(自我の振る舞いが”ロジカルである”って意味では無いですよ)
その是非論はともかく言語無しに自我は語れないのであって(乳幼児期における言語習得と「我思う的自我の成立」)、一見その反対側に「感情論」があるかのように誤解される事多いと思うんだけれど、そもそも語源である「ロゴス」の反対語は「ミュトス(神話であるとか人が語るお話)」であって、ロジックってのは自我の構造に関わるというかOSで言えばカーネルみたいなものに相当するものであって、感情を司る事は無いけれども”感情表現”を司る事によって(表現形式やその定義)結果論として相対的に感情を表現しているとも言える。
(誤解されそうなので補足すると表現の枠組みがロジック無しに形成されないって話)
(ロゴスを神であるとか世界の論理とする哲学的見方もあるんだけれどもそっちの話じゃありません)
誰しも「う〜ん」とか「え〜っと」的タイムラグを経験していて、
その反対に「直情的」なる世界もあるんだが、
果たして「直情的」は非ロジカルかって言えばそれも違う。
完全に非ロジカルなのは暴力的表現のような身体表現だろうか?って言えばそれも違うワケで(この辺はローレンツの動物行動学的話)、ダンスや武道などでそうであるように身体表現も芸術足りうるひとつの”言語”なのであって、そこにロジカルが無いのかって言えば「無しには成立しない」。
(ここも相当に誤解生むと思うだけれども「卓袱台返し」や「皿を割る」「何かを投げる」などに代表される行動もひとつの様式の中で発生していて←乳幼児の”暴れ”的な行動表現も表現するべき意図とのリンクがあるんであって→解釈性とリンクが一切無い行為は生物にはあり得ない。実存と関係性の無い生物の存在があり得ないのと同じに、)
まーいつもの事だけれど話を極端にする方がわかりやすいので、いっそ動物行動学的に考えてみよう。
社会性のある動物には自我があるだろうという推定を疑う人はいなだろうけれど(ペットを飼った経験ある人なら疑う人”0”でしょう)、自然界における野性的な自我も「行為の様式」を”見よう見真似”で経験的に獲得されるのであって、これはロジカルなワケだ。
犬で言えば「忠誠」や「降参」など観察によって明快に区分される行動の様式があり(犬の芸や躾と呼ばれる行動はその「行為の様式習得」のプロセスを拡大したもの)、”表現は習得されたロジックに左右される”のだとしたら個体差は何って話になると思うんだけれど、ここはフェーズが全然違う話になる。
犬の芸や躾の一部は主に上官(マスター)が命じる事で発動するので、習得されたロジックであっても個体差とは関係無い(あっても習得の個体差ぐらいだろうのように)。
↓
だから違うだろうって話になりがちだけれども、これは(マスターの指示は)動機形成とリンクが無いからであって自発的な動機形成と関係ある部分こそ個体差となる。
言うならば人間以外の動物の場合ロジカルである表現は必ずしも全てでは無いかもしれない(この点は観察したからといって確実な事言えないので)、しかし「忠誠」や「降参」など定番の(仮想普遍性として”共同幻想”と同等に)ロジカルな表現は逆に個体差となり難い枠組みというか構造の先にあるのであって、
(わかり難い話なんだが、)
■一定の枠や様式・形式に拘束される構造は成立している。
つまり、自意識主導の選択意図や意志の明快な「ロジックの選択」はその選択において個体差なり得るのであって、無意識的な(或いは共同幻想的な)枠組みは『そのロジカルの枠組み』に大きく左右される。
↑
ここに鬱構造やメンタルな問題が関与すると
(強迫構造の強制力のコアは超自我系の自我内特権者・自我内権威である”道徳野的”な自我のマネージメントに関わる部分だけれども、この言語的枠組みもその強制力に大きく関係している。特に反動形成などの二次的プロセスはその比重が大きいと言える。)
<話は戻って>
つまり、自意識主導の選択意図や意志の明快な「ロジックの選択」はその選択において個体差なり得るのであって、無意識的な(或いは共同幻想的な)非選択反復は『そのロジカルの枠組み』に大きく左右される。
↑
ここが鬱構造やメンタルな問題が関与すると大問題になる。
自我心理学は非常に経済学と親和性高いので、この問題を経済学的に表現すると、
『流動性の罠』に近いものがある。
これを心理学っぽく『ロジック(言語論理)の罠』と置き換えて論議を続けてみよう。
<つづく>
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