2009年10月27日

昭和野村野球の終わり

事実上終わりでしょう。
仮に横浜が尾花擁立に失敗するとかハプニングがあれば別でしょうけれど、3年〜の余力を残して野村が監督やれるかって今年来年レベルで話が無いと難しいのだし、
ある意味高齢による衰えをバックアップできるヘッドコーチに空きが無いと監督業務そのものに不安が無いじゃない(移動含むシーズン全ゲームを皆勤するのは相当の激務だし)。

現役としての力を残して指揮できるのは楽天イーグルスでの延長のみだったように思う。
(或いは横浜ダイレクトなんだけれど、どうも楽天横浜TBSって流れは違う政治意図も見えちゃうのでちょっとな〜もある)

野村野球ってものは心理的学にどんなものだったのか?

偶然、個人が権威に挑戦し続ける戦いだったのだと思う。
通常名将と呼ばれる監督は、広岡の「優勝請負人」を例外として、ファームのコーチ時代からとか現役時代からとか長期にチームに関わった人物が優先されるし、名将と呼ばれるほどの実績があるのであれば15年政権があっても不思議じゃない。
仮に野村がヤクルトのファーム監督から準生え抜きの首脳陣としてヤクルト黄金時代を迎えれば「今でもヤクルトの監督は野村(自分から辞めるというまで)」であってもおかしくないし、
そもそも南海時代に『沙知代問題』で解任追放されていなければその後もホークスの重鎮として鶴岡監督直系の系譜で君臨していたかもしれない。
(つまり共同幻想のサイドで)

それが野村個人の個性でもあるのだけれど、
彼は愛人問題を発端に、『長期政権のお墨付き的世界』を失う。
その後ヤクルト・阪神・楽天と監督をやったけれども、只の一度も彼には長期政権の世界は存在しなかった。
逆さにいえば「何時かは解任」を前提とする政権だった。
唯一の可能性は”体制側”となる「阪神タイガースで成功すれば」だったのだけれど、阪神監督の地位は、野村が体制側に付くことをよしとしない勢力の反感を買い→ライブドア堀江パージと同じ方法論で監督としての現役復帰の道まで葬り去られた。
(楽天における現役復帰自体が奇跡に近い)

結果として彼は常に「個人の人」で、
派閥であるとか側近も持たず(近い存在として松井コーチがいるけれど)、楽天に至っては”コーチも新人”な勢いで指揮を執った(楽天で松井は2軍監督)。
ヤクルト時代は巨人との戦い、
阪神時代はインサイダーとして体制と戦い、
楽天においては超弱小球団で振興IT企業とも戦った。
決して人格者的な評価のある人じゃない(むしろその逆)毒舌は有名だし、彼は馴れ合い的社交を好まない(苦手とも言うが)ところがあるので、政治的力を持っている球団も無い→反対に言えばどこにもしがらみが無い(決してホークスの監督が無いぐらい)。
そんな彼の自我のスタンスが
■『勝つために手段を選ばす』
ここに集約したからこそ場合によっては権力相手にも野球だけで抗ってきた。
(あと”ぼやき”:言論)
それができる稀有な人材だった、

球界がスパイ野球を張っている時代(ONも真っ盛りな頃)は最先端のスパイ野球を目指し(笑
その後DATA野球が重視されてくると、先乗りスコアラーを重用し(偵察スコアラーを実態として定着させたのも野村という説もある)、
長島巨人の盛り上げにもヒールとして一役買い(この点で妙なことにナベツネに実力だけは認められている)、
ヒールのつもりがヤクルト黄金時代となり(再び個の選手古田との縁は運命としかいいようがない)、
体制側から阪神建て直しを請われるまで上り詰めたが「それは出すぎ」と体制側から政治的ともとれる形で”実質球界永久追放”。
この時もなんとシダックス社会人野球の監督として生き残り、
野村楽天へ→再び解任

彼が心理学的な世界に投げかけたものは、
(時代のヒーローやスーパースターの動機形成に『反動形成』が関係しているのは当然織り込み済みでも)
『個人』ってものがどんだけ崩壊過程の共同幻想(既に自立的抵抗を発現している状況下で)相手に抗えるのかって証明に尽きる。
それも、なんだかね〜意味不明の政治活動だとか○○を考える会だとか、、そういうのじゃなく、
彼は野球って平場において、野球だけで抗った。
裏側に見える共同幻想って総体から見れば『ミクロ過ぎの世界』なのに抗えるんだなこれが、それを証明して見せたところは凄い。
通常なら町工場やら個人事務所やらフリーランスな世界やらで、こういうのってどこにでもあり得ることだけれど、報道メディアを通じる形で(社会における記憶としての歴史って関係性は又別の意味あるから)「その存在(個が抗う可能性)を(社会に)証明して見せた」。

野球界で彼に続く存在は野茂ぐらいじゃないか?
(両者とも日本のファンダメンタルから見ればマイナーな”パ・リーグ”出身というところがポイントなんだと思う)

晩年の楽天における野村野球を見ていると、流石にバリバリの時代の切れや鋭さはなかったけれど(一瞬閃光のように”らしさ”は見せた)、
長年見させてもらった側から見れば微笑ましいとうか「あーまだリアルタイムに存在しているのか」のような”終わりのなんとやら”というか瞬きのような(彼もそれを感じていたので現実を求めて「後1年」って気持ちあったかな)、名将ノムラを見られてよかったですよ。
阪神の後ほとんど諦めていたから、

昭和のアウトサイダー野村野球が現実に存在したことは間違い無い。
posted by kagewari at 20:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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