2005年08月31日

中ロ軍事演習に思う。

これはあまりにも以外というか「まさか」というか、、
時代錯誤としか思えない軍事演習(イベント)が中ロであったわけだ。「乗るロシアもロシア(これはビジネスでしょ)なら、真面目にロシアとの軍事演習で軍の近代化を誇示する中国も中国」で、

「アメリカのイラク侵攻やりすぎ厭戦感」は、ナンセンスの代名詞として定着している。
「アメリカって、そういうところがアメリカだよね」
これは皮肉にも最近のアメリカのイメージで、確かに武力行使に躊躇しないって部分には違いない。
しかしだ、現実的にアメリカが考えているのは「小規模地域紛争」ってのは世界中にバレバレで、次に狙うとすればイランか北朝鮮以外にあり得ない。それにも国連のある程度の承認が名目だけでも必要になる。
何故って、今アメリカにはそれほど大規模の軍事侵攻を維持する国力が無い。
既にイラク戦への兵士の不満は大きく、派遣のローテを組むのが大変で(人員不足の結果)、州兵動員の結果になり、日本を含めた他国の協力は『現実問題マジ』だった。


台湾問題で、軍事的な緊張が高まるとすれば「中国発」以外あり得ない。これは小学生でもわかる
まさか台湾に中国を侵攻できるわけでも無い、そして台湾の軍隊はアメリカとの友好関係もあり「けっこう最新式」「人の数ばかりで内容はたいしたことない中国」という図式が中台間の安定になってたともいえる。
実際アメリカのグアム、アメリカの戦術的要所沖縄、こんな地域で軍事的不安定が起きると大変なので、安全保障としてアメリカも相当警戒するだろう(冗談だとわかっていても)。

中国の台湾侵攻話っていうと、昔は北朝鮮のTV局の報道並みの「冗談でしょうよ的ネタ」だった、中国は何度も「台湾が独立すれば軍事的オプションがある」とか、目の前で軍事演習もよくやってきたが、共産党特有の「形式」ってイメージで、興奮していたのは「アンチ外務省(外務省には中国留学の中国派がいる)」な人ぐらいで巷はやれやれとしか思っていなかった。


何が変わったのか?
そりゃ最近の中国の反日を見ればわかる
中国の国力が大幅に伸びて、この国力自体がアジアの不安定要因になっている。中国政府は、国内の不安定要因を抑えるために「各種イベント」が必要で、そこには「ナショナリズム」も含まれている。
そもそも一党独裁と文明国は馴染まない、
かつてどっかの評論家は、経済の民営化と政治の独裁は中国の国内問題で干渉すべきではないという論調だったが、とんでも無い間違いで、今ごろ「政治の民主化」だって話になってる。


何が危険って、共同幻想崩壊過程で最も大事なサブカルチャーはいいも悪いも無くジャーナリズムでしかあり得ないんだが中国にはこのジャーナリズムが無い。「政治的民主化は遅れても、報道言論の自由は必須」だろうこれ天安門事件の時にもっとやって良かった。
中国共産党的には「天安門事件が起きたのは大失態」って事になってしまっている(このムードは、意味合いは違うが戦前の2.26事件の在り様に似ている)。ここから世論の誘導が始まった、
しかし、近代国家でジャーナリズムが国家権力に誘導されると「大失敗して逆効果になる危険性」は誰にも明らかで、現在中国は「まったくそのまんま」な状態にある。


経済で考えてみよう。
「市場経済が結論」に至ったのは、一部の官僚に計画経済として国民の心理を予測するなんて事は不可能だからで、市場調査って言葉があるように、これを計る方法は「市場」しかない。
ある意味「資本主義と共産主義の結論が出たのではなく、結論は市場経済だった」のだ(報道も言語として「市場経済」を使う)。これ言論でもそうで、言論報道の自由が無ければ、国民の心理を計る方法は無く、民主主義はこれを政治に反映する手段だ。

