これ言うとフロイド系はまた云々かんぬん批判されるのかも知れませんが、他に言いようが無いのでそのまま書きますか。
『共同幻想』ってのは、生存競争の中でひとつの運命共同体的な生物全般に見られる戦略のひとつが人類特有の発展したものと見る事もできますが、そんな自然な代物ではありません。
人類ヒト科の典型的な特徴は「年中繁殖期」という異例な進化に鍵があり、人類固有の爆発的なモチベーションの源泉となってます(ここでリビドーとか言いだすからあらぬ誤解になるのでそっちには振りません)。
哺乳類に限らず繁殖期の生物の行動には奇跡かっていうぐらい様々な行動が見られ「芸術的な巣をつくりメスにアピールする魚だとか、贈り物のエサをせっせと集める鳥や、きらびやかに身を飾ダンスを踊る鳥や、命がけの決闘をする牛や、常にボスの座を狙い組織内権力闘争を続けるサルや、傭兵役のオスだけ定期的入れ替え戦をやるライオンなど日常生活では見られない(見ようによっちゃ異常行動とも言うべき)モチベーションを発現します」、この繁殖期が人類はほぼ年中無休なワケです。
(※なものだからリビドー論を狭義の性欲みたいに訳してしまうと話があっちの方にいく)
『生存競争の枠から外れるほどのトンデモモチベーション』とでも言いますか、
この母数が人類ヒト科はとりわけ多く、そこを文明化に転換する事により地球上で爆発的に繁殖しました。
その過程で前述のですね、
「生存競争の中でひとつの運命共同体的な戦略を取る生物全般に見られる手法」が、
「人類特有の豊かな土地や富などをめぐる安全保障的闘争や自然との闘い的な一次産業的闘争のなかで、運命共同体的な戦略として『恒常的な組織化』が摸索され(より合理的な組織が生存競争的に勝ちますから)人類ヒト科は”こりゃまた随分にロジカルな『共同幻想』”を発明した。」
(当該組織が社会を構成する正当性根拠みたいな神話や幻想の事です)
更に補足しますと、
「この土地は豊かなのだが何年かに一度大規模な河川の氾濫がある、すわ氾濫って時には村が一致団結して(或いは命令系統をもって)これに対処しなければならない。・・・○○川には○○神がいて定期的に生贄をささげる大規模祭りを行うことで(団体行動の定期的演習にもなる)、この村は生きていけるのだ。」←この幻想が集落を集合化します。同時にコアとなる幻想を発端に倫理や道徳や法体系が派生する場合もある。
あるいは、
「この我ら民族母なる土地を巡って、周囲には東の○○族・西の××族がこの土地を巡り100年戦争をしている。小競り合いも年中無休で東の○○族は大柄で鎧も強い、西の××族は昔遊牧民で騎馬兵が強い、○○神の加護を受けた我が民族は強大な要塞を数十年に渡り建築し城壁の外には・・・」←以降は前述と同じ、
てな具合で、文明化すればするほど無尽蔵に栄えるみたいなね。
合理的な『共同幻想』ほどトンデモな結果を導き出せるとも言えたでしょう。
同時進行で、元祖当事者にそのつもりがあったのか否かは今となってはわからないのですが、特権階級の一種とも言える神官や官僚や貴族などの存在が「文化や宗教」を醸成し、ロジカル面で才のある存在は(共同幻想弁論部みたいな流れにもなり)後に各地の政治権力とも関係したり関係しなかったり様々な変遷の強大な権力乃至正統性根拠となります。→それは『共同幻想』における相対強者なのですから、これがまた莫大な組織力を誇りみたいな、
後に近代国家の概念が登場し、あれやこれやの大革命を経て、帝国主義やら大戦争もしーので現代に至る。
『共同幻想』のマーケティング分析は限りなく「投票行動の優先順位」となりますんで、
昨今のトレンドは専ら「経済合理性」になってます。
しかしどっから見ても「経済合理性」に「神話性」は無いワケで(笑
社会学的に言えばゲマインシャフト(血縁や民族共同体)からゲゼルシャフト(利益性関係者組織)へ。この論議の象徴は「アメリカ合衆国の成立」かもしれません(米国成立のバックグラウンドはアンチカソリック教会権力的意味合いのフランス革命の人権宣言でありキリスト教世俗主義とでも言うべきカルヴァン主義:代表的なモニュメントがキリスト教系の彫刻では無く自由の女神という何コレ?みたいな形となる)。その共同幻想は『アメリカンドリーム』とも呼ばれる極めて現世利益的なもので、そこに歴史的経緯的には南北戦争やWWUも影響し(当時白人多数を占めるドイツ系のアイデンティティーが後退)、ベトナム戦争を経て、イラク戦争を経て、金融経済のやり過ぎを経て、元から硬性とは言い難かった(=自由度は高い)『共同幻想』は『アメリカンドリーム』もちょっとどうかなというだけでなく「市場経済と民主主義も大丈夫か?」なところになってきてます。
(9.11を経て一度『軍隊』の権威が高まりましたけど、イラク・アフガンを経てこの軍隊も民間傭兵委託であるとか財政難から予算削減対象となってます。)
現在のオバマ政権など見ていると、「彷徨える大国」の心配もチラホラです。
(※『単独者』社会って言葉も論路矛盾かも知れませんが、大国ほど『単独者』化をどう取り込んでいくのかって難しい事なのかもしれない。「大統領を権威と思わないアメリカ社会」ってのもなかなか想像できませんものね。)
労働組合の組織率なんかもご覧のとおりで、『共同幻想』は国が先進国化するに従い自動的に崩壊過程に入ります。
ここのバックグラウンドとしては「そもそも論のとこ(自然との闘いや安全保障)」←ここが社会資本として半ば普遍的な既得権益っぽくなり制度保証される社会への変遷するので、「初期の『共同幻想』を必要とした理由が無くなる」って重大な変化に呼応するものです。
(一部保守派はここの理解を「英国病」なんちゃら論になる場合もありますが、これは単なる勘違い。)
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