2010年03月06日

インターネットメディアにおける特殊性

各大手メディアが固唾を飲む中ついに日経が有料インターネット新聞の舵を切りました。
(NIKKEI NETはそのまま無料で継続しつつ”新聞版?”を新たに開設するとのこと)

「日本経済新聞 電子版」(Web刊)創刊のお知らせ
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/release.aspx?i=244764

▼「NIKKEI NET(日経ネット)」を継承し発展させるもので、無料でも利用できますが、すべてのコンテンツや機能を閲覧・利用するには毎月の購読料がかかる有料会員になる必要があります。

インターネットメディアにおける特殊性という認識を欠いていますよ。
そして既存マスメディアが大幅に失った信用性という損失を軽く見ているって事です。私の限定的な経験の中だけでも業界系の接点で感じられることに「紙媒体の人はネットそのものを卑下している」という印象があります(TV関係も同様に)。
何をもってと言われるとナントモなんですが、

思うにインターネットメディアは=独立系がマジョリティーであり、編集デスクであるとかプロデューサー・ディレクターであったり資本関係的な上部構造のような『権威性社会からもっとも縁遠い』特徴があります。
それなりに資本の入っているニュースサイトでもコラムやブログ形式の独立系コンテンツが多く、印刷枠が事前に限定されるが故に編集が大きな力を持つ既存メディアに比べインターネットはリンクされた対象の記事テキストには基本的に量的限界が無く(言うなら書き手が疲れるとかワリが合わないと感じるとこが限界)権威的な上部構造が及ぶ”何”が最初から存在しないのです。
そしてインターネット社会が発明したとも言える「フリー・エコノミー」の概念(これは某広告系が特異とする”フリーペーパー”とは全く関係ありません)、この部分は権威性社会にとってそのレーゾンテートルを保つ”よすが”が無いって事で、
 ↓
つまり「何をもって有料なのか?」が問われる時、インターネット社会はその評価が極めて厳しく(自由競争なんてレベルを超えてます)、極論すると「権威性社会における上下関係(その会社内の社会的地位)など全く何の役にも立たず、むしろそれ自体が評価を下げかねない話」なんです。

日経の電子版で言えば「どこからどこが無料で、どこから先が有料なのか?」、
一歩間違えばサイト全体の評価を落っことしかねないとてもクリティカルな編集手腕になります。主要な映画監督並のセンスが問われると言ってもいいでしょう、
或いは、説明の必要も無いような「何らかの強い説得力を持つ合理性を示せるか?」
この設定があまりにも難しいため、各ネットメディアは有料化ビジネスモデルにことごとく失敗し、google等が開発する広告手法頼みというか(人の判断ではあまりにリスクが高いだけでなく高コストだし作業量も膨大)システム設計抜きには語れない訳です。
(構造としては「電通VSgoogle」みたいな話)

その反面リテラシーがきついインターネット社会は、たとえば実業としての小売店の世界なんかと比較してその速度を数値化できないほど急速に『ブランディング』が可能であり、
簡単に言えば「どぎついほどの内容勝負」な世界です。
(ここのとこの話題でいえば”立花隆氏”ほどの人物が一瞬でランク外に格下げされる世界)大手メディアの人は、「所詮インターネットの世界は”中抜き”が収益のポイントだろう」と見ているため、業界内では日経の試みを「新聞業界=印刷工場資本の回転」の原則から紙媒体の新聞を同時に共存させるところを心配していますが、そこは大きな勘違いなんです。
実用的インターネットの世界で目立つのは『通信販売』ですが、似たような業者や同じ商品を売っている業者やら、表紙だけ変えて中身は同じだろうって偽装にも似た”表紙だけ違う会社”やら百鬼夜行なワケで、中抜きじゃなくて→インターフェースがその何倍もあるんですよ。業界事情わからない人は「何のこと?」かもですが、
えーこれはですね、、
構造的な権威社会市場の流通が仮に「問屋1店・小売本社1・各支店6」だとすると、
インターネット社会の市場は「問屋○店・小売店60」みたいな事になります。
(そもそも参入コストも”中抜き”で容易ですから)
戦争で言えば、参謀本部も前線も補給も区別無く「全員が最前線」なんですよ。

