戦後が終わった。
それほど高尚な分析の必要も無く、自民党政権は明治維新以来の官僚国家の延長にあって『昭和の時代』はそのままGHQに牙を抜かれた富国強兵の延長だったワケで、
外需依存的な輸出中心の成長は結果として米国との貿易摩擦を生み(これ1980年代の話ですよ)、行き場を失ったマネーはバブル経済を招く。
その間旺盛な貯蓄性向(因みに現代日本は不景気もあってそれほど貯蓄性向は高くない)を背景にした金融資産を政府の赤字国債と交換して、政府が計画経済を進める方向性は固定化し、限りなく自由主義の顔をした世界で最も成功した社会主義の国が日本だった。
安全保障にしても米国頼みで、
日本の安全保障政策とは「外交的には米国追随に一徹であること」と同義だった。
自民党議員は官僚と民間(業界)を結ぶブローカーやコンサルタントであって、政治家と呼べる存在では無かったし(昭和の派閥領袖クラスの一部だけが政治家で他は同事務所の社員みたいな形)、政治家としての才覚のある議員も能力を発揮できる土壌があったのかと言えば、官僚と族議員ロビーの前に首相にでもならない限り(小泉氏)その政治力(立法)を発揮する事はできなかったし、
政治資金を官僚と業界との関係調整によって引き出しているので、ここに正面から対峙することは構造的に不可能で(本人が政治資金をここに依存していなくても他の議員がその体質なのだから突出した動きをみせると他の議員が迷惑する構造にある)、自民党にいる限り才覚があっても宝の持ち腐れな現実があった。
実に簡単な話で、
民主主義によって堂々と選出された議員じゃないので(何かと業界と官僚に世話になっている)肩身が狭いというか、それほど自由に動ける幅が最初から狭かったワケ。
昭和の時代にここに切り込んだのが田中角栄という気鋭の政治家だったのだけれど(なので自由度を確保する意味で金権政治とも呼ばれた”金は自力で調達する”部分が必須だった)、彼が米国の仕掛けによって逮捕されて以来、余計に「官僚と業界の関係性の中で穏便に政治資金を調達する仕組み」への依存は深まり余計に強固な『官僚主義・米国追随国家』に偏重した。(ここ米国の思惑どおり)
まあ族議員生みの親も角栄なんだが、角栄における族議員のイメージは官僚以上の水準で政策通の政務次官的存在で(当時大蔵省の官僚が角栄に容易に論駁されて狼狽したように)、業界と官僚の間で”ロビー活動”する程度の集団じゃ役不足でもあった筈、、なんだが角栄が族議員を生み出してしまったのも確か。
(田中角栄氏はマスメディアの系列化など他にも功罪があって”一律に語れない政治家”のひとりだった)
※その後の展開も「実質米国の息のかかったアジア中東各国」が軍事政権やら専制国家から→冷戦終わったので今度は「自由貿易と民主主義」を要求されたのと同じように(といっても親米の民主主義だが)、80年代から日本も経済民営化に舵を切り(米国にとって政治的には自民で十分民主主義OK)バブル経済→バブルの破綻→自民の崩壊を経て「米国もマジには要求していない民主主義」へ突入。
歴史的経緯としては冷戦終結後田中派出身の議員たちが(暗黙の了解事項は”官僚”と”米国支配”からの脱却)本質的な民主主義と政治の実現に向けて小沢を中心にあっちこっちと動き回って、
ついに日本で始めて民主主義の時代が始まった。
実際のところ小沢も民主主義ができあがるところまでを自分の仕事と思っているので、その後の権力行使に興味が無いのも事実(坂本龍馬的に”造るところまで”が彼の野心)。
なので余計に「できあがった後の戸惑い」というか、
できてしまった感慨もあるのだけれども、しかし実際これから日本は何を選択するのだろうねって部分は「未知数で面白い」じゃ済まされないのかも知れないが、
やはり面白い。
福祉や経済なんかの基本政策は”賢明な方法”がいくつもある筈無いので、今後も与野党そう大きな開きも無く収斂していくでしょう。マスコミの勘違いをひとつ説明するなら「北欧並の高福祉国家」を志向しているのじゃ無いです。現在日本の人口構成が高齢化しているので、結果「予算配分が高福祉型に見えてしまう」だけの話で、民主も自民も福祉に関しては過不足無い線を探っているところで志向しているのは「賢明な線での高福祉」と言っていい。
雇用者対策ひとつとっても景気が安定成長に入れば、失業対策予算は減少するのだし(ここの内需拡大にも賢明な高福祉はリンクしている)、合理的方法論を模索している点で自民にも民主にも大きな違いは無い(政権党時代の自民には官僚支配的抑圧がかかっていただけ)。
麻生政権でも「開き直ってマジの保守党政策に出なかった」ところから見ても、自民が本気で小さな政府志向じゃないのは明らか(そっちに舵切った方が負けは浅かったと思うけれどそういう提案力は今の自民には無いし党内論議でそんな選択を検討する勢いも無い)。
※ここいらへんはどっちの政党でも基本中の基本なのでキチッとやって貰わないと困る。
『内需主導』『低額保障年金(一本化というか事実上国民年金のみにする)』『年金掛け金個別徴収の廃止(全て消費税から国家負担→一本化に成功した時に消費税増税)』『年金一本化と同時に年金の企業負担も廃止(これが同時に非正規雇用と正社員の格差を縮める)』『欧州からの4大留学生の爆発的増加勧誘→日本国籍への帰化奨励(少子高齢化人口比対策)』『大学基礎研究費に莫大な投資』『新しい概念の防衛政策(最強の専守防衛)』
(留学生が欧州となっているのは”大EU”が今後政治の保守化問題に直面する事が予測されるので、過去にウィーンやパリNYが人材を糾合したように”知的自由主義者”が日本を目指す可能性が大いに予測されるため:日本は宗教的保守性が皆無)
つまり面白い部分ってのは、
今後のこの国の共同幻想の変遷や外交政策に尽きる。
民主党にはこれって党の綱領のような政策的指針が無いと批判もあるが、
それは当たり前で、
そもそも民主党の存在は歴史的経緯における”通過点”であって、変に固定され過ぎても選択の自由度が失われるだけなので、国民を巻き込む形で大いに論議したらいい。
(これだけ勝ったので将来的には現在の民主党は一部分裂して、今より小さくなった自民と合流し本格二大政党となるのじゃないか→「民主1」「民主2+自民残」による二大政党)
ようやく共同幻想崩壊過程における”タガ”のひとつが外れた
結果、崩壊は急速に足を早めていく事になる
中途半端な故にメンタルな問題における環境としてやっかいな問題だったこの「共同幻想の崩壊過程」が→「共同幻想崩壊」と言い切れるようになるのはいろんな意味で好ましい。
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