オーディオファンから言えばヘッドフォンで仮想現実とは言わないまでも、どこか本物じゃない感があるわけで(オープンタイプを使えば随分違うんだけれどね)、スピーカーだってさ再現してるワケだから本物って話じゃ無いのに(ヘッドフォン批判における首降っても音が付いてくる問題も、所詮ステレオ音源のSPだって首降った時のバランス変化がライブと同じなんてことはあり得ない)、拘るところはあるよね。
なんたって消費財には違いないから、
高価なセットで悦に入りたいなんて場合、上限に限りが無いスピーカーセットが断然有利なのは確かなんだけれど、
正直言うと「1万前後のテクニカのヘッドフォンと同じレベルの音を、スピーカーで再生しようと思えばアンプ含めて100万近くかかる(だけでなくヘッドフォンで許される大音量まで含めれば部屋の改装も必要となる)。←考え得るまでもなく比較しようの無い差なんだよね。
※ヘッドフォンが基本リニアリティの高い超小口径フルレンジ一発であることも大きいと思う
●その背景に「実は1万前後のヘッドフォンを聞いた経験ある人は意外と少ない」
って話がありまして、
音質の差って点から言うと、通常のスピーカー以上にヘッドフォンの音質差は大きくて(オーディオ視聴慣れしていない人でも一発でわかる)、
そりゃそうだよねリアルなスピーカーで言えば「4万のSPと5万のSPに大きな差は無いけれど」同じ1万の差と言っても「2千円のヘッドフォンと1万のヘッドフォンは、SPにたとえれば2万のコンパクト2ウェイと50万の30センチ3ウェイほどの差に相当する」のだから、音質と価格差の関係性が違い過ぎる。
(※ヘッドフォンにもハイエンドってのはあるが、せいぜい10万程度で、昭和の定番「3ウェイ798+プリメインAMP798」より安いんだから、、、)
ちゃんと聞くならヘッドフォンにもアンプが必要でわってご意見あると思うけれど、PC音源を使って高くても数千円レベルのDACを使えば事足りるのです。
■実際の話(先日某SP改造記を書いたけれど)
そらクラシックなどのソースで、窓ガラスがビリつくほどの低温はスピーカじゃないと再生できないし(体感的にもね)、ポップスやJAZZにおけるふわ〜っと広がるボーカルや金管の音もヘッドフォンでは難しい。
スピーカーだから得意としているとこあるのは事実だけど、
中高域のリニアリティーや音の張り、勢いってものはヘッドフォンの独壇場で(そら事実上軽量ツィーターユニット一発で全域出ちゃうんだから)、なんとかならないかとスピーカーを大音量にしても叶わない。
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昔懐かしい、オーディオ評論家の長岡鉄氏にして(高能率小口径ユニット・バックロード派)
彼がリファレンスに使用するスピーカーは最大で20p口径で、
名作と呼ばれた”スワン”は、巨大なマグネット背負った10pユニット1発だ。
「現実を観察する上で、俯瞰からスケール感で見るのか」
はたまた
「ミクロにディティールから積み上げていくのか」
どちらが正しいってことは無いのだけれど、
ヘッドフォンとSPの論議が示唆していることは、「コツコツ積み上げるのが遥かにハイCPで簡単」ってことなんじゃなかろうかと思う。
それって『共同幻想』論と『単独者』論の関係性にも通じる気がするんだよね。
或いは現代のミニマル志向とかもさ、
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