この全員が最前線の中の白兵戦実力勝負の流れの中で”流動的なコアが自然発生する”、
権威でもなく、ブランディングによるビジネスモデルとその周辺が自然発生の”現象”として水平的に群体化するんです。
「そこのポータルがサクっとブランディングされたコアにヒットすると成功する」
当然十分なボリュームがあればブランドは群体化の必要なくシングル単体でも同じ現象領域を形成します。
その更に外郭は「常に無料(フリー)でなければならない」んです。
権威性の発想で言葉にすると「インターネットの世界には自浄能力のような概念は無く、ひたすら強靭な淘汰圧による更新が無限に続く」んですよ、簡単な話です”極めて自然界の原則そのまんま”なんですよ。

だから、そんな世界に「ハイハイ大手メディアの権威性社会の御とおりですよ」な姿勢は出発点から厳しい。
日経の電子版成功の鍵は「カリスマとも呼ばれるほどの天才的編集者か、発明に近い編集システムの開発に成功するか?」となるでしょう。
(北米あたりなら、ナンチャラアルゴリズムだかで、閲覧者が最も「ここから先は有料であると認識する合理性」なるものを判定するシステムを開発するとこから始めるでしょう:ビジネスモデルとしては同時に広告の最適化を行い”広告枠”が高値で売れる事を論証するのが重要になる)
つまり莫大な資本がかかる。
その腹積もりがあれば成功するかも知れませんが、、
日経の電子版の成否は既存新聞媒体にとって今後生きる残れるのかの指標でもありますから、この話はただごとじゃ無いんですよ。


さて、ここからは昨今のメディアの右往左往の話です。
原口総務大臣が突っ走ってますよ(笑
ついに大手マスメディアの構造的利権体質に楔打つ腹です。
メディア出資規制を法定化 放送法改正案、国会提出へ
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100302ATFS0200K02032010.html

当然このニュースの本丸は
「テレビや新聞など異なるメディアを複数所有する形態のあり方について検討することも付則に盛り込む。」
▲全く報道されない「クロスオーナシップ禁止」の法制化の話ですよ。
(読売と日本テレビのような報道メディアの資本関係を規制する話)

その途端に
津波関連情報をツイッターで発信…原口総務相
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20100302-OYT8T00760.htm

 ↑
このニュースだけだど何の意味かわからないでしょうから、
こちらを参照
 ↓
「ツイッター大臣」批判の読売記事 フリージャーナリストらから反論続出
http://www.j-cast.com/2010/03/03061504.html?p=all

新聞とツイッター
http://www.egawashoko.com/c006/000320.html

(ツイッターはどうなのよって話は又別の機会に)

さて話の本題は「読売新聞が凄く怒っている」って事ですね(笑
当然ここに関連して昨今話題の記者クラブ問題が被り、
呆れた言論封殺に、姑息な見出し変更 日本の新聞に未来などない!
http://diamond.jp/series/uesugi/10116/

ここでも「読売新聞が凄く怒っている」んだぞと。

さてこうなってぐるっと回って日経の電子版へ
>そして既存マスメディアが大幅に失った信用性という損失を軽く見ているって事です。
大手マスメディアは小沢幹事長関連の世論調査等で、新聞社などの調査と一部ネット社会の世論調査が”正反対に逆転する”ような現在の状況を理解できていない。
とてもじゃないが、仮に現在マスメディアの報道がブログのようにコメント欄を開放したら「とんでも無い事になる」って意味ですよ。
インターネットメディアはコメント欄のリテラシー(白兵戦)に耐えてナンボの世界ですから。(平和に過ぎて戦いが無ければ無いで”つまらない”って事になる)
 ↓
その社会で有料化コンテンツを始めようってなら相当の覚悟(表の新聞の世界全体を敵に回すぐらいの)が必要で、
何も日経が心配なのは印刷工場としての紙媒体存続の”中抜きコストの心配”なんかじゃ無いんです。「日経の電子版は公然と”紙の日経新聞”を批判するような内容にできるだろうかって」そっちの心配ですよ。
(或いはそれに代わる合理性なり差別化を表現できるか?)
この共存の切り分けっていうか、、
厳しいのじゃないかな〜と思う訳です。


posted by kagewari at 19:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神分析時事放談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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