキになる構造とも似ているかもしれない。
まー言えば自我の思考というものは、「考えている」ようで「考え(オルタナの追及)」になっていない状況が想像以上に多いのだろうって話になるのかなと思う。
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