2004年08月29日

小学生の校内暴力調査(文部科学省調べ)について

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200408270390.html
続けざまに事件があったこともあり、注目される話題には違いないが、朝日の新聞紙面上でも「届出の件数、内容など調査報告の違い」等も指摘されており、03年度27%増の根拠ともいえるのだろうから極端に先鋭化してるとは言えないが、それが沈静化や激減しているのでは無く、そもそも小学校で生徒による暴力沙汰があること自体問題で、一部に「事件の生徒だけが暴力を」という勘違いもあるだろうから、この27%増の数字は額面通り受け取るべきだろう。

増加率でみると、生徒間32%増を越えて、教師に対する39%増が気になる。つまり学校にあった「家族⇒地域⇒知り合い⇒仲間」等の(先生=権威、はとっくの昔に失墜している)共同幻想は既に「ほとんど存在していない」。
いわゆる「小学生の常識」の雛型を暗示する雰囲気が既に「無い」のであって、依然とは違い教師の猥褻事件も連日ニュースで当たり前に報道されている、家庭でそれがどう論議されているのかわからないが、学校について「心配な場所だ」的な雰囲気が流れているのは事実だろう。
何年も前から、勉強する場所の地位は学習塾にシフトし(おそらく共同幻想化している)学校の存在意義は「獏と理不尽なモノ」へと貶められている。

共同幻想の模倣として「小学生らしさ」を意味不明に先生が説いても、親としてもバックアップできないだろうし、親としても「学校に何を求めるのか」今は曖昧だろう。(親の本音は「無事」を求めているぐらいか、、)

子供にとっては同世代のサロンとしての利益は今でも大きく(大人的に考えれば、合コン。小学生レベルでは「異性間意識」が希薄なだけで、構造としては同じだろう。)休みの日に遊ぶ交友関係や、情報交換の場として有益な場所で、「必要悪だ」との指摘はあたらない。この点から考えるなら、先生は「結婚サークルなどのイベントを仕切る会社の社員的仕切り」が求められているのであって「学校という場の秩序を、利用者のニーズに合わせて確保する事に勤める」べきで、「いうことをききなさい」ではまるで見当違いな反発を受けるだろう。

実際生徒間の争いにしても、調査にあるように「いじめの報告数の低下」が「校内暴力」とバーター関係になっている事がわかる。つまり「無意識的な問題の表面化」として考えるなら思春期以前に心理的な問題が表面化しているだけ早期発見に繋がり、事件の等の問題に発展する以前に(暴力に思春期がクロースすると、その度合いはエスカレートするので)問題点が表面化しているのだから、見方を変えれば「顕在化しただけ」と言える。

学校における重大な問題は、せっかく「顕在化」した「早期発見の心因性の問題」を解決するシステムをまったく持ち合わせていないことだろう。
自我トラブルは「大人としての問題意識」となんら代わらない証明で(それだけ自我が発達しているからこそ、心理的な問題になっているのだから)「小学生だから先生」なんてまるで根拠の無い構造で解決の処方箋を考えても全く意味が無い。
地域が壊れ、家族の閉鎖性は先鋭化しているので、社会の存在意義はオープンであることに尽きるのだから、問題解決については「会社員の心理的問題」を抱える会社の対応と全く同じでいい事になる。

現在退職警官の学校への配置が検討されているが、それは社会秩序の存在をアピールする効果はあるだろうが、解決の仕組みには繋がらない。
学校はカウンセリングを含む心理的な専門家の研修や、連携を強めていくべきで、一組織(学校)だけで孤立して対応を内部だけ(職員室)で検討するなら、背景の孤立する家族と構造はまったく同じになってしまい、生徒諸君の投影を招き逆効果となる、ここは広く社会的に(オープンに)対応していくべきで、「何故そうなるのか」について「考えられない」等のまるで無責任なコメントがポンと出るような状況は少なくとも「無し」にしてもらいたい。

家族に話を聞く前に、生徒の言動から「どんな家庭か」につてい話を聞く前から「あたりがつく」ぐらいじゃないと、家族と話しても建設的なものはみつけにくいだろう。
「おそらくこういう家庭なんでしょうが、実際その内容はどんなもんですか」ぐらいで丁度いい。
家庭に問題がある事はなんら恥では無く(昔それを担保したのは社会で、家庭自体のデキが良かったからではない)、いかにも現代的にどこにでもある話なので「じゃあどうするのか」に絞って問題点を考える事に遠慮は必要無い。
posted by kagewari at 15:29 | Comment(0) | TrackBack(1) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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所謂臨床系の言うところの行動療法ってほど堅い話ではありませんが期待感あるアプローチだと思います
自我と時間』参照




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