2010年07月13日

参院選だけでなくワールドカップも振り返っておこう

俺はプロ野球ファン(だった)なので、サッカーの戦術は素人なのだけれど今回のワールドカップはかなりエポックな大会だったように思う。
戦術の大転換があったからだ、
以前はボール支配率を高めるなりを狙って(所謂中盤を厚くするために守備ラインを押し上げるなど)攻撃への流れを考える事が戦術の中心だった。
昔から守備重視の国もあったけれど、それは個人技において劣っている国が伝統とド根性で勝ち抜くスタイルから来たもので戦術ではなかった。

ところが今回の大会において戦術の中心は『守備ブロック』そのものだった。
(つまり決勝のオランダ・スペインが主役ではなかった:決勝がえらく荒れたラフなゲームとなったのは現代サッカーで攻撃重視の戦術が時代遅れである証明だったように思う。攻撃重視の両チームが延長戦までもつれ込む0対0の点の取れないゲームだったのが証明。)
これをもっとも効率良くやったのはドイツだったろうし、
あのブラジルが守備重視を打ち出したのは流石ドゥンガ監督って事かもしれない。
(今大会MVPはスペイン・ディフェンダーのプジョルでしょう。最強の選手はオランダFWロッベンだったように思うので残念。)
※3位に終わったドイツの監督のレーヴが「満足いく大会だった」とコメントしているのは本音に思う。

優勝したスペインは予選リーグ初戦で『徹底守備ブロック』のスイスに負けている、
概ねこの戦いは「スイスの戦術はルール違反じゃないか」のような論議も呼んで(サッカーというゲームが成立しなくなるみたいな)、実は日本代表の戦術もこの『守備ブロック戦術』だった。
(岡田監督はこの戦術転換によって16強を掴んだと言っていいでしょう)

■この話プロ野球にたとえると「JFKのいた岡田阪神タイガースそのまま」なんだと思います。あの野村監督ですら「これは野球を変える」と言わしめた”徹底守備重視の布陣”は、ルール違反な強さを発揮します。
偶然やたらと連投の利くリリーフがいた(久保田とジェフ:って結局両者壊れたけど)事情があるにせよ、メジャーで言うところの『セットアッパー+クローザー』(サッカーで言えばセンターバック二人みたいな)に加えて『セットアッパー二人+クローザー』という(3バックとは違うと思うけれどサッカーで言えば4バック基本の守備ブロックみたいなもん)圧倒的守備重視の布陣は「野球は7回からの終盤が面白い」という醍醐味を木っ端微塵に打ち砕き、終盤は実に退屈な野球へ変貌した。
 ↓
ルール違反と言われた根拠は様々あって
・先発投手として華々しく活躍するべき人材が一枚リリーフ専任となってしまう
・リリーフ三人の1回づつの継投には「スリリングな継投の要素も無い」
・パンパな先発投手でも初回から飛ばす投球で勝ってしまう
・先発完投投手がいなくなるので大投手が育たない
・負けている相手は回の終盤”試合を諦めてしまう”
等々なんですが、
■次から次と『勝ち組リリーフ3人体制』が他チームにも確立してくると、別の意味の見所が生まれてきました。
 ↓
・価値試合にはエース級の投手が必ず抑えとして見られる
・短いイニングで全力投球するリリーフは球速も早くオールスター的見所がある
・相手チームも真剣にリリーフ3枚の攻略を考え出した
・ハンパな先発投手にもチャンスがあるので若手の先発起用が増えた
・貴重な先発完投の大投手価値が高まった
・リリーフ投手の地位向上
・立ち上がりの1点先行の価値が高まった(足のある1・2番)

■サッカーも『守備ブロック』で面白く無くなったのか?って違うと思う。
日本代表の戦いは退屈な一戦だったと言われる事もあったけれどそれも違うと思う。
昔からのサッカーファンは随分スペインの華麗なパス回しを評価していたけれど、さっぱり点にならないパス回しは見ていても退屈なだけで(ヒットは多いが得点できないチームを見ていて楽しいか?)、『守備ブロック』チームの台頭で「パス回しさせられている」側面もあったワケで(ヒットならOK四死球とホームランは防げのように)、スペインにしても決して嬉しそうにパス回ししているようには見えなかった。
(スペインも大きく相手を崩す時はカウンター気味に縦に早いパスが回る時だった)

時代は随分変わって、日本のサイドバック長友選手が評価されて海外移籍になった話が示しているように『守備ブロック』サッカーにも面白さがあるわけです。
・あのブラジルですら圧倒的個人技による攻撃では勝ちきれないと判断している
・守備技術の向上で正面突破はほとんど不可能になった(DFの地位が向上し攻撃参加も常識)
・守備ブロックにより”スペースが開く”事がほとんど無くなり、攻撃陣は”自分の動きでスペースを造る”スタイルになった
・基本守備重視で引き気味なので(FWも守備重視)、いざ攻撃って時には特殊能力に近い凄腕の攻撃陣が少人数で切り裂くような攻撃が求められた結果、以前以上に(個人技というより)身体能力含めたFWの突出した決定力や走力含めたスピード感が増した。
・セットプレーがやたらと重要になった(アメフトなら別の専門チームが登場する場面でしょうね)
・引いて守っているので守備のミスは一発で致命的な失点に繋がる
・中盤の攻防は「格闘技に近い当たりの強さ」に変貌しつつある

同じスポーツですからね、プロ野球と同様に競技として進歩し続けているのでしょう。
野球界において突然150キロ連発投手が台頭しているのも、ゲームとしての変化に呼応する部分あるだろうから、サッカー選手の身体能力というものも今まで以上の内容に変遷していくのだと思う。それもある意味リアルスポーツでしょう。
(※ワールドカップの決勝ラウンドともなれば”ラグビーやアメフトのバックス”同等の”フットボールの世界”ですよ。DFを吹っ飛ばすFWの技術がタックルかわしてタッチダウン決める動きとそう違わなくなってきているのじゃないか。)

注目すべきは最も「お国柄」を発揮したのは優勝のスペインに違いないのだろうけれど、各国がその国の個性を発揮というよりも”選手個々のパフォーマンス”に応じてチームの特性が変わるという実態は、あたかも『共同幻想(伝統的チームカラー)』と『現実(リアリズム)』の関係を表しているようだった。
(※本戦になって突然本田の1トップを選択して変貌した日本代表が典型例)


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posted by kagewari at 13:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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