実際葛藤構造が温存されて自我に保持されている所以は、それが『自分自身の一部』と化してしるからで、見方を変えると、『葛藤はアイデェンティティーか?』として考える事もできる。
しかし、この問いはパラドックスだと言える。
何故なら、
葛藤は、『必要とされて備わったアイデア』で、この必要性が事実ならともかく、(葛藤形成)当時の人間関係の事情に依存しているからで、ここには誤解が随分と含まれる。『偏見』に非常に似ている。事情がわかればそうと思わなかった事がアイデェンティティーだとしたら、それは「普遍」では無く「事情」になる。
皮肉な事なんだけれど、『葛藤の結果』こそがアイデェンティティーなのだと思う、「悩んだ事や、その経緯」誤解を元に起きたいろんな話は「自分が自分でなければ起きなかった話」で、これは事実だからだ。喩え精神分析なんかを経て葛藤構造が瓦解しても、昔の『葛藤時代の結果』は過去として残り、その時身に付けた嗜好や趣味、癖は自分そのものだと言える。
これまた皮肉な一面なのだけれど、葛藤をアイデェンティティーと定義すると、その後の『葛藤の結果』は単に面白くない不快な記憶に過ぎないけれど、葛藤構造が瓦解したところからみた『葛藤の結果』は、自分自身が戦った栄光ある戦歴で、それの動機がどうあれ、その内容がどうあれ「あー俺もイロイロあったな」と思い起こしても不快に思うことは無い。
『記憶の快・不快』は、180度逆転する。
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