2010年06月11日

経済学と国家財政(前)

昨今世界で大失敗を引きおこした新自由主義経済学を考えてみると、事の本質は『グローバル』なる言葉の背景にある。
グローバルを=覇権主義と説明する評論家がいるように、グローバルとは国家主権に対してのアンチテーゼであり、彼らは無政府主義との差異を国際法的なコンプライアンスに求める。しかし、IMFがどうこうも何も国連なりが圧倒的にWWU戦勝国にとって都合のいい道具であるのはご存知のとおりで(これが中南米で起きた”アンチグローバリズム”としての嫌米であり反米主義)、小沢の国連主義とは意味が違っている。
※小沢の場合にはまともに組織されたことも無い”リアル国連軍”への出兵を論じているようにその発言意図の背後は、都合のいい道具としての国連ではなくって政治的仕掛けがあっての発言だから。

話を経済学に戻すと、
基本新自由主義とは『金融経済学』であって、
事の始まりはニクソンショック以来の通過の為替の変動制→自由主義(国家主権から離れる)となる。一国の政府で言えば中央銀行(日本で言えば日銀)は政府から独立する存在でなければならず、且つ安易に市場に介入してもいけないという形で、『金融マネーはグローバルな存在』である以上、国家経済もグローバル化すべきであるって筋書きが新自由主義、なので口を開けば外資がどうこうって一国経済の金融を超えた論議に国家がどう合理的判断をするのかって話がベースになる。

なんか難しい話に聞こえるようで仕組みは簡単なワケ、
国家をひとつの会社にたとえて考えれば早い。
『株式会社が東証に上場して資本を調達』
しかし昨今金融の世界はそれはそれはグローバルである、
その会社の株を大量に外資が購入し、
のような話になると、その資金の母数というか裾野は当該国家の経済事情とは全く無関係になる。
(更に金融工学により世界に溢れるマネーがベースとなるので国家経済の予算規模などとは比較にならない金額)
なので、新自由主義経済学では「クローバリズムとして拡大し続ける市場との合理性」に着目しているワケですよ。
(そっちに訴えかければ容易に期待以上の投資が集まりますよ→国内経済政策なんか瑣末な事で、重要なのはグローバリズムとの親和性を阻害する”規制や障壁”である←実はここで意図されている”規制や障壁”とは間接的に当該国の国家主権を意味している)

しかしこの話が途方も無いインチキなのは、
その膨大なマネーってあなた(笑
元ネタは膨大な赤字を抱える米国が刷りまくった”ドル”だってことで、実体は「ジャンク」なんですよ。
考えてもみてください「事の始まりはニクソンショック(ドル切り下げ:暴落)」なんですからね。
そして金融工学ってのはつまるところ「無担保で胴元が天井知らずに貸しますよ」って帳簿上の話であって、実弾は実際存在しないワケで、それって『赤字国債の乱発』と何ら違いが無いのです。

つまりは、米国ネズミ講みたいな詐欺的投資話が破綻しないようにですね「是非あなたも天下国家投資の会に参加しませんか」みたいな話です。
(それこそ誰にババを引かせてトンズラしようかみたいな話)
■昨今の郵政云々ってこの話です、
「郵貯もグローバルパートナーの会に入会しなさい」
(それを亀井が突っぱねた)

EUを結成したワリには欧州の失業率が改善しないのも同じ、
グローバル経済は国家主権の領域を過小化させるので、つまり国家経済的意味合いの内需経済は”リストラ”の対象になります。
(グローバル競馬場にこない奴ら)
で、胴元に対してツケが溜まると身奇麗にしてこいと→均衡財政論を押し付けられる。
(つまり増税してでも借金返せと、こういう事です)


■日本経済を見る場合、外需依存が先進国的経済へのテイクオフの『足枷』である理由は、グローバル経済に巻き込まれる率が高いからですよ。
彼らの言う生産性なるキーワードはインチキであって、
「為替により円高になれば、見かけ上日本の生産性数値が下がるのなんて小学生だってわかります」
論法は簡単です→「第三世界の国内通貨が弱い発展途上国に投資すべきだ」
株屋じゃないんだから、、
世界的に生産拠点は生産性によって再編成されて最適化云々なんて経済学もありますが、嘘言っているんじゃないって話ですよ。
第三世界は当然輸出が伸びれば通貨は切り上げとなるんだし、所得の伸びに応じて労働コストも高騰する、早晩生産性は低下し→じゃ次の第三世界ってあなたね、、
これはネズミ講ですよ。
「第三世界は無限に存在するんじゃないですよ?」
それとも所謂第三世界の労働者は”グローバル経済”発展のため生産性:人件費コスト(賃金)を抑えて奴隷のように働いていろって事ですか?
財政赤字論も真っ青な破綻モデルじゃないですかこれ、
(彼らの論理構造としては第三世界特有の人口爆発が”それ(労働コストの高騰)”を補う(低めに抑え続ける)って事なんでしょうけど、人口爆発は別の意味で問題になる話なんだから。)


話を現代的な経済学に戻しましょうか。
>国家をひとつの会社にたとえて考えれば早い。

どうですかみなさん、
借り入れ0円の会社ってありますか?
てかそもそも株式会社って名詞の意味を考えてみてください。
会社は債権を発行して資本を調達して設備投資なりに投資して、、、
それは普通の事ってか、近代以降常識ですよね?
(一部上場って優良企業の代名詞みたいに勘違いされるぐらいなんだから)
これ、国にたとえれば『国債』ですよ。
株式会社で言えば重要なのは株価なワケで、
国債における問題は発行額が問題なのじゃなくて、国債価格の暴落が問題なワケです。
報道等で財政の赤字であるとか黒字って話がありますが、これですね「なんか一時に借金を返すため一円も追加で国債を発行してはいけない」ってものでは無いワケです(よく勘違いされますが)。
仮に住宅ローンで考えれば話が早い、
20年ローンだったら何年だっても残ってますよね?債務が、
しかもよく考えれば何年程度だと元本も減っていないなんて話も珍しくない。
問題は『額じゃない』のです、
(さぞかし大金持ちなら住宅ローンの額も大きいだろうと考えるでしょう)
支払いが可能かって事です。
国家財政で言えばデフォルト(所謂債務不履行)が問題だって事です。

で、ですよ、
住宅ローンの残高がデカイから生活を切り詰めて⇒『交通費も浮かそうと近所の会社に転職した』。
■「しかし転職したら給料も減った」(緊縮財政やリストラ)
ナンセンスですよね?
これ中学生が考えたってわかる。

しかし昨今の新自由主義経済学の話には、それに類する(或いは関係する)ような話がやたらと多いんですよ。

<つづく>

posted by kagewari at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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