よく「開発独裁」のモデルとして、民主化も市場経済も怪しい戦後日本の名前が挙がることがあるが、状況が全く違っている。当時の日本の需要はもっぱらアメリカによるもので、それもその需要の中心は朝鮮戦争なのだから「計画経済で経済成長先行」しても取り立てて違和感が無い。
つまり心理学的に言うと『需要』は『個人的欲求』なのであって、当然ここには「個人の独立と自由」がくっついている(なけりゃ需要など存在しない)。
ほとんど社会主義の日本には内需などほとんど存在していなかった、この国は貯蓄性向が高く(需要する『個人』が少ない)、その資金力が国際問題にさえなったほどで、今でも日本の需要は『国が債務の形で肩代わりする』という構造に大きな変化は無い。日本では個人が独立していく形ではなく、文明の進歩に耐え切れず共同幻想が瓦解する方向で「独立志向」が後追いしている(その後をジャーナリズムと政府が追っている)。

ところが中国には「思い切り勝ち組」が存在し、案の定「反日デモ」の中心には「勝ち組み富裕層」がいる。
あからさまな独立志向(個の権利を国家に投影する形のナショナリズム、構造としてはファシズムとは違う)で、

これは危ない。

おそらく今回の中ロ軍事演習は、中国の国内向けのデモンストレーション(ほとんど軍事ショー)なのだろうが、こういう事をしていると「勘違いして本気になる」事がある。
その加熱に水をかけるのがジャーナリズムなんだが、中国の自称ジャーナリズムは“これを煽っている”。まるで戦前の日本の新聞社のように。
日本が戦争に突っ込む動機となった「ハルノート」は、当時の日本のおかれた心理状況としては「国が滅ぶ」ぐらいに思う事だが、アメリカがフセインに突きつけた戦争前の条件提示もそれほどたいした違いは無く、今の日本なら「ハルノート賛成!」で、戦争等おっぱじめるような心理にはならなかっただろう。
アジアの植民地解放は遅れただろうが、日本の会戦の動機として「植民地解放」はスローガンに過ぎず本気ではなかった(日本が植民地にしちゃってるのだから)ので、国内世論は戦争回避を歓迎しただろう。

危なっかしい事は、諸外国の対応で決まるのではない。
イラクにおいては、「フセインを打倒するか、アメリカの軍門に下るのか」の選択だったわけで、物理的にはアメリカの軍事侵攻規模の被害を覚悟していれば彼ら自身でフセイン打倒に成功する可能性は高かっただろうし、確実にそのほうが死者もインフラの被害も少なく済んだだろう。いいも悪いもフセインを打倒できない国内世論によって、結果「戦争を防げなかった」。
これ言うと、悪いのはアメリカ的なひとに随分言われそうなんだけれど、心理学的には「そう」。
この「アメリカ悪者説」の人が大好きな、「アメリカの何が悪いっのかといえば」の代表的理由が皮肉にもそれを証明している。
『イラクの大量破壊兵器』だ
だって無かったんだもの、
いいですか、なかったら国連の査察なんか「どうぞどうぞ見てやってください」でしょ、これ何処が一体問題なの?それでイラク戦争は無しだった。

フセインは、それなりのカリスマで「大量破壊兵器を持ち、且つその力を持ってしてブッシュ親子を恫喝するタフな男」このイメージは国内向けに必要だったのであって、
つまり「ありもしない大量破壊兵器があると思っていて、戦争になったのはイラク国内の大問題だった」事になる。
いかにもフセインの弾圧や独裁者としての振舞いが、目立っていたが(これアメリカ憎しの人も)、それが原因だとすると「アメリカの戦争は民主開放のための大儀があった事になる」。

やっぱ今の中国は危ないと思うよ、心理学的に。
posted by kagewari at 15:36 | Comment(0) | TrackBack(1) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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