2004年10月19日

「決定的な体験」の補足と、脅迫(強迫)の精神分析的解釈

悩みを抱える自我は、社会や人間関係の接点でストレスを感じ、それに反応する形で矛盾を抱えた(解決の糸口の無い)悩みに陥っていると考えられる。
悩みの内容は「反応=被る」という流れにあり「自分は何をしたか」という主体的な自分の関与を(結果以外に)背景にする事は無い。

脅迫(強迫よりイメージは脅迫に近い)神経症等と語られるように、自我自体が脅迫的である(自由ではなく、どうしてもある選択や思考を迫られている)のに「自分は何をしたか」という主体的な行動は話に出の中心にならない。
このことは、一見行為として不可能であるように思える(自分自身が自由にならない事がある筈なのに、不快な現象自体には自分自身の関与が全く無い事になっている)、しかしこの構造は「ある見方」によって可能で、これが「決定的な体験」の背景にもなる。

注意深く話を進めてみよう。

自分自身を内省的に見るときには、人は自分でありながら客観になり「俺はいいのかな、これで」なんていう感じで独り言的見方をする事が容易で、又、「世の中はおかしじゃないか!」等と(超自我ではない)批判的である時には自分自身は主観だがよって立つ立場が第3者的客観者となる。
自分の事を「この人はなんて可哀想なんだ」「こんなに頑張ってるこの人になんて仕打ちだ」と思う事も、取り立てておかしな現象ではない。この時自我は主体的だが、よって立つ立場は(共同幻想的)世間の常識の側であり、容易に周辺人物の代表であるかのように思考する事もありえる。

自我の立場には、主観と客観という簡単なところで区分けされない複数のバリエーションがあって、『心理学』などと言う言葉があるのは、『自分を語る学』というよりその方がピタッとくると相対的に思われているからで、『自我』というものの主体性が「僕のレーゾンデートルは何?」なんて事を思いつくほど自分自身と一体感がないためで、この理由はもっぱら自我が文化や家族文明、言語による「外的刺激」で発現し成長するからで、全て主体的に「自分が自分が、俺が俺が、私が私が」で成立していないからだ。(この世の誰とも会話が出来ない自我は無い)
何せ自我は他者や外界との「インターフェイス」として存在しているので「自分からちょっと浮いた存在」に他ならない。「僕のレーゾンデートルは何?」そりゃそうだ、果たして僕(自我)は自分か?という問いかけは、自我の「浮き加減への疑問」であって、そうそうおかしな話じゃない。

つまり、自我は容易に自分を離れて世間の代表者(あくまで代表で「偉い」という意味はない)の位置で物を考える事も容易で、「新橋で聞きました」なんて感じでマイクを向けられれば「年金問題が先ず、、」と容易にそのスタンスになれる。

「超自我と自意識、無意識の関係が不安定だ」。結果、相互に干渉するかの様に脅迫(強迫)的傾向にある。(干渉される側から考えると、自分自身の中でありながら「被る」と感じられるので)
この状態の自我にとって、さっき説明した複数の立場や見方は、極端な形に表れやすい事がなんとなくわかってもらえないだろうか?
『自我内の干渉者(自分の無意識や超自我)』
自意識より前意識的なロジックや無意識が主体感の上位を占めると、自意識は自我全体が感じるストレスの「自分は被害者である」という主体性が『自意識の最も頻繁に感じる主体性』になり、発想の軸から「主体的(攻撃的)に考える」が後退する。

そこで

「なぜこうなんだ」「どうしてこういう事になったのか」「あの人は何を考えているのか」、、という悩みの基本構造に思考は限定される。
「どうすりゃいいのか」「どうすれば打開できるのか」「あの人にこうしてみようか」これは悩みでは無い。
なので、行為が挫折した後の感覚も、前者は「やっぱり意味がない」となり、後者は「何を間違えたのか、修正しよう」となる。自己嫌悪VS反省そのものだ。自己嫌悪とは「主体感(意識)を『被る』という立場に脅迫し、固着させる事だ」と考えてもいい。
■「自意識にとっては、巻き込まれている」に違いが無い。

次回は自我の存在意義、そのものについて考えてみよう。
posted by kagewari at 22:51 | 心理学テキスト「Why not」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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