「出生率低下」と言えば、政府や世論の論調は「女性の権利拡大策や、労使関係の問題」になる、
「住宅問題」と考える人もいるだろうし「これは教育(費)問題だ」と言う人もいるだろう。
これがそもそもおかしい。
子供を産むのか産まないのかは、個人の自由であって、上記のアイデアってのの前提は「産みたい気持ちを断腸の思いで断念している人が沢山いる」って事になる。
しかし、最近の出生率の問題は
「そうじゃないでしょうよ」
「子供ね〜、どうしようか」ぐらいでしょう。
だとすると「産みたい気持ちを断腸の思いで断念している人が沢山いる」事を前提とした「産めなくて困っている問題」は存在せず、「産みたいのに産めなくて困っている問題の解決策をなんやかんやと考えたところで、政策の趣旨が→女性の権利拡大、労使関係、住宅、教育そのまんまになるだけだ」。
話は戻るが子供を産むのか産まないのかは、個人の自由であって出生率の低下などどうだっていいのだが(高齢者問題と出生率を結びつけるのは単なる民族主義で、一見「アリ」の論議にも見えるが実は暴論と考えていい。国内経済の労働力は別個の問題で、移民政策などで若い労働者の移転を助ければいい。そもそも人口爆発が問題になっている国もあるのであって「国際政治」だの「日本の国際化」などと言う事を本気で言っているなら、そっちの政策をさっさと考えるべきだろう、日本のアイデンテイィティーを守りつつ国際標準たるって方向性は「もう踏み出しちゃっている」んだし、デフレで現在の労働力さえ完全雇用に出来ない政策をやっている時に、将来の労働力がどうこうじゃないでしょう
現実労働生産性が飛躍的に向上する可能性だってあり得るのであって、当面する経済の問題は「半世紀前と変らず完全雇用」には違いが無い。
しかし、本能の壊れた人間(その代替として自我を持つ)にとっても、
「種が滅びる結果になる行動選択が行われている現状は自然か?」これは考えてもいいだろう。
例えは極端だけれど
「ダイエットブームで国民の半数が栄養失調だ」
これはどっから考えても自然ではない、
本能が壊れたとエキセントリックな表現を使うと、何かいかにも「反動的退廃」なイメージになりがちだが、そもそも本能は自然との関連の合理性から育まれるもので、「自我は合理的でない」なんて事になってはむしろ不自然で、均一性の点では本能に及ばなくても思考の点で合理的な可能性を求めるのは「本能も自我も同じであり」その差は、運用面だと言ってもいい。
つまり
共同幻想と各個の自我は補完関係にあり、以前は「家族であったり出産」についての合意性は「共同幻想マター」であった、その共同幻想の権威性が「良くも悪くも後退している」のだから、これは「個人の手に委ねられた」事になる。
しかし、「家族出産」なんてものは「共同幻想マターだ」な発想がスパッと一朝一夕に自我に移行する筈が無い。
出生率の低下の背景にあるのが「晩婚化」であるのは明らかで、
「なかなか判断するのに簡単ではないので時間がかかっている」でしょ、
何か殊更社会の危機であるかのように騒ぐ事では無い、
それこそ政策サイドにできる事は「いろいろ考えて不安も多いだろうから、側面から不安の一部をサポートする」事を考えるべきだろ。
「サポートする」なんだから、希望に添う公共サービスを提供する事を考えりゃいいのであって、まさか社会の女性の大半が「キャリア志向」なワケが無く(俺は男だがキャリア志向など無い)十分に育児手当があれば、働かなくていいのだから「保育所問題がどうとか」「育児休暇後の会社復帰の話とか(そもそもそんな体力は一部の大企業にしか無い事は誰もが知っている)」人権だの平等だの、話が反れる政策論争など起きないし、夫が『退職して育児休暇を取る自由』なんて発想も出てくるだろう。高額の育児手当は「育児に対しての社会的評価」なのだから。
当然金になるので、保育所であったり関連サービス産業も伸びるので、益々環境は良くなる。
一時高齢者医療費が問題になった事があるが、これは生産(納税)としての将来像が無い話だからで(簡単な話、高齢者がそれだけ医療機関を使って健康になるのなら、彼らの雇用を考えればいいのであって、一律に医療費の削減を考えるのは順番が違っている)、子供の養育費は、将来の生産者への援助であって「長期的レーガノミクス」だぐらいに考えても少しも惜しくない。意味不明の公共事業や、貯蓄性向が高いってのに減税するよりよっぽど「ほとんど消費に回る養育費」は経済政策としての効率も高い。
だいたいが、「シングルマザー」が言葉として流行したことがあるが、
『政府はシングルマザーを支持します!』何故言えない。
片方で「片親だからと差別はいけない」とか「私生児だからと結婚差別があるのは前近代的だ」って言っておきながら、何かシングルマザーが社会問題でもあるかのような雰囲気ってのは論理矛盾だろうに、
なんで「積極的に応援しましょう」とぶち上げられないのか
政府サイドには「共同幻想の番人的保守性」が存在しているのであって、出生率が問題になると「家族を再生」とか「結婚奨励」とか、話のピントがずれていく
そもそも、何時何歳で結婚しようが個人の自由だろうし、それを基本的人権っツーんだろう
「なんとなく子供は3人ぐらい産むものだ」という常識(共同幻想)が昔にはあったのであって、実際俺の世代の子供時代には「一人っ子なの?」と、子供一人はユニークな側だった。
実際能動的に自意識選択として「あ〜○人子供が欲しい」と思うことってあるだろうか?
『自分にとっての理想の家族構成』って発想があったとしても「私はカレーが食べたい的」欲求として「無性に3人子供が産みたい」なんて思う事はあるだろうか?
こういう事をいうと誤解されるのを承知で言うのだが、
ペットを飼っている人の大半は「多頭飼い」を考える、
「沢山いたらもっと楽しい」
不謹慎な話と受け取ってもらってかまわないが、単純に「自分の子供が可愛い」と感じる確立は高いだろうし自然な事だろう、実際の夫婦でも「(なので)もうひとり産もうか」というケースも少なくない筈だ。
いいとか悪いとかではなく、「出産を巡る不安が無ければ、自然に出生率は上昇する」と考える事は非論理的なんだろうか?
現代家族の形態は多様だし、家族である必要があるのかないのかも論議があるだろう、
離婚率が50パー超えてるのも現実だ、
家族なんてカテゴリーでは無く、「この国の女性が不安無く出産育児ができるシステムを整える」それ以外に何の政策が必要なのか?育児に不安があるのなら(昔だって乳母はいた)「出張乳母サービス&カウンセリング」があっていいのであり、幼児虐待がある現代だからこそ「独身の里親」がいてもいい(適任者の認定などの社会体制を整える力こそ先進国の知性ってもんでしょうよ)、
どうも未だに「共同幻想は壊れても仕方がないのであり、今後はいかに個人(自我)というものに社会を委ねていかなければならない」という認識が欠けているのじゃないのか、
それが、まんま『民主主義』だろうに
2005年08月06日
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