認知の過剰化を説明する時によく「反動形成」を使ってますが、この仕組みは経済学の乗数理論じゃないけれど二次的選択となった場合の「倍返し的認知スケール拡大」の説明です。簡単に言えば現実認知のスケールが倍化していく仕組みですね。
この状況にはもうひとつの動きが併行します。「認知のエスカレートが止まらない仕組み」です。
たとえて言うなら中国の言うところの南京大虐殺犠牲者数が毎年倍増していく原因みたいなところの話であります。
人間の認知において「だいたいこのぐらいだろう」という尺度というか歩留りというか(『共同幻想』専売特許の常識論とは少し違って個人的な”さばを読むのさば”みたいな)『量的目安』みたいなものがあります。勿論それは経験的に獲得された殊更難しい事も無い若干の推測込みの”どんぶり勘定”のようなものやだいたいの予測値ですが、認知の過剰化プロセスが進行・加速化するためには、そこの機能が思考停止していなければなりません(自分に「そりゃいき過ぎだろう」とバレますから)。
所謂「反動形成」に転じるきっかけや背景となる条件って部分です。
それは「ほんとに些細な現実と想像の混同や誤認」から始まります(というかそんな規模で十分なのです)。
「誤解を発端にした憶測」だけで”このぐらいかな機能”は機能停止します。
ぞこで、”このぐらいかな機能”が働かないほうが自然な状況からその仕組みを考えてみましょう。
代表例が戦場における『戦況判断』です。
見誤れば致命傷ですから戦況判断は慎重でなければなりませんよね。どんぶり勘定でやられてはいかんケースです。しかし戦況判断ってのは目を皿にして”情報取得(事実関係の確認)に躍起になる”ことで過剰化のキッカケとなることはありません。
のように、人間の認知には”このぐらいかな機能”をあえて停止させる状況もあるのですから(その判断は事の深刻さなどで決まってくる)、誰にだって認知の過剰化リスクはあります。
特に、前述例のように「事の深刻さ判断」が”深刻だ”にブレている時には停止させるフラグも立つワケで、戦況判断の例に照らし合わせれば「そんな時ほど事実関係の情報取得(ファクト)」を最優先としなければ(或いはそんな第三者性が担保されるテンションの継続が無ければ)、容易に「誤解を発端にした憶測」に始まる認知の暴走が起きます。
(注:この状況になれば非常に高い確率で「反動形成」も織り込まれる。)
(確定的なことは言えませんが、「誤解を発端にした憶測」ってものからが”どんぶり勘定”の「反動形成」である可能性もあります。→故にその段階で過剰化が始まっている。)
しかし戦況判断でもそうであるように現実認知を繋ぎとめている鍵は”情報であり現実そのもの”となり、「事の深刻さ判断」が”たいしたことないから”な時には”どんぶり勘定”が機能し、言うならば二段構えで認知は滅多な事では暴走しません。
(ちなみに鬱症例も一種の暴走)
厄介なのは、「事の深刻さ判断」が”深刻だ”にブレている時、深刻さって判断が不安や憶測を呼び第三者性を担保するような冷静さが欠落してしまう場合(合わせて言うと『興奮』関連でやたら事象を”深刻だ判断”連発すると数学的にリスクは高まる)、この状況で「認知暴走予備状態」となります。
(注:前述の補足括弧記載の法則から逆算すると、「『興奮』関連でやたら事象を”深刻だ判断”連発すれば、認知の暴走を自動的に派生させる事も可能だ」とも言えるでしょう。)
「嘘が雪だるま式に」ですとか「パチンコの借金がトンデモに」などなどの現象も広義で言えば同じ。初期認知に「ほんとに些細な現実と想像の混同や誤認」が発生し、「反動形成」が展開すると自我は現実との接点を喪失し(当人は現実を取り違えている自覚をもてないままに)現実との乖離が進み帰ってこれない事になる。←そんな状況はさして難しくもない構造で発生してしまうんです。
この状況は「当人は現実を取り違えている自覚をもてないままに」進行するため、何かのキッカケで乖離に気がついた後に「今考えるとあの時はどうしてあんなことを考えてしまったのだろう」と自分でも不思議に思ってしまうのです。
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2016年01月25日
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