「なんとなく」だと無意識っぽいし、「気まま」はノーストレスを意味しますから、ストレス(これ性格には刺激って事です)への対処としての方向付けが「自我意識」だとすっと、この「気まま」の方向性は何でしょう?
座頭市(勝新のですよ)で良く見かけるシーンに、二股に分かれた道のどちらかを選ぶ時に、小枝を投げるってのがあります。つまり「どっちでもいい」です。
岸田教授の「唯幻論」の面白いところは「幻(=意識によるイメージでリアルでは無いので)なので、どうでも良くない事などこの世に無い」つまり「どうでもいい」ってのがあります。これもパラドックスのひとつで、無価値とかを意味して無いワケです。「妙な拘り」は個体としての『自我』に由来するので、「価値の実存が拘り自体にあるのでは無い」って意味で、「でもどうでもいいなんてワケにはいかないんだよねー」が落ちです。
うまく言葉になりませんが、意識に対する自我の関与は100%ではありません。「だからこうなんだよー」な気持ちは果たしてナチュラルか?そんな感じです。ここと「謙虚」って言葉が被ります。「自分の線引き」と言えばいいのか、無意識なロジックが、無意識のままである時、それは気ままな流れなのではないでしょうか?
精神分析的には、無意識が意識を刺激し自我に取り込まれるときに「反動形成」や「自己嫌悪」によって、動機は「デフォルメ」されたり「反対」になったりします。問題とされているのは「矛盾した意識」そのもので、自我の在り様ではありません。
つまり、自我に取り込まなければならない理由が「矛盾や葛藤」だからです。
かなりわかりにくい論議なんですが、、
本来自我の出番じゃないのに、仕方なく自我マターになる悩みは、元々の自我には本来関係無いので「悩む自分」を自意識の中心であるかの如く考えるのは不自然なんです。
繰り返しますが「無意識の中に矛盾や葛藤がなければ、その意識は自我マターじゃ無い」そして「無意識って判断や言葉による方向付けをする場所では無い」。
これをどう考えるのかです。
悩む経緯は自分の過去のイメージと関連があります。
人のアイディンティティーは過去によります。
そしてその形は自我と無意識の組み合わせです。
悩みは、時制として「一時期無意識に保管された」のであって(抑圧といいますが)自分自身でも「本来無意識管理じゃない」とわかっているので「嫌悪構造」とかをセットにするのです。
その意味は?
それ以外の自我の成立とアイデェンティティーの温存です。
「素の自分」のイメージってどんなものでしょう。
やはり悩みってのは、自分にとってはた迷惑なトラブル(だから抑圧されるのですから)であって、悩んでしまう構造を「自分だ」と感じてしまうのは、その意識が矛盾を含んで(悩むほどに)自我を専有し続けるため、自我は「これはよっぽど重要なんだ」と誤解した結果なのではないのでしょうか。
悩みが晴れた後に「まるで別人ねえ」となるのでは無く、そこにあるのは「本来の自分の回復」であるのだと思います。
だからこそ、悩み自体をペシミスティックに評価したり、劇場的な物語として捉える事は危険だと思います。叙情や感傷、ノスタルジーや感動、、こういった事はどこか客観的な部分からきてると思いませんか?
それに主観を支配される事は「悩みによる占拠」であって、素の自分は他にある証明なんだと俺は思います。
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